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多様性を奪うお笑い──“型”が人を殺す
しおりを挟むお笑いは一見すると多様に見える。漫才、コント、大喜利、モノマネ、シュールギャグ──形式も出演者もバリエーションに富んでおり、ジャンルの幅も広がっているように見える。
だが、それは“見せかけの多様性”にすぎない。
実際のところ、その多くは「ウケる型」に従って再生産されているだけであり、新しい価値観を創造する力はほとんどない。むしろ、お笑いは型の中にこもり、新しい視点や多様な解釈を排除する構造を持っているのだ。
お笑いは「わかりやすさ」を求める。
この人はバカ、この人は毒舌、この人は変人──とラベルを貼り、そのキャラ設定のもとに笑いが作られる。そして一度そのラベルが貼られれば、当人はそのキャラを演じ続けることを強いられる。観客や共演者もそれを期待し、違う振る舞いをすれば「キャラ違う」と冷めた目で見られる。
こうして、お笑いは個人の多面性や変化を許さない。
一度“おバカキャラ”の烙印を押された人間は、いかに知的であっても、真面目な発言をしても、その場では笑われて終わりだ。人間の多様な側面が、「ネタにならないもの」として捨てられていく。
そしてこの構造は、単に芸人に対する枠づけに留まらない。
社会全体にも波及していく。
SNSや職場など、日常の場面でも「変なキャラ」「空気を壊す役」を演じる者だけが注目され、真剣で繊細な声はスルーされる。まともな意見よりも、極端でズレた意見が“おいしい”とされ、可視化されやすくなる。
つまり、お笑い的な構造が社会に浸透すると、「変なことを言う人=目立てる人」「真面目なことを言う人=無視される人」という歪んだルールが広がっていくのだ。
本来の多様性とは、人の中にある複数の側面が生きていてよい状態を指す。
けれど、現在のお笑い文化は──そしてそれに影響を受けた社会は──その真逆を走っている。個性を“型”に押し込み、演じることを強制し、外れたものを排除していく。
お笑いは「多様性の象徴」などではない。
それは、笑っているうちに他者の個性を消し去ってしまう、“多様性を奪うシステム”なのだ。
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