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ロミオの純情
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「コウ、今日も残れよ」
部活終了のミーティングの後で鷹司が声をかけると、コウは嬉しそうに頷く。
正式入部をしたコウが少しでも他の部員に追いつけるようにと、鷹司の配慮で居残り練習をするのが、最近の日課となっていた。
物覚えが早いコウは、あっという間に次々と新しい技を身につけていき、鷹司を驚かせた。
一通り練習した後は制服に着替えて、寮棟へと二人で並んで歩きながら帰る。このコウと二人で過ごす時間が、鷹司は自分でも気がつかないうちに、いつの間にか何よりも楽しみの時間になっていた。
「コウ、ちょっと座らないか?」
寮への帰り道に、中庭のベンチを指差すと、コウは「はい!」と礼儀正しく返事をする。
真っ白な学院の夏服の学ランを、着崩すことなくきっちりと着こなし、ベンチに腰掛けても、背もたれには決してもたれずに、ピシッと背筋を伸ばしているコウは、まるで菖蒲のように気品があって、鷹司は密かに見惚れる。
二人の間にちょうど一人分のスペースを開けて鷹司とコウはベンチに腰掛けると、鷹司は持っていた学生鞄をゴソゴソと探り、中からリンベルのチョコレートを取り出す。
部活で運動をした後だったし、時間的にもお腹が空いているだろうと、可愛い後輩への配慮だった。
「コウ、良かったら、これ食べないか?」
そう言って『恋人の夜』とパッケージに書かれたチョコレートをコウに差し出すと、コウは一瞬、ギョッとする。
「ああ、すまない。コウは甘いのは苦手か」
コウの表情を読んだ鷹司が差し出した手を引っ込めようとすると、
「いえ!甘いのは好きです!」
コウが慌ててチョコレートの箱をガシッと掴む。
鷹司は笑って箱をコウに手渡す。
受け取ったコウは、チョコレートの箱を開けると、中から銀紙に包まれたチョコレートを取り出し、一口サイズにパキンと折り、一口一口、丁寧に口に運ぶ。
コウのキリっとした少年らしい見た目から、ガブリとかぶりつくかと思っていた鷹司は、上品に食べるコウの姿にちょっと驚く。
「随分と育ちがいいんだな。コウは」
「何を言ってるんですか。先輩だって実家はリンベルじゃないですか」
「知ってたのか?」
「三田副部長に教えてもらいました」
そう言ってから、コウはその後に何かを言おうとしたが、その言葉を飲み込む。
「チョコレート、ご馳走さまでした。美味しかったです」
コウはすっかり食べきったチョコレートの箱を丁寧に折りたたむと、鞄にそっとしまって、鷹司に頭を下げる。
「甘いものが食べたくなったら、いつでも言ってくれよ」
鷹司が冗談めいて笑うと、コウは少し居心地を悪そうにモゾモゾと体を揺らしながら、小さな声で、
「はい」と返事をして頷いた。
部活終了のミーティングの後で鷹司が声をかけると、コウは嬉しそうに頷く。
正式入部をしたコウが少しでも他の部員に追いつけるようにと、鷹司の配慮で居残り練習をするのが、最近の日課となっていた。
物覚えが早いコウは、あっという間に次々と新しい技を身につけていき、鷹司を驚かせた。
一通り練習した後は制服に着替えて、寮棟へと二人で並んで歩きながら帰る。このコウと二人で過ごす時間が、鷹司は自分でも気がつかないうちに、いつの間にか何よりも楽しみの時間になっていた。
「コウ、ちょっと座らないか?」
寮への帰り道に、中庭のベンチを指差すと、コウは「はい!」と礼儀正しく返事をする。
真っ白な学院の夏服の学ランを、着崩すことなくきっちりと着こなし、ベンチに腰掛けても、背もたれには決してもたれずに、ピシッと背筋を伸ばしているコウは、まるで菖蒲のように気品があって、鷹司は密かに見惚れる。
二人の間にちょうど一人分のスペースを開けて鷹司とコウはベンチに腰掛けると、鷹司は持っていた学生鞄をゴソゴソと探り、中からリンベルのチョコレートを取り出す。
部活で運動をした後だったし、時間的にもお腹が空いているだろうと、可愛い後輩への配慮だった。
「コウ、良かったら、これ食べないか?」
そう言って『恋人の夜』とパッケージに書かれたチョコレートをコウに差し出すと、コウは一瞬、ギョッとする。
「ああ、すまない。コウは甘いのは苦手か」
コウの表情を読んだ鷹司が差し出した手を引っ込めようとすると、
「いえ!甘いのは好きです!」
コウが慌ててチョコレートの箱をガシッと掴む。
鷹司は笑って箱をコウに手渡す。
受け取ったコウは、チョコレートの箱を開けると、中から銀紙に包まれたチョコレートを取り出し、一口サイズにパキンと折り、一口一口、丁寧に口に運ぶ。
コウのキリっとした少年らしい見た目から、ガブリとかぶりつくかと思っていた鷹司は、上品に食べるコウの姿にちょっと驚く。
「随分と育ちがいいんだな。コウは」
「何を言ってるんですか。先輩だって実家はリンベルじゃないですか」
「知ってたのか?」
「三田副部長に教えてもらいました」
そう言ってから、コウはその後に何かを言おうとしたが、その言葉を飲み込む。
「チョコレート、ご馳走さまでした。美味しかったです」
コウはすっかり食べきったチョコレートの箱を丁寧に折りたたむと、鞄にそっとしまって、鷹司に頭を下げる。
「甘いものが食べたくなったら、いつでも言ってくれよ」
鷹司が冗談めいて笑うと、コウは少し居心地を悪そうにモゾモゾと体を揺らしながら、小さな声で、
「はい」と返事をして頷いた。
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