【R18】Hで淫らなボクの夏休み!【完結】

瀬能なつ

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星影のセレナーデ

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「ほら、美雨こっち」

 花火大会の人混みではぐれないようにと、浴衣を着た先輩は美雨の手をひいてくれる。

  自然な感じで、二人は手をつなぐ。

 美雨は、打ち上がっている花火に気を取られているフリをして、本当は、先輩の手の温もりを、すごく感じていた。

 それから、周囲をそっと伺う。

 混雑した暗闇で美雨たち男同士を気にする人は誰もいなくて、ほっと安心する。

 いつの間にか、先輩と美雨の指先が絡まり、お互いに、離れまいと、しっかりと手を握っていた。

 (僕、先輩と手をつないで歩いているんだ……)

 夏の夜の熱気と、夢みたいな光景

 美雨は頭がぼぅっとなる。

 週末の、待ちに待った花火大会。

 先輩の大人びた浴衣姿は眩しくて、今日、先輩と一緒に来れた幸せを、美雨は心の底から噛みしめていた。

 河原のちょっとしたスペースを見つけて、二人は仲良く腰を下ろす。

 そこから見える、打ち上げ花火も綺麗だったけれど、それよりも、もっと綺麗だったのが、濃紺の浴衣姿で空を見上げる九条先輩の横顔だった。

 キラキラと大きな花火が打ち上がる度に、先輩の顔に深い陰影を作る。
 
 先輩の息をのむような、ハンサムな顔に見とれながら、さっき先輩に買ってもらったリンゴ飴を美雨は舐めると、先輩は、「それ、美味しい?」と笑って、先輩も赤い舌を伸ばして、美雨のリンゴ飴をゆっくりと舐めた。

「あ……」

 濡れて蠢く先輩の舌は、エロティックで、毎夜行われる秘め事を思い出させて、美雨の頬は、林檎のように赤く染まる。
 
  先輩はいつだって、僕に対して、このリンゴ飴のように甘い。

  目を細めて、優しく僕の頭を撫でて、水飴のように、とろりと柔らかに包み込んでくれる。

 すごく、今僕は幸せ。だけど……

 眩しいくらいの、大人の色気に溢れる先輩と比べて、自分の甚平姿が子供みたいで、僕は先輩と並んで歩くのに釣り合いが取れていないんじゃないかと、美雨は密かに本気で落ち込む。

 先輩はどうして子供みたいな僕の側にいてくれるの?

 聞いてみたいけれど、その質問を笑われそうで、美雨は胸にそっと仕舞い込む。

 花火もスターマインが上がって佳境に入ってきたころ、
「門限があるから帰るよ、美雨」
 と先輩に促されて、しぶしぶと立ち上がる。

 浴衣姿の九条先輩ともう少しだけ綺麗な花火を眺めていたかったのにと、門限に縛られた生活を少し恨めしく思う。
 
 学校の正面の門が閉まるギリギリに、二人は駆け込むと、薄暗い中庭を無言で歩き進む。先輩の手は、まだ美雨の手をつないだままで離さなかった。
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