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6 ガーデンパーティー
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半月後。
王宮内で催されたガーデンパーティーには大勢の招待客が集まる。
中心は二十代前半、つまり、ミハイルと同年代の若い貴族や令嬢たちだ。
ヘルミナは、春の青空に合わせたピンク色のドレスをまとう。
王宮へ到着するとミハイルの私室へ向かう。
「ミハイル様」
「綺麗だよ」
「ありがとうございます、殿下もとても素敵ですわ」
彼にエスコートをされながら庭へ出ていく。
庭にはセシルが調達した代物で飾り付けられている。
珍しい花々に、人の声を真似する極彩色の鳥、檻の中の猛獣などなど。
日頃、王国では見られないものばかり。
紳士たちは猛獣に興奮し、令嬢たちは様々な色や形の花や鳥に夢中だ。
全員が、ミハイルの姿に深々と頭を下げる。
「今日の催しはイサドラ様が計画されたとお聞きしましたわ」
「そうですわ。殿下に楽しんで頂きたくて」
「飾り付けも、イサドラ様が」
「はい。お気に召して?」
「もちろんですわ!」
普通、男爵令嬢など社交界では無視されるようなちっぽけな存在に過ぎないが、ミハイルのお気に入りということから、上級貴族の令嬢たちが群がってくる。
(権力者に媚びることは社交界で生きるには必須なこととはいえ、ここまでむらがられるとさすがに邪魔ね)
「みんな、イサドラが困っている。ほどほどにしてくれ」
ミハイルが助け船を出すと、「し、失礼いたしました」と令嬢たちが離れてくれる。
ようやく人心地がついた。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます」
「――賑やかだと思いましたら、パーティーですか」
穏やかな声が聞こえると同時に、ミハイルは露骨に表情を曇らせる。
その人物の姿に、一部の令嬢から黄色い声が上がった。
彼は今、ラフな格好をしている。
もしかしたらこれから剣の訓練なのかもしれない。
「第二王子殿下にご挨拶、申し上げます」
ヘルミナはうやうやしく頭を下げた。
「イサドラ嬢、ごきげんよう。兄上も」
「……ああ」
ミハイルは露骨に目を逸らしたまま頷く。
いつものことだからか、エドワードは特別気にしてもいない。
エドワード・デ・ルナ。
少し長く伸ばした青い髪に、金色の瞳。
端正な甘い顔立ちの青年は、今年で二十四になる。
ラフな服装ごしにも、鍛えられた肉体が服越しにもはっきりと分かり、肩幅も広い。
マヌエルのような固太りではなく、しなやかな筋肉の持ち主であると分かる。
彼の武勇は貴族だけでなく、平民にも知れ渡り、大勢の令嬢が彼に恋い焦がれた令嬢も多かったことだろう。
もちろん、ヘルミナにとっては標的の一人。
サンタクルス侵攻時に平民の虐殺にこそ加担してはいないが、兵士を蹂躙する役目を担っていた。
「エドワード様も、ご一緒にいかがですか?」
「イサドラ、何を言っている。エドワードは招待していないだろっ」
ミハイルが露骨に不機嫌そうに言うと、エドワードは苦笑する。
「ありがとうございます、イサドラ嬢。しかしこれから剣の訓練があるので。賑やかな声を聞いて、少し顔を出しただけですから」
「……残念です」
「兄上、イサドラ嬢、どうか、存分に宴を楽しまれてください。失礼いたします」
結局、最後までミハイルはエドワードと目を合わせなかった。
二人の不仲を知らない人間はこの国にはいない。
噂程度は平民の間にも広まっている。
真面目で面白みのないミハイルと、顔立ちを含めて魅力的なエドワード。
令嬢たちがエドワードに夢中になるのは自然のことと言えた。
「……君も、あの令嬢たちと同じようにエドワードが好きなのか」
ミハイルが不機嫌そうに唇を尖らせる。
怒っているというより拗ねているようだ。
これくらいでそんな顔をするなんて、まるで子どもだ。
「そのようなことはございませんわ」
腕に抱きつけば、背伸びをして頬に口づける。
「っ! く、イサドラ……」
「エドワード様にこんなことをしたいとは少しも思いません。私が愛しているのは、ミハイル様だけですから」
「……そうか」
単純なミハイルは頬を赤らめ、照れくさそうだが、口元はしっかり緩んでいる。
(ご機嫌取りも大変だわ)
「そろそろ乾杯のご挨拶を」
「ああ、そうだな。いらぬ邪魔が入って忘れていた」
給仕たちが招待客にグラスを手渡す。
ヘルミナやミハイルに渡された招待客のグラスとは違い、宝石が埋め込まれた特別製。
「今日はイサドラが主催したパーティーに来てくれて嬉しく思う。思う存分、楽しんでくれ。――乾杯っ」
「乾杯」
招待客たちが唱和をし、グラスに口を付ける。
ワインが喉元を通り過ぎ、お腹に収まった瞬間、燃えるような刺激が、腹部を襲う。
「……っ」
声がこぼれそうになるのを、ヘルミナはぎりぎりこらえる。
セシルが令嬢を連れ、ミハイルの元へやってくる。
「婚約者か?」
「いいえ。違います。お忘れですか? フアナ。私の妹です」
「ああ、フアナ!」
「殿下、ごきげんよう。フアナでございます」
フアナは兄と同じクリーム色の髪の可憐な令嬢。年齢は十八歳だが、実年齢よりも大人びて見える、目元の涼しげな美人。
「だが、フアナは確か領地にいたんじゃないか?」
「殿下に美しく成長した妹を見て頂きたく、連れてきたんです。正式な招待客ではありませんが」
「フアナならもちろん歓迎だ。イサドラ、紹介する。セシルの妹のフアナだ。彼女とも子どもの頃からの知り合いで……イサドラ、どうした? 顔が青白いぞ」
「わ、たしなら、平気、です……」
額から汗が噴き出す。
苦しさは今や、もうこらえられないほどになっていた。
目の前がチカチカする。
ゲホゲホ!
ヘルミナが咳き込んだ瞬間、口から血がこぼれる。
「イサドラ!?」
慌てるミハイルの声が遠い。
目の前がぐるぐると回り、四肢に力が入らない。
目の前が真っ暗になった。
王宮内で催されたガーデンパーティーには大勢の招待客が集まる。
中心は二十代前半、つまり、ミハイルと同年代の若い貴族や令嬢たちだ。
ヘルミナは、春の青空に合わせたピンク色のドレスをまとう。
王宮へ到着するとミハイルの私室へ向かう。
「ミハイル様」
「綺麗だよ」
「ありがとうございます、殿下もとても素敵ですわ」
彼にエスコートをされながら庭へ出ていく。
庭にはセシルが調達した代物で飾り付けられている。
珍しい花々に、人の声を真似する極彩色の鳥、檻の中の猛獣などなど。
日頃、王国では見られないものばかり。
紳士たちは猛獣に興奮し、令嬢たちは様々な色や形の花や鳥に夢中だ。
全員が、ミハイルの姿に深々と頭を下げる。
「今日の催しはイサドラ様が計画されたとお聞きしましたわ」
「そうですわ。殿下に楽しんで頂きたくて」
「飾り付けも、イサドラ様が」
「はい。お気に召して?」
「もちろんですわ!」
普通、男爵令嬢など社交界では無視されるようなちっぽけな存在に過ぎないが、ミハイルのお気に入りということから、上級貴族の令嬢たちが群がってくる。
(権力者に媚びることは社交界で生きるには必須なこととはいえ、ここまでむらがられるとさすがに邪魔ね)
「みんな、イサドラが困っている。ほどほどにしてくれ」
ミハイルが助け船を出すと、「し、失礼いたしました」と令嬢たちが離れてくれる。
ようやく人心地がついた。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます」
「――賑やかだと思いましたら、パーティーですか」
穏やかな声が聞こえると同時に、ミハイルは露骨に表情を曇らせる。
その人物の姿に、一部の令嬢から黄色い声が上がった。
彼は今、ラフな格好をしている。
もしかしたらこれから剣の訓練なのかもしれない。
「第二王子殿下にご挨拶、申し上げます」
ヘルミナはうやうやしく頭を下げた。
「イサドラ嬢、ごきげんよう。兄上も」
「……ああ」
ミハイルは露骨に目を逸らしたまま頷く。
いつものことだからか、エドワードは特別気にしてもいない。
エドワード・デ・ルナ。
少し長く伸ばした青い髪に、金色の瞳。
端正な甘い顔立ちの青年は、今年で二十四になる。
ラフな服装ごしにも、鍛えられた肉体が服越しにもはっきりと分かり、肩幅も広い。
マヌエルのような固太りではなく、しなやかな筋肉の持ち主であると分かる。
彼の武勇は貴族だけでなく、平民にも知れ渡り、大勢の令嬢が彼に恋い焦がれた令嬢も多かったことだろう。
もちろん、ヘルミナにとっては標的の一人。
サンタクルス侵攻時に平民の虐殺にこそ加担してはいないが、兵士を蹂躙する役目を担っていた。
「エドワード様も、ご一緒にいかがですか?」
「イサドラ、何を言っている。エドワードは招待していないだろっ」
ミハイルが露骨に不機嫌そうに言うと、エドワードは苦笑する。
「ありがとうございます、イサドラ嬢。しかしこれから剣の訓練があるので。賑やかな声を聞いて、少し顔を出しただけですから」
「……残念です」
「兄上、イサドラ嬢、どうか、存分に宴を楽しまれてください。失礼いたします」
結局、最後までミハイルはエドワードと目を合わせなかった。
二人の不仲を知らない人間はこの国にはいない。
噂程度は平民の間にも広まっている。
真面目で面白みのないミハイルと、顔立ちを含めて魅力的なエドワード。
令嬢たちがエドワードに夢中になるのは自然のことと言えた。
「……君も、あの令嬢たちと同じようにエドワードが好きなのか」
ミハイルが不機嫌そうに唇を尖らせる。
怒っているというより拗ねているようだ。
これくらいでそんな顔をするなんて、まるで子どもだ。
「そのようなことはございませんわ」
腕に抱きつけば、背伸びをして頬に口づける。
「っ! く、イサドラ……」
「エドワード様にこんなことをしたいとは少しも思いません。私が愛しているのは、ミハイル様だけですから」
「……そうか」
単純なミハイルは頬を赤らめ、照れくさそうだが、口元はしっかり緩んでいる。
(ご機嫌取りも大変だわ)
「そろそろ乾杯のご挨拶を」
「ああ、そうだな。いらぬ邪魔が入って忘れていた」
給仕たちが招待客にグラスを手渡す。
ヘルミナやミハイルに渡された招待客のグラスとは違い、宝石が埋め込まれた特別製。
「今日はイサドラが主催したパーティーに来てくれて嬉しく思う。思う存分、楽しんでくれ。――乾杯っ」
「乾杯」
招待客たちが唱和をし、グラスに口を付ける。
ワインが喉元を通り過ぎ、お腹に収まった瞬間、燃えるような刺激が、腹部を襲う。
「……っ」
声がこぼれそうになるのを、ヘルミナはぎりぎりこらえる。
セシルが令嬢を連れ、ミハイルの元へやってくる。
「婚約者か?」
「いいえ。違います。お忘れですか? フアナ。私の妹です」
「ああ、フアナ!」
「殿下、ごきげんよう。フアナでございます」
フアナは兄と同じクリーム色の髪の可憐な令嬢。年齢は十八歳だが、実年齢よりも大人びて見える、目元の涼しげな美人。
「だが、フアナは確か領地にいたんじゃないか?」
「殿下に美しく成長した妹を見て頂きたく、連れてきたんです。正式な招待客ではありませんが」
「フアナならもちろん歓迎だ。イサドラ、紹介する。セシルの妹のフアナだ。彼女とも子どもの頃からの知り合いで……イサドラ、どうした? 顔が青白いぞ」
「わ、たしなら、平気、です……」
額から汗が噴き出す。
苦しさは今や、もうこらえられないほどになっていた。
目の前がチカチカする。
ゲホゲホ!
ヘルミナが咳き込んだ瞬間、口から血がこぼれる。
「イサドラ!?」
慌てるミハイルの声が遠い。
目の前がぐるぐると回り、四肢に力が入らない。
目の前が真っ暗になった。
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