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間違いを犯していて

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『さて、どうするか。』

こんなに朝から焦ったのは初めてだ。寝坊なんてしたことも無いから、焦ることなんてこんな事くらいだろう。

幸いなことにまだ朝の五時だ。時間はある。とりあえず、隣の部屋の窓の鍵が開いていることを確認し、服を持って屋根を伝い、真斗の部屋に入る。

『相変わらず汚いなこの部屋。』

さっさと服を置いて部屋を出る。
あとは、真斗だ。大人の男一人を抱えて屋根を伝えるほど体力や力はない。だからといって、父に声をかけても恐らく、真斗がぶん殴られるだろう。うちの娘に何をしたんだ、とな。

『ふむ…、起こすか…。いや、でも起きたらまた面倒だし…、外にほっぽり出すか。』

なんて考えに至った。まぁこんな寒い中外に出したらのちのちバレたら殺されそうなので一度やめる。

全く困りものだ。と思っていると

「…んー……、。」

と唸るような声を出し真斗の目が開く。
案の定目が合う。数秒固まったのち、真斗は飛び起きた。

「え?は?え?なんで裸……、あ。」

思い出したように考えることをやめた。

『ねぇこれどういうこと?なんで真斗が私の部屋にいるの?』
「え、お前まさか、昨日のこと覚えてないのか…?」
『…何かあったっけ?』
「はぁー…まじか。分かった、説明する。」

聞いた瞬間私は叫びそうになった。
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