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企業PRとお笑い構造:嘘と理不尽のエンタメ化
しおりを挟む企業の採用広告における「アットホームな職場」「社員同士が仲良し」などの常套句は、現実とはかけ離れていることが多い。だが、それでも多くの若者がその言葉を信じ、企業に引き込まれていく。そこには一種の“演出”があり、お笑い的な構造が見え隠れしている。
お笑いの「ボケ」とは、常識から逸脱した言動をわざと演じ、観客に“違和感”を提示するものだ。だが、企業の中でこのボケを行うのは経営者自身であることが多い。例えば、
「お金を払ってるんだから多少の嫌がらせくらい我慢しろ」
「文句を言うより働け、みんな我慢してるんだから」
「補助金は入ったけど社員の給与は変わりません」
こうした発言や状況はまるでツッコミ不在の不条理コントのように機能し、理不尽が“当たり前”として定着していく。誰もツッコめない空気、笑えない理不尽。それは「笑い」ではなく、強者が演じる理不尽の演出だ。
ゆとり批判も“ネタ”にされた
かつて「ゆとり世代」は、社会人としての適応力が低い、協調性がない、忍耐力がない──などと叩かれた。だが、その批判の多くは一方的で、都合の悪い現実を若者に転嫁するスケープゴート戦略に過ぎなかった。
ゆとり世代の「常識の違い」や「反応の鈍さ」は、ある種“ボケ”として扱われ、「最近の若者は…」という定番の“ネタ”に組み込まれていったのだ。そして、そのネタがテレビでもSNSでも拡散されることで、社会全体にゆとり=使えないという空気が植え付けられた。
経営者こそ、お笑い構造の最大の演者かもしれない
冷静に考えてみよう。社会の多くの不条理や格差構造は、笑いでは済まされない深刻な問題である。しかし、その根底にあるのは**「違和感が放置される」構造だ。お笑いとは本来、違和感を提示し、ツッコミによってそれを修正・緩和する構造だが、現代社会においては“ボケっぱなし”の権力者**が多すぎる。
つまり、経営者や権力層の中には「お笑い構造に毒された者」たちが存在し、理不尽を面白がる感覚=娯楽化してしまっている可能性がある。そしてそれは、現代の労働現場、学校、家庭──あらゆる場所に形を変えて感染している。
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