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お笑いという感染症──理不尽を“笑い”に変えて、社会を蝕む──
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お笑いは、万人を笑わせる健全な娯楽だと思われがちだ。しかし、その構造はしばしば人の心に無自覚な毒を撒き散らす。
この“お笑いという感染症”は、すべての人に発症するわけではない。だが、テレビやネットで繰り返し大量に届けられることで、必ず模倣する者が現れる。一度“感染”すれば、その価値観は簡単には抜け落ちない。払っても払っても落ちない、しつこい汚れのようにまとわりつくのだ。
特に深刻なのは、「自分に落ち度はない」「これは冗談だ」「嫌よ嫌よも好きのうち」――そんなお笑いの“免罪符”構造が、人間関係における加害行為を無自覚なまま正当化してしまう点である。たとえ相手が明確に拒否していても、「ボケ」という言葉の中では、それを直す必要すら感じられない。そうして加害が継続され、悪意なきままに傷つけ続ける人間が生まれてしまう。
また、感染は“ノリ”によって広がる。たとえば、誰かが始めた揶揄やいじりに対して、善悪の判断を抜きにしてただ「ノってしまう」――これが、いじめや差別的言動の“常態化”を生む。ノリの良さはお笑いにおける美徳だが、それが裏目に出ると、集団の中で暴力が正当化される危険性もはらんでいる。
さらに問題なのは、お笑いはとても**“面白い”**ということだ。特に現実に理不尽を感じている人間ほど、お笑いの不条理や茶化しにハマりやすい。だが、そこに潜む毒は、むしろ理不尽な環境から抜け出す力を奪う。「怒っても変わらない」「耐えるしかない」――そうした思考停止へと導いてしまうのだ。
不況時にお笑い番組が増える“アノマリー”があるように、社会が苦しいときほど、笑いは流行する。だがそれは時に、現実を変える気力を奪い、笑ってごまかすだけの空気を作り出す。
それが「お笑いという感染症」のもっとも恐ろしい側面である。
この“お笑いという感染症”は、すべての人に発症するわけではない。だが、テレビやネットで繰り返し大量に届けられることで、必ず模倣する者が現れる。一度“感染”すれば、その価値観は簡単には抜け落ちない。払っても払っても落ちない、しつこい汚れのようにまとわりつくのだ。
特に深刻なのは、「自分に落ち度はない」「これは冗談だ」「嫌よ嫌よも好きのうち」――そんなお笑いの“免罪符”構造が、人間関係における加害行為を無自覚なまま正当化してしまう点である。たとえ相手が明確に拒否していても、「ボケ」という言葉の中では、それを直す必要すら感じられない。そうして加害が継続され、悪意なきままに傷つけ続ける人間が生まれてしまう。
また、感染は“ノリ”によって広がる。たとえば、誰かが始めた揶揄やいじりに対して、善悪の判断を抜きにしてただ「ノってしまう」――これが、いじめや差別的言動の“常態化”を生む。ノリの良さはお笑いにおける美徳だが、それが裏目に出ると、集団の中で暴力が正当化される危険性もはらんでいる。
さらに問題なのは、お笑いはとても**“面白い”**ということだ。特に現実に理不尽を感じている人間ほど、お笑いの不条理や茶化しにハマりやすい。だが、そこに潜む毒は、むしろ理不尽な環境から抜け出す力を奪う。「怒っても変わらない」「耐えるしかない」――そうした思考停止へと導いてしまうのだ。
不況時にお笑い番組が増える“アノマリー”があるように、社会が苦しいときほど、笑いは流行する。だがそれは時に、現実を変える気力を奪い、笑ってごまかすだけの空気を作り出す。
それが「お笑いという感染症」のもっとも恐ろしい側面である。
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