日本を駄目にしたお笑い

お話の世界

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気づかぬうちに“お笑い”が染み込んだ広告

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現代のネット広告──とくにアプリ広告や動画広告の多くは、不快なほどに下品で、過剰で、時に露悪的だ。性的な表現、コンプレックスの刺激、やたらと強調される失敗や恥。これらは一見すると広告手法としての「誇張」や「演出」に思えるが、実はその多くがお笑い番組の鉄板ネタの延長にある。

たとえば、他人の外見や能力をあえて貶めて笑う構造。性的な話題を“ちょけて”面白く見せかける構造。意図的に下品な場面を作って「ツッコミ待ち」にする構造。これらはすべて、かつてのバラエティ番組で何度も繰り返され、「面白さ」として社会に刷り込まれてきたフォーマットだ。

つまり、広告制作者が「お笑い的に盛ろう」と思って作ったというよりも、私たちの中に染みついた“笑いの型”が、無意識に広告表現に流れ込んでいるのだ。

こうして、「恥ずかしさ」「見た目」「性」「無知」など、他人の弱みや属性を笑いに変えるという構造が、広告の中にも“普通に”存在してしまっている。
それが不快でも、露骨でも、炎上しても──「面白ければいい」「覚えられたら勝ち」という、あの免罪符がそこでまた機能してしまう。

広告という表現の中にも、私たちは気づかぬうちに、お笑いという装置が埋め込まれている空間に生きているのだ。

「ウケればいい」は「儲かればいい」に通じている

お笑いの世界には、かねてより“倫理”や“配慮”よりも「ウケるかどうか」が優先されてきた傾向がある。どれだけ不謹慎でも、誰かを傷つけても、「笑いを取れた」という事実だけで正当化される空気。
これは、まさに企業広告の論理と地続きだ。

企業もまた、倫理や社会的責任よりも、「売れたかどうか」「バズったかどうか」が最優先される構造を持っている。むしろ、多少の炎上すら話題化という意味で“成功”と見なされる。
つまり、お笑いが持つ「面白ければOK」という価値観は、企業の「儲かればOK」という価値観と親和性が高いのだ。

そのため、広告の中には自然と“お笑い的な誇張表現”や“他人の弱点を笑いに変える構造”が持ち込まれる。
外見をからかう、性や老いをネタにする、知識のなさをバカにする──こうした表現は、元をたどればテレビのバラエティ番組や芸人の定番ネタと同じ構造を持っている。

企業は「話題になること」を優先し、お笑いは「笑いが取れること」を優先する。
その根底にあるのは、「目的のためなら不快や不道徳は許される」という共通の論理である。

笑いは倫理を免除し、広告は責任を回避する。
こうして、現代社会には「不快さ」と「無責任」が、面白さや経済性に名を借りて蔓延しているのだ。

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