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京介編
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「来期の売上高が10%増加すると言いますが、その数字に対する明確なevidenceが提示されていません。貴方達は一体何をやってるんです? すぐにやり直してきて来て下さい」
社長室から尊の厳しい叱責が漏れ聞こえて来て、隣室に控えていた嗣春と京介は思わず二人で、『今日は一段と厳しいな』と顔を見合わせて苦笑いする。
今、中でレクチャーをしているのは系列企業の重役だったが、孫ほどの年齢の尊に叱られている姿を想像すると、少し気の毒な気もした。
最近の尊はどこかピリピリとしているように感じる。
そう嗣春に話すと、
「今月は、尊にとっての忌み月なんだ。俺たちの親父の命日がもうすぐだからな」
と嗣春も考え事をするような表情で腕を組んで溜息をつく。
「さて、そろそろ終わったか」
嗣春が立ち上がると、社長室から重役達がぞろぞろと出て来る。 こってりと尊に搾られた彼らの足取りは重く、社長室に入って行く時の、『若社長の扱いなんて造作もないわい』と勇ましかった風情は欠片も残っていなかった。
暗い顔をした老人方をエレベーターホールまで見送ってから、嗣春は、京介とともに社長室の中に入る。
「尊、法要の件で打ち合わせをしたい」
嗣春が尊に声をかけると、尊は「えぇ、わかりました」と言って、読んでいた書類から顔を上げる。
尊の表情はどこか固く見えた。
その尊の表情にはどこか見覚えがあった。考えて、ふと、京介は思い出す。
尊の机の上にあった、尊の幼少の頃の写真。
あそこに写る、全ての物に対して心を閉ざしている表情の尊。
あの写真とまるで、そっくりだった。
嗣春に声をかけられた尊は、革張りのエグゼクティブチェアから立ち上がり、応接スペースへと移る。
一人がけの低いソファに座ると、優雅に足を組み、肘掛けの上に右手をついてその手の上に顎を乗せ、嗣春の説明を待つ。
その姿は、ノーブルで気品があったが、感情を一切打ち消している表情のせいで、まるで氷の女王のように冷ややかに見えた。
嗣春は目の前のガラステーブルに資料を広げる。
都内のTホテルで近々、大々的に行われる先代社長の法要の式の進行を次々と説明していき、時折、「これでいいか?」と確認するように嗣春が尋ねると、尊は淡々と「それで結構です」と言って頷くだけだった。
次に京介が警備の配置について説明すると、「京介はなるべく僕の視界に入るところに居るように」と尊は命じた。
一通りの説明が終わると、嗣春は立ち上がり、一度部屋を出ると、その手に抱えるようにして紫の風呂敷で包まれた三段のお重を持って再びすぐに部屋に入って来た。
「さあ、昼飯しよう。今日は吉祥の弁当だぞ」
そう言って、単なる“弁当”と呼ぶには豪華過ぎる、華やかなお重に詰められた懐石料理を目の前に広げる。
美味そうな目の前の光景に京介の喉は思わずゴクリと鳴るが、尊は、「僕、お腹は空いていないです」と言って立ち上がる。
「尊、ダメだ。最近ロクに飯を食ってないんだろう。実野が嘆いていたぞ。一口でいいから何か食え」
嗣春はそう言って、立ち上がった尊の体を抱き込むと、自分の膝の上に座らせて、逃げられないように、左手でガッチリと押さえ込む。
「義兄さんッ……」
尊は小さく抗議の声をあげるが、嗣春は意に介せずに、左手で尊の体を押さえたまま、右手に箸を持ち、目の前の海老しんじょうの揚げ物を取ると、尊の口元に持っていく。
「ほら、お前の好物だろ?食え」
唇に海老しんじょうを押し付けられた尊は、しぶしぶと口をあけて、舌と真っ白な歯で海老しんじょうを受けとめようとする。
京介は尊の真っ赤な舌が箸の近くでチロッとうねるように蠢くのを見て、自分の下腹部に熱い鈍痛が走るのを感じた。
“食べる”という行為にここまでエロスを感じさせるのは尊だけだろう。
京介は、尊が嗣春の膝の上でゆっくりと咀嚼するのをぼんやりと眺める。
「京介、お前も遠慮せずに食えよ」
嗣春が京介にも声をかける。
「あぁ…… 美味そうだからな。いただく」
嗣春に言われて、ハッとした京介は、為るべく尊達の方を見ないようにしながら、懐石弁当の料理を口に運ぶ。
しばらくの間、部屋には男達が無言で箸をすすめる音だけが響いたが、その静けさを京介の携帯の着信音が打ち破った。
「失礼」
京介は携帯を胸ポケットから出して立ち上がり、電話に出るために部屋を出る。
電話の相手は、優奈が手術の為に転院している九州の病院からだった。
「優奈ちゃんの手術は無事に終わりましたよ」
その言葉に京介は心から胸を撫で下ろす。
「本当にありがとうございました!近いうちに時間を作って見舞いに行きます!」
京介は電話越しに深く頭を下げる。 涙が出そうなほどに嬉しかった。
いち早く尊にもお礼を言いたかった京介は、直ぐに部屋に戻ると、
「社長! 今、病院から連絡があり……」
とここで弾んだ調子の言葉を切る。
嗣春が京介に向かって、唇に指をあてて、シーっとやったからだ。
見れば、尊は嗣春の膝の上で嗣春にもたれ掛かるようにしてすやすやと眠っていた。
「13時からの会議が始まる前まで眠らせてやってくれ」
嗣春は優しい瞳で、寝息をたてている尊を見つめると、尊の艶のある黒髪にそっとキスを落とした。
都内のTホテルで行われた先代社長の三回忌の法要は、3千人以上の列席者で、先代社長の人柄と功績が忍ばれるものだった。
その中でも、親族席にいた喪主の尊は人一倍に目を引いた。
黒の喪服は、尊の青白い肌を艶めかしく引き立て、ぞくぞくする程にその美貌に似合っていた。
その場にいた誰もが、法要という席で神妙な顔をしつつも、目立たぬようこっそりと感嘆の視線を尊に送らずにはいられなかった。
尊の表情は始終、沈んでいて、父親の遺影を悲しげにじっと見つめ続けて微動だにしなかった。
今にも悲しみでその場に崩れ落ちそうになっている尊の隣で、寄り添うように立っていたのが嗣春だった。
時折、尊の耳元で何か囁き、支えるようにしてそっと尊の肩に手をまわす。
二人の間には、何者も入り込めない、確固たる兄弟の絆が存在していた。
そんな彼らの様子を、京介は人で埋め尽くされた会場の少し離れた所から見守っていた。
手元の式次第を見ても親族の欄に嗣春の名は無く、彼はあくまで現社長である尊の秘書として、あそこにいた。
それでも、嗣春があの親族席に居ることに反対の声も多く上がったらしかったが、隣に嗣春が居なければ喪主はしないと尊が言い張ってあのような並びになったと、別の秘書から京介は聞かされた。
ーー血は水よりも濃し、か……
尊と恋人のようなキスをしたところで、何か状況が変わる訳ではないと、まざまざと見せつけられた気分だった。
今、自分が立っている場所のこちら側と、尊達がいるあちら側の間には、決して手の届かない大きな隔たりが常に横たわっているのだ。
そんな事を考えていたその時、ふと、自分の目の前を見知った顔が横切った気がした。
京介は薄暗い会場の中を目を皿のようにして、その人物を探す。その時、一人の男が尊の方へと足早に歩み寄るのが見えた。
(不審者だ!)
咄嗟に判断した京介は、無線で警護の応援を頼みながら、足早にその男に近づく。
「京介じゃないか…!」
その男の目の前に立ちはだかった瞬間、男は驚いて低い声をあげる。
「山佐先輩?!」
この間、一緒に飲んだ山佐だった。
「先輩…どうしてここに…?」
「京介、悪いがそこをどいてくれ」
心なしか、山佐の顔に焦りのような物が浮かんでいる気がした。
「先輩、どこに行こうと…」
「頼む! 京介どいてくれ」
京介はふと山佐の手元を見て驚く、その手には小型の拳銃が握られていた。
「山佐先輩?!」
切羽詰まった表情の山佐は、拳銃を周囲から見えないように手で覆いながら、その銃口を京介に向ける。
普段、何事にも動じない公安のスペシャリストのその男の手は、今は僅かに震えていた。
「頼む、京介… そこをどいてくれ」
「駄目だ先輩、あっちには行かせない」
京介は尊を背中で庇うようにして、山佐の前に立ちはだかる。
ジリジリとした緊張が二人の間に走る。
滲む脂汗。荒い呼吸。
堪えきれなくなった山佐の体が、一瞬、ふらりと揺れた瞬間、
京介の体にズドンと鈍い衝撃が走った。
撃たれた!
次の瞬間、目の前の山佐の体がガクリと崩れ落ち、みるみると、どす黒い血が山佐の着ていた白いシャツを染めてゆく。
発砲の音は聞こえなかった。
恐らく、サイレンサーを使った銃だ。
京介が受けた銃弾は、京介が着ていた防弾ベストにめり込んでいた。
山佐を撃った何者かは既に立ち去っていて、会場の人混みに消えていた。
「先輩!先輩! しっかりして下さい!」
幸い無傷だった京介は着ていたスーツの上着を急いで脱ぐと、山佐の傷を隠すようにしてかけてやり、駆けつけてきた警護に頼んで会場裏のバックヤードに運ばせる。
「先輩! 生きて奥さんの所に帰らないと駄目だ!」
京介が叫ぶようにして山佐に声をかけると、山佐はうっすらと目を開ける。
「あ…れは…奥さん…じゃ…ないん…だ…」
「先輩…」
「俺が…好きだっ…た…の…は… お…ま……」
山佐は京介の方に血に染まった手を伸ばし、やがてガクリと力尽きた。
「先輩っ!!」
京介の嗚咽混じりの叫び声は、既に山佐には届いてはいなかった。
社長室から尊の厳しい叱責が漏れ聞こえて来て、隣室に控えていた嗣春と京介は思わず二人で、『今日は一段と厳しいな』と顔を見合わせて苦笑いする。
今、中でレクチャーをしているのは系列企業の重役だったが、孫ほどの年齢の尊に叱られている姿を想像すると、少し気の毒な気もした。
最近の尊はどこかピリピリとしているように感じる。
そう嗣春に話すと、
「今月は、尊にとっての忌み月なんだ。俺たちの親父の命日がもうすぐだからな」
と嗣春も考え事をするような表情で腕を組んで溜息をつく。
「さて、そろそろ終わったか」
嗣春が立ち上がると、社長室から重役達がぞろぞろと出て来る。 こってりと尊に搾られた彼らの足取りは重く、社長室に入って行く時の、『若社長の扱いなんて造作もないわい』と勇ましかった風情は欠片も残っていなかった。
暗い顔をした老人方をエレベーターホールまで見送ってから、嗣春は、京介とともに社長室の中に入る。
「尊、法要の件で打ち合わせをしたい」
嗣春が尊に声をかけると、尊は「えぇ、わかりました」と言って、読んでいた書類から顔を上げる。
尊の表情はどこか固く見えた。
その尊の表情にはどこか見覚えがあった。考えて、ふと、京介は思い出す。
尊の机の上にあった、尊の幼少の頃の写真。
あそこに写る、全ての物に対して心を閉ざしている表情の尊。
あの写真とまるで、そっくりだった。
嗣春に声をかけられた尊は、革張りのエグゼクティブチェアから立ち上がり、応接スペースへと移る。
一人がけの低いソファに座ると、優雅に足を組み、肘掛けの上に右手をついてその手の上に顎を乗せ、嗣春の説明を待つ。
その姿は、ノーブルで気品があったが、感情を一切打ち消している表情のせいで、まるで氷の女王のように冷ややかに見えた。
嗣春は目の前のガラステーブルに資料を広げる。
都内のTホテルで近々、大々的に行われる先代社長の法要の式の進行を次々と説明していき、時折、「これでいいか?」と確認するように嗣春が尋ねると、尊は淡々と「それで結構です」と言って頷くだけだった。
次に京介が警備の配置について説明すると、「京介はなるべく僕の視界に入るところに居るように」と尊は命じた。
一通りの説明が終わると、嗣春は立ち上がり、一度部屋を出ると、その手に抱えるようにして紫の風呂敷で包まれた三段のお重を持って再びすぐに部屋に入って来た。
「さあ、昼飯しよう。今日は吉祥の弁当だぞ」
そう言って、単なる“弁当”と呼ぶには豪華過ぎる、華やかなお重に詰められた懐石料理を目の前に広げる。
美味そうな目の前の光景に京介の喉は思わずゴクリと鳴るが、尊は、「僕、お腹は空いていないです」と言って立ち上がる。
「尊、ダメだ。最近ロクに飯を食ってないんだろう。実野が嘆いていたぞ。一口でいいから何か食え」
嗣春はそう言って、立ち上がった尊の体を抱き込むと、自分の膝の上に座らせて、逃げられないように、左手でガッチリと押さえ込む。
「義兄さんッ……」
尊は小さく抗議の声をあげるが、嗣春は意に介せずに、左手で尊の体を押さえたまま、右手に箸を持ち、目の前の海老しんじょうの揚げ物を取ると、尊の口元に持っていく。
「ほら、お前の好物だろ?食え」
唇に海老しんじょうを押し付けられた尊は、しぶしぶと口をあけて、舌と真っ白な歯で海老しんじょうを受けとめようとする。
京介は尊の真っ赤な舌が箸の近くでチロッとうねるように蠢くのを見て、自分の下腹部に熱い鈍痛が走るのを感じた。
“食べる”という行為にここまでエロスを感じさせるのは尊だけだろう。
京介は、尊が嗣春の膝の上でゆっくりと咀嚼するのをぼんやりと眺める。
「京介、お前も遠慮せずに食えよ」
嗣春が京介にも声をかける。
「あぁ…… 美味そうだからな。いただく」
嗣春に言われて、ハッとした京介は、為るべく尊達の方を見ないようにしながら、懐石弁当の料理を口に運ぶ。
しばらくの間、部屋には男達が無言で箸をすすめる音だけが響いたが、その静けさを京介の携帯の着信音が打ち破った。
「失礼」
京介は携帯を胸ポケットから出して立ち上がり、電話に出るために部屋を出る。
電話の相手は、優奈が手術の為に転院している九州の病院からだった。
「優奈ちゃんの手術は無事に終わりましたよ」
その言葉に京介は心から胸を撫で下ろす。
「本当にありがとうございました!近いうちに時間を作って見舞いに行きます!」
京介は電話越しに深く頭を下げる。 涙が出そうなほどに嬉しかった。
いち早く尊にもお礼を言いたかった京介は、直ぐに部屋に戻ると、
「社長! 今、病院から連絡があり……」
とここで弾んだ調子の言葉を切る。
嗣春が京介に向かって、唇に指をあてて、シーっとやったからだ。
見れば、尊は嗣春の膝の上で嗣春にもたれ掛かるようにしてすやすやと眠っていた。
「13時からの会議が始まる前まで眠らせてやってくれ」
嗣春は優しい瞳で、寝息をたてている尊を見つめると、尊の艶のある黒髪にそっとキスを落とした。
都内のTホテルで行われた先代社長の三回忌の法要は、3千人以上の列席者で、先代社長の人柄と功績が忍ばれるものだった。
その中でも、親族席にいた喪主の尊は人一倍に目を引いた。
黒の喪服は、尊の青白い肌を艶めかしく引き立て、ぞくぞくする程にその美貌に似合っていた。
その場にいた誰もが、法要という席で神妙な顔をしつつも、目立たぬようこっそりと感嘆の視線を尊に送らずにはいられなかった。
尊の表情は始終、沈んでいて、父親の遺影を悲しげにじっと見つめ続けて微動だにしなかった。
今にも悲しみでその場に崩れ落ちそうになっている尊の隣で、寄り添うように立っていたのが嗣春だった。
時折、尊の耳元で何か囁き、支えるようにしてそっと尊の肩に手をまわす。
二人の間には、何者も入り込めない、確固たる兄弟の絆が存在していた。
そんな彼らの様子を、京介は人で埋め尽くされた会場の少し離れた所から見守っていた。
手元の式次第を見ても親族の欄に嗣春の名は無く、彼はあくまで現社長である尊の秘書として、あそこにいた。
それでも、嗣春があの親族席に居ることに反対の声も多く上がったらしかったが、隣に嗣春が居なければ喪主はしないと尊が言い張ってあのような並びになったと、別の秘書から京介は聞かされた。
ーー血は水よりも濃し、か……
尊と恋人のようなキスをしたところで、何か状況が変わる訳ではないと、まざまざと見せつけられた気分だった。
今、自分が立っている場所のこちら側と、尊達がいるあちら側の間には、決して手の届かない大きな隔たりが常に横たわっているのだ。
そんな事を考えていたその時、ふと、自分の目の前を見知った顔が横切った気がした。
京介は薄暗い会場の中を目を皿のようにして、その人物を探す。その時、一人の男が尊の方へと足早に歩み寄るのが見えた。
(不審者だ!)
咄嗟に判断した京介は、無線で警護の応援を頼みながら、足早にその男に近づく。
「京介じゃないか…!」
その男の目の前に立ちはだかった瞬間、男は驚いて低い声をあげる。
「山佐先輩?!」
この間、一緒に飲んだ山佐だった。
「先輩…どうしてここに…?」
「京介、悪いがそこをどいてくれ」
心なしか、山佐の顔に焦りのような物が浮かんでいる気がした。
「先輩、どこに行こうと…」
「頼む! 京介どいてくれ」
京介はふと山佐の手元を見て驚く、その手には小型の拳銃が握られていた。
「山佐先輩?!」
切羽詰まった表情の山佐は、拳銃を周囲から見えないように手で覆いながら、その銃口を京介に向ける。
普段、何事にも動じない公安のスペシャリストのその男の手は、今は僅かに震えていた。
「頼む、京介… そこをどいてくれ」
「駄目だ先輩、あっちには行かせない」
京介は尊を背中で庇うようにして、山佐の前に立ちはだかる。
ジリジリとした緊張が二人の間に走る。
滲む脂汗。荒い呼吸。
堪えきれなくなった山佐の体が、一瞬、ふらりと揺れた瞬間、
京介の体にズドンと鈍い衝撃が走った。
撃たれた!
次の瞬間、目の前の山佐の体がガクリと崩れ落ち、みるみると、どす黒い血が山佐の着ていた白いシャツを染めてゆく。
発砲の音は聞こえなかった。
恐らく、サイレンサーを使った銃だ。
京介が受けた銃弾は、京介が着ていた防弾ベストにめり込んでいた。
山佐を撃った何者かは既に立ち去っていて、会場の人混みに消えていた。
「先輩!先輩! しっかりして下さい!」
幸い無傷だった京介は着ていたスーツの上着を急いで脱ぐと、山佐の傷を隠すようにしてかけてやり、駆けつけてきた警護に頼んで会場裏のバックヤードに運ばせる。
「先輩! 生きて奥さんの所に帰らないと駄目だ!」
京介が叫ぶようにして山佐に声をかけると、山佐はうっすらと目を開ける。
「あ…れは…奥さん…じゃ…ないん…だ…」
「先輩…」
「俺が…好きだっ…た…の…は… お…ま……」
山佐は京介の方に血に染まった手を伸ばし、やがてガクリと力尽きた。
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