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未来
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羌士忠の乱。
後にそう言われる内乱が鎮圧され、平穏を取り戻した京師。
一ヶ月ぶりに蒼花はようやく戻って来られた。
本当はもっと早くしたかったのだが、まだ士忠を慕う反乱兵の掃討が済んでいないから――と、英麟からきつく止められていたのだ。
護衛の兵と共にやってきた蒼花はまるではじめてこの城郭(まち)へやってきたときのような気持ちで周囲を見回す。きっと田舎から出てきたばかりのお上りさんだと周りからは思われているに違いない。
抜けるような青空の下、城郭の相変わらず賑わっているさまを見ると、士忠のことが夢ではないかと思わずにはいられなかった。
そしてその士忠は遠い南の僻地に流刑に処され……と、鸞果からの手紙を受け取った。
鸞果は、英麟の脱出を手伝い、また、反乱にも積極的に加担していないとのことで罪を赦されていたが、兄の世話をするために共に向かったという。といっても蒼花を女官を使って暗殺しかけたという罪状も一時は上ったが、蒼花が「そんな事実はない」と一点張りだった。あの女官は心労故に一時、錯乱しただけで鸞果は無関係だと。
鸞果の罪を問わなかったのは彼が兄と共に向かうことを知ったからだ。大切に去られ、拒絶されるつらさを知っているから。
手紙には、英麟、そして蒼花への謝罪が書かれていた。あとは、兄と共に穏やかに暮らしていくという思いが綴られていた。
「……蒼花様。お待ちしておりました」
城門を抜けると、蔡両が数人の兵士と共に恭しく頭を垂れて出迎える。
「蔡両、久しぶりね」
蔡両は一足先に京師へ戻っていたのだ。
蔡両の先導を受け、宣室殿へ向かう。
ここで兵士を倒し、縛り上げたことは遠い昔のことのように思えるほど。
「……陛下がお待ちでございます」
「ありがとう」
失礼いたします、と蒼花は英麟の私室へ入る。
そこには黄袍姿の英麟がいた。
最後に別れた時と何一つとして変わっていない。
「陛下……」
「蒼花、よく来てくれた」
言葉にするとこみあげるものを抑えられないような気がして、唇を真一文字に噤んだままもう一度、頭を下げた。
と、その部屋には経綸の姿もあった。
「蒼花。二人で話をする前に、経綸の話を聞こう。俺たちに伝えたいことがあるらしい」
「私たちに……?」
経綸は獄中より救い出され、再び宰相の任を帯びていた。
「芳皇太后様のことでございます」
「皇太后の……」
「陛下っ」
蒼花が声を出すと、「大丈夫だ」と手で制する。
「経綸、続けよ」
「これだけはお聞き届けください。皇太后様は陛下のことを決して疎んじていたことも、ないがしろにしていたこともなかったということです」
「……経綸。そんなことを言うためにわざわざ来たのか」
「左様でございます」
「お前が皇太后を善人と思いたいと言う気持ちは理解できる。だがな、お前を地方へ追いやったのはその皇太后なんだぞ」
「陛下、それは違いますっ。皇太后様はあえて地方へ私をとばしたのです」
「あえて?」
英麟は呆れたと言うように鼻で笑った。
「……皇太后様はもう、その時、大きな病を得ておられのでございます」
「そんな……」
蒼花は思わず声を漏らしてしまう。
自分は常に芳皇太后を見守り続けていたというのに、そんな予兆には一切、気づけなかった。激務で過労が溜まっているとばかり……。
「私の他、数名を呼び、そのことを話されました。決して他言無用と」
「経綸、なぜだ。病気になることと、お前たちを地方へやるのと何の関係があるっ」
「……皇太后は御身が亡くなられたあとのことお考えられたのです。陛下が自分が抜擢した臣下を遠ざけるであろうと……」
たしかに、英麟は芳皇太后の死後、そばにいた臣下を閑職に追いやり、逆に遠ざけられていた臣下をそばにおいた。
「では、皇太后が次々と家臣を粛正したりしたのも、死後のことを考えてだというのか?」
英麟は信じられないと目を見開く。
「そこまでは皇太后様はもうしませんでした。しかし私が見るに、粛正された者は奸智に長けたものが多いように思えます。そればかりではありません。ご自分が圧政を敷くことで、それを除いた陛下に信望が集まるようにした―小臣はそう、愚行いたします」
「あの非常な独裁者がそんな気を回すものか」
「陛下。皇帝は決して万能などではないのです。そう見えたのであれば、それはそう見せかけたに過ぎません。皇太后様は朝議の前に小臣どもをメシだし、つつがなく会議が回るよう打ち合わせをしたのでございます。皇太后様はそういうお方なのです」
「全て、演出だと」
「左様にございます」
――皇帝は無力であり、その地位は決して安逸なものではない……。
皇太后の言葉が蘇るが、それはあまりにも受け入れがたかった。
「経綸、お前は皇太后をよく思いすぎではないのか。皇太后は母を殺したんだ。それも俺のためだと!?」
英麟は声をあげながら、それでも顔には経綸の言葉を真実と受け取りつつあることが伺いしれた。
「陛下。それも全ては陛下のためではございませんか。もしお母上がおられた場合、政治経験の浅い陛下の後見役をされるのは羌美人でございます。皇太后様は羌美人がご自分の一族を率い、朝政を壟断することを恐れたのでございます。ご自分の生は先が見えると……だからこそ、羌一族を討とうとされたのでございます。たしかに、残酷なことです。陛下のお母上に罪はありませんでした。実際、一族を率いるかどうかも分かりませんでした……それでも……」
「……それでも、俺のためだと言うのか」
その苦しげな物言いに蒼花は我慢できず英麟の元へ駆け寄る。そうせずにはいられないほど、英麟の姿は痛々しかった。
経綸は首を横に振った。
「全てはこの国のためだったのではないでしょうか。先帝陛下より託されたこの国を守るため……。それは陛下からすればあまりにひどいことと――」
「……もう、良い。下がれ」
「陛下、どうか皇太后様のことをお許しください……っ」
「違う。今、心を整理するにはあまりに時間がかかる。……分かってくれ」
「……かしこまりました」
経綸は平伏したあと、ちらりと蒼花に目配せをして部屋を出て行く。
しばらくの間をおいて、
「……蒼花、少しつきあってくれるか」
「はい」
庭に出る。
清らかな日射しに桃の花が艶めかしく輝いている。
「……陛下、これを」
蒼花が丁寧に折りたたまれた紙を差し出してきた。
「何だ?」
「私の箏より出て参りました。芳皇太后様からの手紙です」
「読んだのか?」
「……読もうとしました。でも……」
「でも?」
「読むわけにはいかないと……。これを読んでいいのは、この世界でただお一人、陛下だけと……思い直したのでございます」
英麟は差し出された紙片をそっと取り、しばらく見つめていた。
びりびりと細かく破り捨て、宙へ放った。
雪片のように無数のかけらが吹き流されていく。
「陛下!?」
「……俺にとって皇后は弱音を一切言わない、強い人だ。恐ろしいほどにな……。この手紙に何が書かれていようと見たくはない」
「陛下は経綸様の仰せになられたことを、どうお思いになりますか」
「……経綸に言った通り時間が必要なんだ。そうたやすく、自らを省みられるほど俺は強くない。俺はこの未熟さゆえに多くの者を苦しめてしまった」
「陛下だけが悪いわけではありません」
「慰めは良い」
「違います。私は皇太后様のお側にお仕えしていたにもかかわらず、そのお心を支えることができませんでした……。宰相様も、皇后様のお言いつけに、ただ従っただけです。もしそこで、宰相様が一歩、皇后様のお心に踏み込んでいれさえすればもっと……もっと、違った結果だったかもしれません」
「蒼花、お前は優しいな……。俺はお前をひどい目に遭わせた男だぞ……」
「陛下」
頑ななその背に蒼花は抱きついた。
「ご自分だけを責め、ご自分だけですべてを背負わないでください……」
「だが、俺は皇帝だ。その結果も、責任もすべて受け入れる責務がある」
「……皇太后様も、きっと同じだったのかもしれません」
その広い背中がかすかに震えるのを感じた。
「経綸様は言っていました。皇太后様は先帝陛下から託されたこの国を守るため、されたのだ……と。その責任感の津よをご自分だけの内にとどめていなかったら……。陛下、こちらを向いてください」
英麟はゆっくりと振り返った。
「私は経綸様のお言葉を聞き、なんて勝手な言いぐさを、と想いました。まるでご自分が皇太后様のすべてを理解されているかのように。だから、陛下にしょうがないから諦めろと言われているようでした」
「……そうか」
英麟がうっすらと笑みを浮かべた。
「一人で、悩まないでください」
「…………」
「陛下は、お一人ではありません。俯かず、もっと周りをみて下さい。皇太后様と同じ失敗をしないでくださいっ」
手紙でしか本心を打ち明けられなかった方皇太后、そして幽鬼のようにやつれた羌士忠。
権力は人を孤独にし、狂わせる。
英麟はその沼に足をつけようとしている。
(この人だけは)
守りたい。今ならまだ間に合う、間に合うはずだ。
「蒼花……っ」
英麟に抱きしめられる。苦しいほどの力だったが、それでも鼓動は高鳴りを抑えきれない。目眩すら覚えてしまう。
「こ、ここは外です……っ」
「構うものかっ」
「で、でも」
英麟は問答無用だった。
蒼花は大樹にもたれるような格好になった。
満開の桃の、馥郁とした甘いかおりの下でおこなわれる蜜戯に、蒼花は嫌がってはいなかった。それどころか英麟に抱きしめられた瞬間、全身から力が抜けた。
「蒼花、蒼花っ」
英麟が唇を貪るように唇を吸ってくる。
蒼花の舌が痛いほどに吸われれば、ひりっとした痺れが首筋を走る。
蒼花も舌を動かし、懸命に応えた。応えたかった。
熱く、湿った吐息がかかる。それが昂奮の大きさを生々しく伝えた。
英麟の右手が、懐の中に潜り込み、乳房を包み込んできた。
熱く硬い掌に、赤い実りが潰されると、背筋に甘い電流がはしる。
「ぁん……ゥッ」
「お前のはもう、痛いくらいに硬張り切っているな」
「はい……ぁっ」
英麟の言うとおり、蒼花の胸のいただきは痛いほどにジンジンと熱を持っていた。
指の腹で圧迫され、扱かれる。
それだけで身体が大きく跳ねた。
気づかぬうちに英麟の逞しい腕が背中を包み込むように回され、樹と直に接しないようにしてくれた。
英麟は両手でかき分けるように上衣を脱がされてしまえば、豊丘がこぼれた。
「ぁあっ……」
彼が指摘したとおり、痛いくらいに乳蕾はこれ以上はないというくらい尖りきる。
「美しいな、お前は」
英麟は呟き、胸を貪ってくる。
乳頭を舌で練られ、乳肌を甘噛みされ、時にきつく吸い付かれた。
「んっ、んうううっ……」
その間に、英麟の左腕が腰帯を解き、裙を膝くらいまでにずらした状態で、秘処へ指を走らせる。
「ぁっ」
小さく身を仰け反らせてしまう。
指先から身体の奥を痺れさせる甘い手管に腰が戦慄いた。
割れ目をそっとくつろげられ、すでに甘い蜜を滲ませている膣内へ潜り込ませた。
それはすっかり馴染んだ肉感。
まるで身体がそれを喜ぶように花芯が過敏な伸縮をみせた。
「はぁっ……ぁあ、はぁっ……!」
こみあげる悦美に頭を振れば簪の装飾が擦れ、しゃらしゃらと音をたてる。
その澄んだ音色に交ざるのはくちゅくちゅという、粘り気を帯びた音。
股の付け根が熱く燃える。
骨太な指先に攪拌されることで、子宮まで染みいるほどの性感が爆ぜた。
昂奮するたびの身体の震えが大きくなる。
柔肌には汗粒が浮けばそれを一粒一粒、丁寧に、英麟が吸い取った。
その妙な優しさが官能を引き起こす。
胸元、首筋……と英麟による淫靡な口唇愛撫は昇っていき、やがて唇を塞がれる。
「……ッ」
陶酔に口元が緩み、口内を激しく舌肉で嬲り回される。
「ん」
甘い雫をとろとろとこぼした下腹が引き攣るほど蜜肉が痛いほどに収斂し、英麟の指を咥えこむ。
自制心ではどうにもしがたい絶頂の波が押し寄せると、蒼花は英麟の首に齧り付く。
肌が粟立ち、たちのぼる恍惚感に全身を強張らせ、鼓動がとまってしまいそうな感覚に、はっ……はっ……と荒い息づかいを繰り返す。
「大丈夫か?」
「は……いっ……」
息も絶え絶えに頷く。
すると力ない身体を動かされ、両手を樹につかせ、お尻を突き出すような格好にさせられてしまう。
「蒼花」
首筋に英麟の吐息が当たる。火傷してしまいそうなくらい熱く湿っている。
「ん、うぅっ!」
滾ったものが蜜唇に押し当てられる。
グッ、と秘孔が押し広げられるや、背筋を甘痺が走り抜ける。
お尻がまるで英麟を欲しがっているように勝手に弾んでしまう。
とめようと思っても駄目だった。
ズブズブッ……雄渾が深く押し入るたび、重みがのしかかる。
蒼花は必死に体勢を崩すまいと手足を踏ん張った。
「はぁっ、あぁっ、んん……っ!」
ぐっと背中に重みがかかるや鉾先が膣底を押し上げる。
痙攣に包まれ、鼻にかかった声が漏れた。
背中から抱きしめるように、こぼれでた蜜乳を握りしめられ、腰が引かれた。
「ぁあああんっ!」
ぎりぎり抜けるかどうかのところで肉棒が再び押し入ってくる。
「ひゃぁうぅぅん!」
広々とした庭園に人影はいないが、誰に聞かれるかもわからない――そう思っていたのに、鋭い打擲に声を我慢できなかった。
「へ、陛下ぁっ、は、激しいィッ……」
「これくらいしないと、気持ちよくないだろ?」
背中や首筋に口づけを見舞われながら、腰骨が痺れるほどの重々しい挿入感が総身を貫く。
英麟の逞しい腰が力強く打ち付けるたび、全身が飛び上がった。
「ぁあっ……はっ……ああん……っ!」
「お前は俺のものだ、俺だけの」
「……っ」
蒼花は余裕がなく、ただ小さくうなずいた。すると、鋭い肉楔が膣底を穿つ。
「ぁああんっ!」
「言葉にしろ」
「……わ、私は、陛下だけの、もの……ですっ……!」
木の幹に押しつけられたまま突かれるたび、衝撃が来にはしり、桃の花がひらひらとこぼれおちた。
淫らな雫が、熱い肉棒に攪拌されて白く泡立ち、下草をぐっしょりと濡らした。
膣内を攪拌する雄渾は逞しく、柔襞がすり切れんばかりの激しい杭打ちにもかかわらずい、甘い感涙に声が戦慄いてしまう。
「ぁっ、ん、はぁっ、ぁあんっ!」
圧倒されるような充塞感に息がとまりそうになる。
「だめっ、あっ、はぁっ、陛下ぁっ、だめです、も、もうっ……」
「英麟、愛しているっ」
脈動する剛直が激しく息づく。
それにあわせるように、秘壺が強く収斂した。
「っくっ!」
自分の中で息づく者が膨らんでいく。
蒼花を快楽の色に染め上げるために。
「陛下ぁっ……」
声が溢れる。
胸の内が焦がされていくような愛おしさに、身体までも蕩けてしまいそう。
英麟が呻いた次の瞬間、最奥めがけ熱いしぶきがはきかけられる。
「んっ、だ、めっ……ぁあ、陛下ぁ……ぁああっ……!」
大きく乱れた蒼花の顔はみずみずしい悦びに包まれ、愛おしい人と心も肉体もつながったことで涙した。
※
たくさんの淡紅色の花弁が散らばる絨毯の上に、一組の男女が、着崩れた格好で、指先を絡ませ、仰向けに寝転んでいる。
「……何を考えている」
寄り添う英麟がそっと囁く。
「もうすぐ、春が終わると……」
「だが、季節は巡り、春はまたやってくる……そうだろう?」
「そうですね」
艶姿は英麟の厚い胸板に額をそっと押しつける。
一つの季節が終わろうとしている。
蒼花は宮廷で、たくさんの大切な人たちにあい、そして紆余曲折を経て、今、英麟と心を通わせられるようになった。
「――曲を弾いてくれるか」
「もちろん、喜んで……。蒼天想君を……?」
「いや。もっと、今の俺たちに添った、結ばれた恋の曲を」
「かしこまりました」
二人が見上げる空は、初夏の空気のなかで青みを深めていた。
後にそう言われる内乱が鎮圧され、平穏を取り戻した京師。
一ヶ月ぶりに蒼花はようやく戻って来られた。
本当はもっと早くしたかったのだが、まだ士忠を慕う反乱兵の掃討が済んでいないから――と、英麟からきつく止められていたのだ。
護衛の兵と共にやってきた蒼花はまるではじめてこの城郭(まち)へやってきたときのような気持ちで周囲を見回す。きっと田舎から出てきたばかりのお上りさんだと周りからは思われているに違いない。
抜けるような青空の下、城郭の相変わらず賑わっているさまを見ると、士忠のことが夢ではないかと思わずにはいられなかった。
そしてその士忠は遠い南の僻地に流刑に処され……と、鸞果からの手紙を受け取った。
鸞果は、英麟の脱出を手伝い、また、反乱にも積極的に加担していないとのことで罪を赦されていたが、兄の世話をするために共に向かったという。といっても蒼花を女官を使って暗殺しかけたという罪状も一時は上ったが、蒼花が「そんな事実はない」と一点張りだった。あの女官は心労故に一時、錯乱しただけで鸞果は無関係だと。
鸞果の罪を問わなかったのは彼が兄と共に向かうことを知ったからだ。大切に去られ、拒絶されるつらさを知っているから。
手紙には、英麟、そして蒼花への謝罪が書かれていた。あとは、兄と共に穏やかに暮らしていくという思いが綴られていた。
「……蒼花様。お待ちしておりました」
城門を抜けると、蔡両が数人の兵士と共に恭しく頭を垂れて出迎える。
「蔡両、久しぶりね」
蔡両は一足先に京師へ戻っていたのだ。
蔡両の先導を受け、宣室殿へ向かう。
ここで兵士を倒し、縛り上げたことは遠い昔のことのように思えるほど。
「……陛下がお待ちでございます」
「ありがとう」
失礼いたします、と蒼花は英麟の私室へ入る。
そこには黄袍姿の英麟がいた。
最後に別れた時と何一つとして変わっていない。
「陛下……」
「蒼花、よく来てくれた」
言葉にするとこみあげるものを抑えられないような気がして、唇を真一文字に噤んだままもう一度、頭を下げた。
と、その部屋には経綸の姿もあった。
「蒼花。二人で話をする前に、経綸の話を聞こう。俺たちに伝えたいことがあるらしい」
「私たちに……?」
経綸は獄中より救い出され、再び宰相の任を帯びていた。
「芳皇太后様のことでございます」
「皇太后の……」
「陛下っ」
蒼花が声を出すと、「大丈夫だ」と手で制する。
「経綸、続けよ」
「これだけはお聞き届けください。皇太后様は陛下のことを決して疎んじていたことも、ないがしろにしていたこともなかったということです」
「……経綸。そんなことを言うためにわざわざ来たのか」
「左様でございます」
「お前が皇太后を善人と思いたいと言う気持ちは理解できる。だがな、お前を地方へ追いやったのはその皇太后なんだぞ」
「陛下、それは違いますっ。皇太后様はあえて地方へ私をとばしたのです」
「あえて?」
英麟は呆れたと言うように鼻で笑った。
「……皇太后様はもう、その時、大きな病を得ておられのでございます」
「そんな……」
蒼花は思わず声を漏らしてしまう。
自分は常に芳皇太后を見守り続けていたというのに、そんな予兆には一切、気づけなかった。激務で過労が溜まっているとばかり……。
「私の他、数名を呼び、そのことを話されました。決して他言無用と」
「経綸、なぜだ。病気になることと、お前たちを地方へやるのと何の関係があるっ」
「……皇太后は御身が亡くなられたあとのことお考えられたのです。陛下が自分が抜擢した臣下を遠ざけるであろうと……」
たしかに、英麟は芳皇太后の死後、そばにいた臣下を閑職に追いやり、逆に遠ざけられていた臣下をそばにおいた。
「では、皇太后が次々と家臣を粛正したりしたのも、死後のことを考えてだというのか?」
英麟は信じられないと目を見開く。
「そこまでは皇太后様はもうしませんでした。しかし私が見るに、粛正された者は奸智に長けたものが多いように思えます。そればかりではありません。ご自分が圧政を敷くことで、それを除いた陛下に信望が集まるようにした―小臣はそう、愚行いたします」
「あの非常な独裁者がそんな気を回すものか」
「陛下。皇帝は決して万能などではないのです。そう見えたのであれば、それはそう見せかけたに過ぎません。皇太后様は朝議の前に小臣どもをメシだし、つつがなく会議が回るよう打ち合わせをしたのでございます。皇太后様はそういうお方なのです」
「全て、演出だと」
「左様にございます」
――皇帝は無力であり、その地位は決して安逸なものではない……。
皇太后の言葉が蘇るが、それはあまりにも受け入れがたかった。
「経綸、お前は皇太后をよく思いすぎではないのか。皇太后は母を殺したんだ。それも俺のためだと!?」
英麟は声をあげながら、それでも顔には経綸の言葉を真実と受け取りつつあることが伺いしれた。
「陛下。それも全ては陛下のためではございませんか。もしお母上がおられた場合、政治経験の浅い陛下の後見役をされるのは羌美人でございます。皇太后様は羌美人がご自分の一族を率い、朝政を壟断することを恐れたのでございます。ご自分の生は先が見えると……だからこそ、羌一族を討とうとされたのでございます。たしかに、残酷なことです。陛下のお母上に罪はありませんでした。実際、一族を率いるかどうかも分かりませんでした……それでも……」
「……それでも、俺のためだと言うのか」
その苦しげな物言いに蒼花は我慢できず英麟の元へ駆け寄る。そうせずにはいられないほど、英麟の姿は痛々しかった。
経綸は首を横に振った。
「全てはこの国のためだったのではないでしょうか。先帝陛下より託されたこの国を守るため……。それは陛下からすればあまりにひどいことと――」
「……もう、良い。下がれ」
「陛下、どうか皇太后様のことをお許しください……っ」
「違う。今、心を整理するにはあまりに時間がかかる。……分かってくれ」
「……かしこまりました」
経綸は平伏したあと、ちらりと蒼花に目配せをして部屋を出て行く。
しばらくの間をおいて、
「……蒼花、少しつきあってくれるか」
「はい」
庭に出る。
清らかな日射しに桃の花が艶めかしく輝いている。
「……陛下、これを」
蒼花が丁寧に折りたたまれた紙を差し出してきた。
「何だ?」
「私の箏より出て参りました。芳皇太后様からの手紙です」
「読んだのか?」
「……読もうとしました。でも……」
「でも?」
「読むわけにはいかないと……。これを読んでいいのは、この世界でただお一人、陛下だけと……思い直したのでございます」
英麟は差し出された紙片をそっと取り、しばらく見つめていた。
びりびりと細かく破り捨て、宙へ放った。
雪片のように無数のかけらが吹き流されていく。
「陛下!?」
「……俺にとって皇后は弱音を一切言わない、強い人だ。恐ろしいほどにな……。この手紙に何が書かれていようと見たくはない」
「陛下は経綸様の仰せになられたことを、どうお思いになりますか」
「……経綸に言った通り時間が必要なんだ。そうたやすく、自らを省みられるほど俺は強くない。俺はこの未熟さゆえに多くの者を苦しめてしまった」
「陛下だけが悪いわけではありません」
「慰めは良い」
「違います。私は皇太后様のお側にお仕えしていたにもかかわらず、そのお心を支えることができませんでした……。宰相様も、皇后様のお言いつけに、ただ従っただけです。もしそこで、宰相様が一歩、皇后様のお心に踏み込んでいれさえすればもっと……もっと、違った結果だったかもしれません」
「蒼花、お前は優しいな……。俺はお前をひどい目に遭わせた男だぞ……」
「陛下」
頑ななその背に蒼花は抱きついた。
「ご自分だけを責め、ご自分だけですべてを背負わないでください……」
「だが、俺は皇帝だ。その結果も、責任もすべて受け入れる責務がある」
「……皇太后様も、きっと同じだったのかもしれません」
その広い背中がかすかに震えるのを感じた。
「経綸様は言っていました。皇太后様は先帝陛下から託されたこの国を守るため、されたのだ……と。その責任感の津よをご自分だけの内にとどめていなかったら……。陛下、こちらを向いてください」
英麟はゆっくりと振り返った。
「私は経綸様のお言葉を聞き、なんて勝手な言いぐさを、と想いました。まるでご自分が皇太后様のすべてを理解されているかのように。だから、陛下にしょうがないから諦めろと言われているようでした」
「……そうか」
英麟がうっすらと笑みを浮かべた。
「一人で、悩まないでください」
「…………」
「陛下は、お一人ではありません。俯かず、もっと周りをみて下さい。皇太后様と同じ失敗をしないでくださいっ」
手紙でしか本心を打ち明けられなかった方皇太后、そして幽鬼のようにやつれた羌士忠。
権力は人を孤独にし、狂わせる。
英麟はその沼に足をつけようとしている。
(この人だけは)
守りたい。今ならまだ間に合う、間に合うはずだ。
「蒼花……っ」
英麟に抱きしめられる。苦しいほどの力だったが、それでも鼓動は高鳴りを抑えきれない。目眩すら覚えてしまう。
「こ、ここは外です……っ」
「構うものかっ」
「で、でも」
英麟は問答無用だった。
蒼花は大樹にもたれるような格好になった。
満開の桃の、馥郁とした甘いかおりの下でおこなわれる蜜戯に、蒼花は嫌がってはいなかった。それどころか英麟に抱きしめられた瞬間、全身から力が抜けた。
「蒼花、蒼花っ」
英麟が唇を貪るように唇を吸ってくる。
蒼花の舌が痛いほどに吸われれば、ひりっとした痺れが首筋を走る。
蒼花も舌を動かし、懸命に応えた。応えたかった。
熱く、湿った吐息がかかる。それが昂奮の大きさを生々しく伝えた。
英麟の右手が、懐の中に潜り込み、乳房を包み込んできた。
熱く硬い掌に、赤い実りが潰されると、背筋に甘い電流がはしる。
「ぁん……ゥッ」
「お前のはもう、痛いくらいに硬張り切っているな」
「はい……ぁっ」
英麟の言うとおり、蒼花の胸のいただきは痛いほどにジンジンと熱を持っていた。
指の腹で圧迫され、扱かれる。
それだけで身体が大きく跳ねた。
気づかぬうちに英麟の逞しい腕が背中を包み込むように回され、樹と直に接しないようにしてくれた。
英麟は両手でかき分けるように上衣を脱がされてしまえば、豊丘がこぼれた。
「ぁあっ……」
彼が指摘したとおり、痛いくらいに乳蕾はこれ以上はないというくらい尖りきる。
「美しいな、お前は」
英麟は呟き、胸を貪ってくる。
乳頭を舌で練られ、乳肌を甘噛みされ、時にきつく吸い付かれた。
「んっ、んうううっ……」
その間に、英麟の左腕が腰帯を解き、裙を膝くらいまでにずらした状態で、秘処へ指を走らせる。
「ぁっ」
小さく身を仰け反らせてしまう。
指先から身体の奥を痺れさせる甘い手管に腰が戦慄いた。
割れ目をそっとくつろげられ、すでに甘い蜜を滲ませている膣内へ潜り込ませた。
それはすっかり馴染んだ肉感。
まるで身体がそれを喜ぶように花芯が過敏な伸縮をみせた。
「はぁっ……ぁあ、はぁっ……!」
こみあげる悦美に頭を振れば簪の装飾が擦れ、しゃらしゃらと音をたてる。
その澄んだ音色に交ざるのはくちゅくちゅという、粘り気を帯びた音。
股の付け根が熱く燃える。
骨太な指先に攪拌されることで、子宮まで染みいるほどの性感が爆ぜた。
昂奮するたびの身体の震えが大きくなる。
柔肌には汗粒が浮けばそれを一粒一粒、丁寧に、英麟が吸い取った。
その妙な優しさが官能を引き起こす。
胸元、首筋……と英麟による淫靡な口唇愛撫は昇っていき、やがて唇を塞がれる。
「……ッ」
陶酔に口元が緩み、口内を激しく舌肉で嬲り回される。
「ん」
甘い雫をとろとろとこぼした下腹が引き攣るほど蜜肉が痛いほどに収斂し、英麟の指を咥えこむ。
自制心ではどうにもしがたい絶頂の波が押し寄せると、蒼花は英麟の首に齧り付く。
肌が粟立ち、たちのぼる恍惚感に全身を強張らせ、鼓動がとまってしまいそうな感覚に、はっ……はっ……と荒い息づかいを繰り返す。
「大丈夫か?」
「は……いっ……」
息も絶え絶えに頷く。
すると力ない身体を動かされ、両手を樹につかせ、お尻を突き出すような格好にさせられてしまう。
「蒼花」
首筋に英麟の吐息が当たる。火傷してしまいそうなくらい熱く湿っている。
「ん、うぅっ!」
滾ったものが蜜唇に押し当てられる。
グッ、と秘孔が押し広げられるや、背筋を甘痺が走り抜ける。
お尻がまるで英麟を欲しがっているように勝手に弾んでしまう。
とめようと思っても駄目だった。
ズブズブッ……雄渾が深く押し入るたび、重みがのしかかる。
蒼花は必死に体勢を崩すまいと手足を踏ん張った。
「はぁっ、あぁっ、んん……っ!」
ぐっと背中に重みがかかるや鉾先が膣底を押し上げる。
痙攣に包まれ、鼻にかかった声が漏れた。
背中から抱きしめるように、こぼれでた蜜乳を握りしめられ、腰が引かれた。
「ぁあああんっ!」
ぎりぎり抜けるかどうかのところで肉棒が再び押し入ってくる。
「ひゃぁうぅぅん!」
広々とした庭園に人影はいないが、誰に聞かれるかもわからない――そう思っていたのに、鋭い打擲に声を我慢できなかった。
「へ、陛下ぁっ、は、激しいィッ……」
「これくらいしないと、気持ちよくないだろ?」
背中や首筋に口づけを見舞われながら、腰骨が痺れるほどの重々しい挿入感が総身を貫く。
英麟の逞しい腰が力強く打ち付けるたび、全身が飛び上がった。
「ぁあっ……はっ……ああん……っ!」
「お前は俺のものだ、俺だけの」
「……っ」
蒼花は余裕がなく、ただ小さくうなずいた。すると、鋭い肉楔が膣底を穿つ。
「ぁああんっ!」
「言葉にしろ」
「……わ、私は、陛下だけの、もの……ですっ……!」
木の幹に押しつけられたまま突かれるたび、衝撃が来にはしり、桃の花がひらひらとこぼれおちた。
淫らな雫が、熱い肉棒に攪拌されて白く泡立ち、下草をぐっしょりと濡らした。
膣内を攪拌する雄渾は逞しく、柔襞がすり切れんばかりの激しい杭打ちにもかかわらずい、甘い感涙に声が戦慄いてしまう。
「ぁっ、ん、はぁっ、ぁあんっ!」
圧倒されるような充塞感に息がとまりそうになる。
「だめっ、あっ、はぁっ、陛下ぁっ、だめです、も、もうっ……」
「英麟、愛しているっ」
脈動する剛直が激しく息づく。
それにあわせるように、秘壺が強く収斂した。
「っくっ!」
自分の中で息づく者が膨らんでいく。
蒼花を快楽の色に染め上げるために。
「陛下ぁっ……」
声が溢れる。
胸の内が焦がされていくような愛おしさに、身体までも蕩けてしまいそう。
英麟が呻いた次の瞬間、最奥めがけ熱いしぶきがはきかけられる。
「んっ、だ、めっ……ぁあ、陛下ぁ……ぁああっ……!」
大きく乱れた蒼花の顔はみずみずしい悦びに包まれ、愛おしい人と心も肉体もつながったことで涙した。
※
たくさんの淡紅色の花弁が散らばる絨毯の上に、一組の男女が、着崩れた格好で、指先を絡ませ、仰向けに寝転んでいる。
「……何を考えている」
寄り添う英麟がそっと囁く。
「もうすぐ、春が終わると……」
「だが、季節は巡り、春はまたやってくる……そうだろう?」
「そうですね」
艶姿は英麟の厚い胸板に額をそっと押しつける。
一つの季節が終わろうとしている。
蒼花は宮廷で、たくさんの大切な人たちにあい、そして紆余曲折を経て、今、英麟と心を通わせられるようになった。
「――曲を弾いてくれるか」
「もちろん、喜んで……。蒼天想君を……?」
「いや。もっと、今の俺たちに添った、結ばれた恋の曲を」
「かしこまりました」
二人が見上げる空は、初夏の空気のなかで青みを深めていた。
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