日本を駄目にしたお笑い

お話の世界

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「見るだけでも有害なお笑い──視覚的模倣の危険性」

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「百聞は一見にしかず」という言葉がある。何度も話を聞くよりも、一度実際に見ることで理解や模倣がしやすくなる、という意味だ。これは教育や技能習得の場面でよく言われるが、同時に社会的な悪影響を拡散する構造にも当てはまる。

たとえば、人に暴言を吐く、他人の外見や失敗を笑う、性的な発言を面白おかしく扱う。これらの振る舞いを文字で読むのと、実際に芸人が笑いながら堂々とやっているのを見るのとでは、印象がまるで違う。文字ならまだ冷静な判断が働く余地がある。しかし映像として、笑いとともに流されると、それは**「やっても大丈夫」「面白いこと」として刷り込まれてしまう**のだ。

人間は見たものを真似る。これは学習の基本であり、特に子どもや若者ほどその影響を強く受ける。つまり、テレビや動画で繰り返される不適切な言動は、倫理的なブレーキを鈍らせる危険性を持っている。

もちろん、文章や言葉によって差別や暴力を助長する場合もある。しかし、視覚的・模倣的に広がる行為の方が、より深刻な実害を伴う。笑いながら他人を傷つける行動が、あたかも「ユーモア」として免罪される世界。それこそが、お笑いが持つ毒性である。

そして、それが当たり前のこととして刷り込まれてきた人間──
子どもの頃から、お笑い番組を通じて「他人を笑うこと」「過激な言動がウケること」を当然のように吸収してきた人間は、知らず知らずのうちにその価値観に毒されている。

彼らは、誰かを傷つけても「笑いのつもりだった」と言い、自分の振る舞いが倫理的にどれほど危ういかに気づかない。むしろ、「笑えない方が悪い」「冗談を真に受けるな」と、被害者側を責める構造さえ身についてしまっている。

それはもはや、思考ではなく反射的な態度だ。
まるで「笑い」の文法に従って動く、自動機械のように。

そうした人間は、学校でのいじめ、職場でのハラスメント、SNSでの煽り行為などにも現れる。本人にとっては“ちょっとしたノリ”や“冗談”のつもりでも、周囲にとっては深刻な加害であり、社会全体に蔓延する「倫理の劣化」を加速させていく。

「毒されている」という自覚がないまま、毒をまき散らす存在。
それこそが、お笑いによって育まれた「理不尽の実行者」たちである。
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