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エピローグ
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「そこで、その操作すると相手にバレる。もっと慎重に」
「はい」
私は、signpost(真木忍)にハッキングを教えているところだ。
真木忍のコードネームは、私が名付けた。
まずは依頼の前に基礎からだ。飲み込みが早いわけではないが、努力していることは伝わっている。
たまに褒めると嬉しそうな表情をする。憎悪の目を向けてたときとは大違いだな。
「おーい!selfish person、signpost!」
freedomが店の中に入ってきた。
「あー、また来たのか」
「いらっしゃい、freedomさん」
「相変わらず、selfish personは冷たいな」
「selfish personさんは優しいですよ。今もハッキングの仕方を指導していただいてます」
「俺は、お前のことを、まだ認めたわけじゃねえからな」
それを聞いたsignpostはシュンとしている。
「freedom、いつまでもsignpostに冷たく当たるのはやめろ。signpostも、いちいち落ち込んでたら、これから先の辛いことに耐えられないぞ」
2人とも苦い顔をした。手のかかる2人だ。
私は溜め息をついた後、freedomが何か持っていることに気づいた。
「freedom。何を持っている?」
「ん?ああ!そうだった!祝いのケーキとシャンパンだよ!」
そう言って、カウンターにケーキの箱とシャンパンの瓶を置く。
「freedomが、独立したことの祝いか」
最近、freedomは私と同じフリーで活動するようになった。
所属してた組織が、本部からの圧力で多忙になったから嫌になったそうだ。
「自分が働きたいときに働くスタイルにする」と言ったら、クビになったそうだ。
それを報告しに来たとき、
『selfish personと同じクビになったぞ~!』と嬉しそうにしていた。
クビの理由が違うし、嬉しそうなのは意味が分からないし呆れた。
そのことを思い出していたら、freedomの声が聞こえる。
「違う!selfish personの祝いに決まってるじゃねえか!」
「私の?何かあったっけ?」
首を傾げた。お祝いされることは何もしていない。
「何って!お前の誕生日だろ!」
「え?!そうなんですか?!早く言ってくださいよ!プレゼント用意してない!何欲しいか考えてくださいね!」
「あー、誕生日・・・そういえば、そうだったな・・・プレゼントは、わざわざ用意しなくていい」
「selfish person、自分の誕生日を忘れるなよ」
「自分の中では、重要なことではない」
「・・・お前らしいわ」
「・・・そうですね」
珍しく、freedomとsignpostの意見が合ったな。あんまり良い意味ではないけど、黙っていよう。
「あ、俺はお皿とグラスを用意してきますね」
そう言って、signpostは奥に入っていく。
その様子をfreedomが見ている。
「アイツ役にたってるか?」
「実戦は、すぐには無理だな。努力家ではある」
「そうか」
「freedomも指導係する?」
「なんで、俺が!?」
「お前の方が教え方上手いかも?」
「・・・」
否定はしないのか。別にいいんだけどさ。
今のままだと指導係は無理そうだな。私の元で働いてるし、私の仕事ではあるけど、助っ人がいるといいな。
「気が向いたら、引き受けてやる」
そっぽ向いて言うfreedomは、照れ隠しだろうか。
そこにsignpostが戻ってきた。
「何のお話ですか?」
「ああ。ちょうど良かった。今「おい!まだ決まってないから言うな!」
言葉を遮られた。
もう少しsignpostと話せばいいのに。
テーブルにケーキを切り分けた皿とシャンパンのグラスを置く。
「「Happy birthday!selfish person(さん)」」
「ありがとう」
「これからは自分の誕生日忘れるなよ」
「来年こそプレゼントさせてください」
「分かったよ」
一息つくと、穏やかな時間が流れる。
5年前は、こうなることは予想してなかった。
今の状態は悪くないな。
「「え!?」」
「なんだ」
2人して、私を凝視して。なぜ驚いた顔をしてる。
「今、笑いましたよね!」
「もう普段のselfish personになってる」
「笑った顔なんて、2人とも初めて見るわけじゃないだろ」
「そうですけど、高笑いか不敵に笑うって感じじゃないですか!」
「さっきのは自然だったな。もう1度さっきみたいに笑ってくれ」
「嫌だ」
2人から不満を言われるが、無視し続ける。
自然に笑えてたのか。
心地良かったのか。
確かに悪くない。
この先、何が起きるか分からない。
でも、この3人の関係が良好なことが続くことを願いながら、シャンパンを口にした。
【完】
「はい」
私は、signpost(真木忍)にハッキングを教えているところだ。
真木忍のコードネームは、私が名付けた。
まずは依頼の前に基礎からだ。飲み込みが早いわけではないが、努力していることは伝わっている。
たまに褒めると嬉しそうな表情をする。憎悪の目を向けてたときとは大違いだな。
「おーい!selfish person、signpost!」
freedomが店の中に入ってきた。
「あー、また来たのか」
「いらっしゃい、freedomさん」
「相変わらず、selfish personは冷たいな」
「selfish personさんは優しいですよ。今もハッキングの仕方を指導していただいてます」
「俺は、お前のことを、まだ認めたわけじゃねえからな」
それを聞いたsignpostはシュンとしている。
「freedom、いつまでもsignpostに冷たく当たるのはやめろ。signpostも、いちいち落ち込んでたら、これから先の辛いことに耐えられないぞ」
2人とも苦い顔をした。手のかかる2人だ。
私は溜め息をついた後、freedomが何か持っていることに気づいた。
「freedom。何を持っている?」
「ん?ああ!そうだった!祝いのケーキとシャンパンだよ!」
そう言って、カウンターにケーキの箱とシャンパンの瓶を置く。
「freedomが、独立したことの祝いか」
最近、freedomは私と同じフリーで活動するようになった。
所属してた組織が、本部からの圧力で多忙になったから嫌になったそうだ。
「自分が働きたいときに働くスタイルにする」と言ったら、クビになったそうだ。
それを報告しに来たとき、
『selfish personと同じクビになったぞ~!』と嬉しそうにしていた。
クビの理由が違うし、嬉しそうなのは意味が分からないし呆れた。
そのことを思い出していたら、freedomの声が聞こえる。
「違う!selfish personの祝いに決まってるじゃねえか!」
「私の?何かあったっけ?」
首を傾げた。お祝いされることは何もしていない。
「何って!お前の誕生日だろ!」
「え?!そうなんですか?!早く言ってくださいよ!プレゼント用意してない!何欲しいか考えてくださいね!」
「あー、誕生日・・・そういえば、そうだったな・・・プレゼントは、わざわざ用意しなくていい」
「selfish person、自分の誕生日を忘れるなよ」
「自分の中では、重要なことではない」
「・・・お前らしいわ」
「・・・そうですね」
珍しく、freedomとsignpostの意見が合ったな。あんまり良い意味ではないけど、黙っていよう。
「あ、俺はお皿とグラスを用意してきますね」
そう言って、signpostは奥に入っていく。
その様子をfreedomが見ている。
「アイツ役にたってるか?」
「実戦は、すぐには無理だな。努力家ではある」
「そうか」
「freedomも指導係する?」
「なんで、俺が!?」
「お前の方が教え方上手いかも?」
「・・・」
否定はしないのか。別にいいんだけどさ。
今のままだと指導係は無理そうだな。私の元で働いてるし、私の仕事ではあるけど、助っ人がいるといいな。
「気が向いたら、引き受けてやる」
そっぽ向いて言うfreedomは、照れ隠しだろうか。
そこにsignpostが戻ってきた。
「何のお話ですか?」
「ああ。ちょうど良かった。今「おい!まだ決まってないから言うな!」
言葉を遮られた。
もう少しsignpostと話せばいいのに。
テーブルにケーキを切り分けた皿とシャンパンのグラスを置く。
「「Happy birthday!selfish person(さん)」」
「ありがとう」
「これからは自分の誕生日忘れるなよ」
「来年こそプレゼントさせてください」
「分かったよ」
一息つくと、穏やかな時間が流れる。
5年前は、こうなることは予想してなかった。
今の状態は悪くないな。
「「え!?」」
「なんだ」
2人して、私を凝視して。なぜ驚いた顔をしてる。
「今、笑いましたよね!」
「もう普段のselfish personになってる」
「笑った顔なんて、2人とも初めて見るわけじゃないだろ」
「そうですけど、高笑いか不敵に笑うって感じじゃないですか!」
「さっきのは自然だったな。もう1度さっきみたいに笑ってくれ」
「嫌だ」
2人から不満を言われるが、無視し続ける。
自然に笑えてたのか。
心地良かったのか。
確かに悪くない。
この先、何が起きるか分からない。
でも、この3人の関係が良好なことが続くことを願いながら、シャンパンを口にした。
【完】
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