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第二章 悪女への道
周りが勝手に私を悪女にするんだけど!?
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旬果は目覚めた時、自分がどこにいるのか一瞬分からなくなり混乱した。
しかしすぐに自分が、都へ来たことを思い出す。
「うーんっ!」
旬果は大きく伸びをして、首を回す。
自分の温もりの残った寝台に触れる。
初めて寝台で眠ったが、ぐっすり眠れた。子度向けの物語くらいでしか見たことのない物である。昨夜はこっそり寝台の上で、ぴょんぴょんと飛び跳ねてしまうほどだった。
と、閉まった扉の向こうから菜鈴の声がする。
「旬果様。起きましたでしょうか?」
「今、起きたわ。――あ! 服は一人で脱げるし、着られるから、菜鈴は何もしなくて良いからね!」
旬果は慌てて言った。
「……畏まりました。こちらに控えておりますので、どうぞご用命の際には、お声をおかけ下さいませ」
昨夜のことだ。さあ寝ようと用意された夜着に着替えようとした時、菜鈴は部屋を出ようとしないばかりか、服を手ずから脱がそうとしたのだ。
――これはあくまで、侍女としてのお務め。
そう言い張る彼女をどうにか説得して、一人で着替えたのである。
旬果は念の為に言う。
(服を脱ぐ音とか聞かれるのは、気分良いとは言えないけど、しょうがないわよね……。これも菜鈴の仕事なんだし)
そう自分に言い聞かせ、用意された襦裙を纏《まと》おうとする――が。
(む、難しい!)
夜着とは、比べものにならないくらい難しい。
襦裙は村で着た時には母が手伝ってくれたし、その時は己の境遇を知った衝撃で、正しく襦裙を着られるかなど、考えもしなかった。
そもそも腰帯がうまく結べない、というか、このやたらと長い紐をどううまくまとわせれば良いのか分からない。
(革の腰帯《ベルト》が懐かしい!!)
だが、どれだけ悪戦苦闘しても結局、うまくはいかなかった。
悪あがきの末。
「……菜鈴。ごめん。手伝ってくれる?」
と、折れた。
畏まりましたと部屋に入ってきた菜鈴は、半裸の旬果のことなどお構いなしに、てきぱきと服を着させてくれる。
さっきまでの悪戦苦闘は何だったのかと思うほど、あっさりと着させてもらえた。
鏡に映した自分の姿を前に、旬果は感心してしまう。
「菜鈴。すごいのね……」
「一度覚えれば、簡単でございます」
「そうなんだ」
「無論、旬果様がいちいち覚える必要は、ありませんが……」
広間に出ると、女官たちがいて、頭を下げる。
「おはようございます」
旬果は頷く。
「おはよう」
旬果が卓につけば、翡翠の器の蓋が開けられる。おかゆだった。
おかゆと一緒に、香の物などが添えられている。
「朝ご飯! 嬉しい!」
旬果は思わずはしゃいでしまう。しかしすかさず菜鈴が待ったをかける。
「ど、どうしたの?」
菜鈴が小さな匙でおかゆを一口食べるや、キッと女官を睨み付けた。
旬果すら息を呑んでしまうほどの凄みのある眼差しに、女官たちは「ひっ!」と小さな悲鳴を上げて、恐縮する。
「これは何です」
女官が「お、おかゆで――」と言うのだが、
「無礼者!」
菜鈴が一喝すれば、女官はその場で這い蹲ってしまう。
「旬果様にこのように冷めたものをお出しするとは、何と言う不手際! 旬果様がもし口に入れていたら、怒りの余りあなたたちの首を刎ねるよう、申しつけていたことでしょう! 作り直してきなさいっ!」
「は、はい!」
女官たちは半泣きで出ていった。
茫然としていた旬果は、すぐに我に返る。
「ちょ、ちょっと菜鈴、何やってるの!? あんな言い方しなくっても良いじゃない。ちょっとくらい冷めてたって大丈夫よ。第一、服を着るのに手間取った私が悪――」
すると菜鈴は袋手をして、恭しく頭を下げる。
「陛下より旬果様を悪女に仕立てよ、との御下命でございます」
「あ、悪女って、今のはただの性悪じゃない。瑛景が望んでいるのは、そういう事じゃないでしょっ!?」
「一事が万事なのでございます。女官共はおしゃべり雀でございます。暇があれば噂話ばかり……。故に些細なことでも叱責すれば、旬果様の厳しさはあっという間に広まるのでございます」
「だからって……」
旬果のお腹が、ぎゅぅ、と鳴った。
旬果ははっとしてお腹を押さえれば、菜鈴は器をそっと差し出す。
「女官どもが、戻るまでにお召し上がり下さいませ」
その時、扉が大きく開かれ、素早い身のこなしで泰風が入ってくる。
「旬果様! いかが致しましたか!?」
ようやくまともな人間に会えたと旬果は、「泰風!」と思いっきり笑顔になる。
はっとした泰風が頬を染めて、ぎこちなく動きを止める。
旬果は小首を傾げる。
「……泰風? どうかした?」
その時、大きな咳払いが響く。菜鈴である。
泰風がはっと我に返るのも束の間、菜鈴がじろりと泰風を睨みつける。
「……白鹿殿《ここ》は、男子禁制と申したはずですが」
泰風も負けていない。
「女官たちが泣きながら飛び出して来たんだぞっ。何かあったと思うのは当然だろう! 私は陛下より旬果様の護衛を、申しつけられているんだっ!」
菜鈴はホホホホ……と嫌みったらしく笑う。
「では何事もなかったので、引っ込んでいてもらいたいものです」
「断る。――旬果様、一体何があったのですか?」
旬果は事の次第を話そうとするのだが、すかさず菜鈴が、
「あなたには関係のないことです。あなたのような者には」
そう尖った声を出して、シッシッと遠ざけようとする。
さすがに旬果も口を出す。
「菜鈴。泰風は良いのよ」
「旬果様はどうしてこのような犬に、お情けを……」
(犬?)
気にかかったものの、今はそれどころではないと「泰風は良いの」と言った。
菜鈴は不満そうな顔をするも、引き下がった。
そして旬果は泰風に、先程の出来事を教える。
泰風はさすがに唖然としてしまう。
「……な、何と言うことを!」
だが菜鈴は瑛景の御下命であることを盾に、一歩も退かない。
「あなたには関係のないことです。文句があるというのならば、陛下に言われたらいかがですか?」
「だが実際にやるのはお前なのだろう。であれば、加減というものを心得たらどうなんだっ」
「悪女になるには人から遠巻きにされ、腫れ物に触るような振る舞いをされることが最善なのですよ」
「何と言うことを堂々と……!」
旬果は二人の言い合いにうんざりして手を叩けば、二人が口を噤んだ。
「とにかく、そのことは私から瑛景に言うから。菜鈴。もう何もしないで。分かった?」
「……陛下がそう仰せになれば、やめます」
菜鈴は不承不承、頷いた。
(全く、あの馬鹿弟! 絶対、抗議してやるんだからっ!)
拳をぎゅっと握って、そう誓う――が、午後になると後宮より遣いが来て、それどころではなくなってしまった。
しかしすぐに自分が、都へ来たことを思い出す。
「うーんっ!」
旬果は大きく伸びをして、首を回す。
自分の温もりの残った寝台に触れる。
初めて寝台で眠ったが、ぐっすり眠れた。子度向けの物語くらいでしか見たことのない物である。昨夜はこっそり寝台の上で、ぴょんぴょんと飛び跳ねてしまうほどだった。
と、閉まった扉の向こうから菜鈴の声がする。
「旬果様。起きましたでしょうか?」
「今、起きたわ。――あ! 服は一人で脱げるし、着られるから、菜鈴は何もしなくて良いからね!」
旬果は慌てて言った。
「……畏まりました。こちらに控えておりますので、どうぞご用命の際には、お声をおかけ下さいませ」
昨夜のことだ。さあ寝ようと用意された夜着に着替えようとした時、菜鈴は部屋を出ようとしないばかりか、服を手ずから脱がそうとしたのだ。
――これはあくまで、侍女としてのお務め。
そう言い張る彼女をどうにか説得して、一人で着替えたのである。
旬果は念の為に言う。
(服を脱ぐ音とか聞かれるのは、気分良いとは言えないけど、しょうがないわよね……。これも菜鈴の仕事なんだし)
そう自分に言い聞かせ、用意された襦裙を纏《まと》おうとする――が。
(む、難しい!)
夜着とは、比べものにならないくらい難しい。
襦裙は村で着た時には母が手伝ってくれたし、その時は己の境遇を知った衝撃で、正しく襦裙を着られるかなど、考えもしなかった。
そもそも腰帯がうまく結べない、というか、このやたらと長い紐をどううまくまとわせれば良いのか分からない。
(革の腰帯《ベルト》が懐かしい!!)
だが、どれだけ悪戦苦闘しても結局、うまくはいかなかった。
悪あがきの末。
「……菜鈴。ごめん。手伝ってくれる?」
と、折れた。
畏まりましたと部屋に入ってきた菜鈴は、半裸の旬果のことなどお構いなしに、てきぱきと服を着させてくれる。
さっきまでの悪戦苦闘は何だったのかと思うほど、あっさりと着させてもらえた。
鏡に映した自分の姿を前に、旬果は感心してしまう。
「菜鈴。すごいのね……」
「一度覚えれば、簡単でございます」
「そうなんだ」
「無論、旬果様がいちいち覚える必要は、ありませんが……」
広間に出ると、女官たちがいて、頭を下げる。
「おはようございます」
旬果は頷く。
「おはよう」
旬果が卓につけば、翡翠の器の蓋が開けられる。おかゆだった。
おかゆと一緒に、香の物などが添えられている。
「朝ご飯! 嬉しい!」
旬果は思わずはしゃいでしまう。しかしすかさず菜鈴が待ったをかける。
「ど、どうしたの?」
菜鈴が小さな匙でおかゆを一口食べるや、キッと女官を睨み付けた。
旬果すら息を呑んでしまうほどの凄みのある眼差しに、女官たちは「ひっ!」と小さな悲鳴を上げて、恐縮する。
「これは何です」
女官が「お、おかゆで――」と言うのだが、
「無礼者!」
菜鈴が一喝すれば、女官はその場で這い蹲ってしまう。
「旬果様にこのように冷めたものをお出しするとは、何と言う不手際! 旬果様がもし口に入れていたら、怒りの余りあなたたちの首を刎ねるよう、申しつけていたことでしょう! 作り直してきなさいっ!」
「は、はい!」
女官たちは半泣きで出ていった。
茫然としていた旬果は、すぐに我に返る。
「ちょ、ちょっと菜鈴、何やってるの!? あんな言い方しなくっても良いじゃない。ちょっとくらい冷めてたって大丈夫よ。第一、服を着るのに手間取った私が悪――」
すると菜鈴は袋手をして、恭しく頭を下げる。
「陛下より旬果様を悪女に仕立てよ、との御下命でございます」
「あ、悪女って、今のはただの性悪じゃない。瑛景が望んでいるのは、そういう事じゃないでしょっ!?」
「一事が万事なのでございます。女官共はおしゃべり雀でございます。暇があれば噂話ばかり……。故に些細なことでも叱責すれば、旬果様の厳しさはあっという間に広まるのでございます」
「だからって……」
旬果のお腹が、ぎゅぅ、と鳴った。
旬果ははっとしてお腹を押さえれば、菜鈴は器をそっと差し出す。
「女官どもが、戻るまでにお召し上がり下さいませ」
その時、扉が大きく開かれ、素早い身のこなしで泰風が入ってくる。
「旬果様! いかが致しましたか!?」
ようやくまともな人間に会えたと旬果は、「泰風!」と思いっきり笑顔になる。
はっとした泰風が頬を染めて、ぎこちなく動きを止める。
旬果は小首を傾げる。
「……泰風? どうかした?」
その時、大きな咳払いが響く。菜鈴である。
泰風がはっと我に返るのも束の間、菜鈴がじろりと泰風を睨みつける。
「……白鹿殿《ここ》は、男子禁制と申したはずですが」
泰風も負けていない。
「女官たちが泣きながら飛び出して来たんだぞっ。何かあったと思うのは当然だろう! 私は陛下より旬果様の護衛を、申しつけられているんだっ!」
菜鈴はホホホホ……と嫌みったらしく笑う。
「では何事もなかったので、引っ込んでいてもらいたいものです」
「断る。――旬果様、一体何があったのですか?」
旬果は事の次第を話そうとするのだが、すかさず菜鈴が、
「あなたには関係のないことです。あなたのような者には」
そう尖った声を出して、シッシッと遠ざけようとする。
さすがに旬果も口を出す。
「菜鈴。泰風は良いのよ」
「旬果様はどうしてこのような犬に、お情けを……」
(犬?)
気にかかったものの、今はそれどころではないと「泰風は良いの」と言った。
菜鈴は不満そうな顔をするも、引き下がった。
そして旬果は泰風に、先程の出来事を教える。
泰風はさすがに唖然としてしまう。
「……な、何と言うことを!」
だが菜鈴は瑛景の御下命であることを盾に、一歩も退かない。
「あなたには関係のないことです。文句があるというのならば、陛下に言われたらいかがですか?」
「だが実際にやるのはお前なのだろう。であれば、加減というものを心得たらどうなんだっ」
「悪女になるには人から遠巻きにされ、腫れ物に触るような振る舞いをされることが最善なのですよ」
「何と言うことを堂々と……!」
旬果は二人の言い合いにうんざりして手を叩けば、二人が口を噤んだ。
「とにかく、そのことは私から瑛景に言うから。菜鈴。もう何もしないで。分かった?」
「……陛下がそう仰せになれば、やめます」
菜鈴は不承不承、頷いた。
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