8 / 24
京介編
8
しおりを挟む
次の日から、尊はどこに行くにも京介を連れて歩いた。
名目上は、“警護の為”だったが、周りを年配の役員や経営者達ばかりに囲まれた尊の話し相手に選ばれたんだろうと、京介はそんな気がした。
本当に警護が必要な場面では、プロフェッショナルの正規のSPがついていたからだ。
秘書室長の嗣春も同行する事は多かったが、嗣春は何かと一人で動く事も多く、結局、気がつけば尊と京介は、ほぼ朝から晩まで二人で一緒に行動を共にしていた。
一日中、尊と一緒にいて分かった事は、彼のこの細い体からは想像出来ないほどのバイタリティーがあるという事だった。
聞いている此方が胃が痛くなるような大型案件のネゴシエーションの場でも、尊は外国人CEOを相手に怯む事なく、丁々発止でやり合い、最後は思惑通りに商談をまとめあげていた。
先代社長の事は良く知らないが、生きていた頃は、恐らく尊にそっくりのやり手だったのだろう。
先代を知っている年配の経営者達は口々に、
「さすが、一之瀬のお父君の血筋だ」
と尊を褒め称え、その称賛の言葉を聞くと、尊は謙虚ながらも、満更でもない表情で嬉しそうに微笑んだ。
今日の会議で3千億の商談をまとめた尊は、交渉相手の一行が部屋を退出すると、
ぅうーん!と伸びをして緊張していた体を解す。
「ねぇ、京介」
「なんでしょうか社長」
たった今、息もつかせぬやり取りで巨額の交渉を乗り切った尊に、尊敬の念を抱きつつあった京介は、眩しい思いで尊を見つめる。
「下のコンビニであんパンを買ってきて欲しいのですが。今回のご褒美に食べたいんです」
尊は京介に微笑んでウィンクをすると、重厚なエグゼクティブデスクに歩み寄り、その引き出しから、印伝で作られた年季の入ったがま口の小銭入れを取り出し、京介にポンと渡す。
京介は尊の言葉に思わず、脱力する。
(俺はパシリか! しかも、あんパンって!!)
そう思いながらも、尊の “お願い” の為に京介はビルの地下にあるコンビニまで小銭を握りしめて、小走りであんパンを買いに行く。
大の大人がお使いであんパンを買うなんて少し恥ずかしい気もしたが、尊の3千億の取引成功の褒美が百円ちょっとのパンだなんて可愛いじゃないかと、京介の口元は思わずほころぶ。
ご希望通りの品を手に入れて社長室に帰って来ると、尊は応接ソファで資料を読みながら寛いでいた。
「あんパンですよ、社長」
「ありがとう。京介」
尊は顔を輝かせて、受け取ったあんパンに早速パクリと一口かぶりつく。
上品に、モグモグと嬉しそうにあんパンを口にする尊の顔を眺めていた京介は、不思議と幸せな気持ちになった。
思わずじいっと眺めていた京介の視線に気がついた尊が、少し顔を赤らめながら、恥ずかしそうに下を向く。
「京介……」
その時、
「よう! 終わったか?」
響く声がして、嗣春が社長室に入って来た。
今日の嗣春のスーツは最高級のトロフェオの生地で仕立てられた、光沢のあるクラシカルな濃紺の三つ揃いのスーツで、嫌味なくらいに完璧に決まっていた。
大股で嗣春はこちらに歩み寄ると、ドサッと尊の隣に腰を下ろす。
「3千で決まりました」
尊の言葉に
「だろう? 5千とか吹っ掛けて来やがったと思ったんだよ。俺の読み通り3千で決まって良かった。お疲れ尊」
嗣春はそう言って、尊の手元のあんパンを尊の手ごと、ガシッと掴むと、そのまま口元に持っていき、ガブリと食らいつく。
「……義兄さん、それ全部食べていいですよ」
迷惑そうに、諦めた顔の尊の台詞に、見ていた京介は吹きだしそうになる。
本当に目の離せない美貌の兄弟だが、今の嗣春の言葉から、嗣春もかなりの部分で経営に食い込んで来ているらしい。
しかし、秘書室長の肩書きのまま、嗣春は決して表に出て来なかった。
以前に竹中局長から渡された尊に関する事前調査資料に書かれた内容によると、尊と嗣春は腹違いの兄弟であり、尊が本妻の子で嗣春が妾の子であると記されていた。
妾腹の子であることで嗣春は遠慮しているのだろうか? いや、彼の性格からはそうは考えられない。
嗣春がその気になれば、どんな手段を使ってでも尊から総帥の地位を奪い取るだろう。
それでも、嗣春に一之瀬の総帥の資質があったとしても、尊が総帥の椅子にいる事を、嗣春自身が心から望んでいるように見えた。
尊から奪い取ったパンをムシャムシャと食べていた嗣春だったが、中身が餡なのに気がつくと、
「おい、これ… 」
と言いかけて口をつぐみ、残りを無言で一気に食べきった。
食べ終えた嗣春は、ポケットから綺麗にアイロンのかけられたハンカチーフを取り出すと、丁寧に指先と口元を拭い、
「さて、これは京介宛の資料だ」
と、目の前のテーブルに茶封筒をスッと置く。
京介は中身を確認すると、そこには会社名と扱っている製品の名前があった。
「核ミサイルの部品になりそうなものは、ここに記載されている。うちは取引先以外に他所へと流したりはしていないが、それを調べるのはあんたらの仕事だ」
「分かった。 後はうちで調べる」
まぁ、恐らく調べた所で、“何も出てこない” だろう。
もし、何か出てきたとしても、“何もなかった”事にされるのだろうが、 一応、一之瀬側は“捜査に協力的である” である事は頭に入れておこう。
それに、竹中局長がLichtであるのが事実なら、核云々の話は竹中局長の狂言という事になる。
直感で言えば、尊はシロだ と京介は思う。
そもそも動機が見つからない。
核を極秘に第三国へ流すメリットが一之瀬側に全くないのだ。
それに、尊が興味がある事は、ひたすらにネゴシエーションの場だった。 それは近くで見ていてひしひしと感じていた。
まるで何かの影を追い求めて掴みたいかのように、商談の椅子に座る事に拘っていた。
ゲームのようにネゴシエーションを楽しんでいるかと思いきや、そうでもなさそうな所が不思議だった。
一人きりの社長室で、交渉が終わった後にプレッシャーの重みに必死で耐えるかのように、苦しそうな表情を浮かべていたのを見かけたのは、一度や二度ではなかった。
こういった交渉事なら嗣春の方が得意そうだとは思うが、それでも尊は、自らが商談を纏める事に拘った。
「京介、悪いが少し席を外してくれ」
嗣春に食べかけのあんパンを取られて少し機嫌を悪そうにしている尊を宥めるようにして、尊の肩に腕をまわした嗣春が、京介に頼む。
「分かった。じゃあ今から本庁に戻ってこの資料を出してくる」
京介は立ち上がると、二人を残して社長室を出た。
ふと、社長室の外に隣接している秘書室長のデスクの奥を見ると、社長室のセキュリティカメラのスイッチが嗣春の手で切られていた。
(これから他人に見られてはマズい行為でもするのかよ。まったく……)
そう考えてから、
ーー俺は今、嗣春に嫉妬したのか?
京介は霞ヶ関の官庁街に向かって歩きだしながら、自分の心に問いかける。
だいたい、俺なんぞがあの二人の間に簡単に間に入って行けるほど、あの二人の関係は浅い訳じゃない。端から見ていても尊と嗣春の信頼関係の絆が深い事が分かる。
でも、その一方で、尊は何かを必死で求めるようにこちらに手を伸ばしてきているような気がした。
その手をしっかりと掴んでやらないと、尊はどこか遠い闇の中に消えてしまいそうな儚さがあった。
いや、それは俺の思い違いだろう……
京介は自分の中の想像を振り払う。
望みなど何でも叶う、全てを手中に収めている一之瀬尊が、この俺に求める物など無いだろう。
俺は尊に与えられるものなど、何にも持ってなどいない……
京介は自分を卑下するつもりなど無かったが、それでもやはり、目の前にある“一之瀬”との埋められない“格差”に少し落ち込むのだった。
本庁に戻った京介は嗣春から預かった書類を上に提出し、山積みになっていたデスクワークを片っ端から片付けていく。
ふと時計を見ると、時刻はいつの間にか19時を過ぎていて、今日はここまでにするかとパソコンをパタンと閉じて立ち上がる。
出口に向かう廊下を歩いていると、背後から懐かしい声がした。
「よう、京介!久しぶりじゃないか」
振り向くと、一期上の山佐が立っていた。
昔、よく京介の面倒を良く見てくれた彼は、今は某企業に内偵に入っていて、顔を合わせるのは久しぶりだった。
「もう帰りか?」
「はい」
京介は笑顔で頷く。
「俺も報告が終わったところだ。ちょっと一杯やっていかないか?」
山佐はニコニコしながら、指で杯をクイッと傾ける真似をする。
どこにでもいるような、もっさりとした外見に、人の良さそうな雰囲気の山佐だったが、こう見えても彼は相当の切れ者だった。
京介は一瞬、尊の顔が思い浮かんだが、あっちも今日はどうせ接待で遅いんだろう。
21時頃くらいまでに帰れば良いはずだ。そう考え、
「いいですよ」
と、山佐の飲みの誘いを京介は快諾した。
「乾杯!」
新橋のガード下の赤提灯のぶら下がった焼鳥屋で、山佐と京介は冷えたビールグラスをカチンと合わせる。
「京介、最近どうよ?」
山佐はグラスのビールを一気に飲み干し、串に刺したハツを旨そうに頬張りながら尋ねる。
「まあ、ボチボチですよ。先輩は?」
公安では互いに関わっている仕事の内容は話さないのが鉄則だった。
「俺は最近、結婚したんだよ」
山佐は嬉しそうに革の定期入れから一枚の写真を出す。
決して美男とは言えない山佐の横で、モデルのように美しい女性が微笑んで写っていた。
「先輩、どこで見つけたんですか?!」
京介は羨ましさを隠すことなく尋ねると、山佐はデレデレと相好を崩す。
「ロス出張の時の飛行機でさ、偶然に隣になったんだよ。それで現地でデートに誘って、一気にゴールインさ」
毎日愛妻弁当も作ってくれるから、太っちゃったよ、とノロケる山佐の顔は誰よりも幸せそうに輝いていた。
「京介は今は彼女いないのか?」
山佐が京介の空になったグラスに笑顔でビールを注ぎながら尋ねる。
「ええ。今はいません」
尊はビールを注いでくれた山佐に会釈をし、グラスから零れそうになっていたビールを半分ほど飲み干す。
その時、何故か心の中に尊の顔がチラリと浮かんだ。
「お前、結構モテるのにもったいねぇな。片思いしてるとかなのか?」
「えぇ、まぁ、そんなところです」
京介は頷く。
「相当イイ女なのか?」
詳しい話を聞きたそうに、ニヤニヤと言わんばかりの表情を山佐は浮かべる。
京介はなんとなく落ち着かない。
「俺には手の届かない所にいつもいるような人です」
さっきから、何故ずっと尊の事を自分は思い浮かべているのか、京介自身、分からなかった。
きっと酔っているからだと、そう思いたかった。久し振りに先輩と飲んだ酒のせいだと。
それからは話題はいつの間にか政治の話へと移る。
“近いうちにまた首相が変わるかもしれないぜ”、山佐はやれやれとため息をついてグラスを空にする。
山佐も内偵で色んな情報を掴んでいるのだろう。
一之瀬の事も何か知っているか聞いてみたかったが、結局、胸の内に仕舞い込んだ。
その時、京介の胸ポケットに入っていた携帯が鳴る。着信は尊からだ。まるで恋人からの電話を受けるかのように、一瞬ドキリとする。
「もしもし…」
なんとなく少し緊張しながら出ると、
「京介さん、今からそちらに車を寄越すので、それで帰って来て下さい」
尊の声は京介の返事を聞かずに一方的に切れた。
(ちぇ!こっちの都合は無視か!)
京介は腹の中で思わず悪態をつく。
「例の彼女?」
酔って赤い顔をした山佐が、からかう顔で、さっき以上にニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「違います。まぁ、仕事関係ですよ」
「なるほどね。色々聞きたいけれど、公安警察の俺たちは、コレ だからね」
山佐は口に指を這わせて、“お口にチャック”の真似をする。
「おっともうこんな時間だ」
言われて時計を見れば、いつの間にか午前0時半を過ぎていた。
確かに尊が心配する時間だと京介は少し反省する。
山佐は伝票をサッと掴んで立ち上がると、今日は俺の奢りだと言って、さっさと支払いを済ませ、「また飲もうぜ!」と京介に声をかけて帰って行った。
山佐と別れて歩き出すと、背後から「田中様、こちらです」と声をかけられる。
見ると、スーツ姿に白手袋の男が立っていた。恐らく尊が寄越した車の運転手だろう。
運転手は止めていた黒塗りのセンチュリーの後部座席のドアを開け、京介に乗るように促した。
車は夜の都内を走り抜けて、あっという間に一之瀬邸に着く。
尊はとっくに休んでいるだろうと思い、プライベートリビングの脇を早足で通り抜けようとした京介は不意に声をかけられる。
「遅かったですね」
パジャマ姿でノートPCを膝の上に乗せて作業をしていた尊が、冷ややかな目でこちらを見ていた。
「すみませんでした。先輩と飲んでいたものですから」
「京介さん、ちょっとこっちに来て下さい」
今晩の尊の声は珍しく少し機嫌が悪そうだった。
呼ばれた京介は、怒っているような雰囲気の尊の隣に腰を下ろす。酒の匂いをさせていることが、なんだか後ろめたい気がした。
酔って遅くに帰って来た事を奥さんに咎められた時の夫の気持ちというのはこんな感じなんだろうかと、ふと思う。
「さっき京介さんが会っていた山佐さん。うちの調査が終わるまで、会うのは当分控えて下さい」
尊の言葉に、さすがに京介もムッとする。
「誰と会うかは俺が決める事だ」
「京介さん、自分の置かれている状況が分かってるんですか?」
「あぁ、分かってるさ。俺に監視がついていて自由が無いって事も分かってる」
京介は酒も入っているせいか、不貞腐れて投げやりに答える。
「京介!」
尊は立ち上がると、トスンと京介の膝の上に座り、京介の日に焼けた首に腕を回して、酔いのまわった赤い顔をじっと見つめる。
尊の思わぬ行動に、さすがの京介も思わずタジタジとなる。
花真珠のような尊の美しい瞳に見つめられた京介は、腰にズクリと熱を感じてしまい、必死にそれを押さえようと試みる。
酔った勢いで警護対象の社長を押し倒す、なんてマヌケな事態は絶対に避けたかった。
「本当に自分の立場、分かってますか?」
「ああ…、分かって…」
言葉を言い終わる前に、京介の口は尊の形の良い薄い唇で塞がれる。
「ん…んん…」
尊の舌が、京介のアルコールの匂いのする、熱を持った口の中にスルリと入り込むと、二人の熱い舌は互いを求めるように絡まり、まるで愛撫するように舐めあう。
「…っ… んんっ… 」
京介の右手は、気がつけば尊の細い腰と背中を夢中で撫で回していた。
思わず京介の大きな手が、尊の身体を自分の方へと密着させるようにグイッと力を入れると、尊は喉を反らせて「ッあ……」と艶っぽい喘ぎ声を洩らす。
「京介……」
潤んだ瞳で尊はこちらを見つめていた。
「ん…?」
「ベッドに連れて行って……」
京介は、ハッとなって酔いが冷める。
少年の面影を残す華奢な尊の体を京介は抱きかかえて立ち上がると、尊はうっとりとした顔で京介の引き締まった胸にもたれかかる。
尊の甘い香りが鼻孔をくすぐり、京介の腰に、再び熱が走った。
この甘い果実を今すぐに無我夢中で食らいつきたくなるのを、京介は必死で我慢する。
尊を抱きかかえたまま寝室まで行き、ベッドにそっと尊を寝かせると、柔らかなゴールドアイダーの羽毛布団を白い尊の首までかけてやる。
掛け布団をぽんぽんと叩くと、
「お休みなさい。社長」
と声をかけ、何か言いたそうにしている尊を、敢えて見ない振りをして京介は部屋を出た。
隣の自室に戻ると、ふぅーっとため息をついて、京介は胸元のネクタイを緩める。
尊に求められても、雰囲気に流されて尊を抱きたくはなかった。
汚してはならない、宝物のような存在。
いつの間にか、自分の中で、どうやって扱えば良いのか分からないほど、尊の存在は大きくなっていた。
眩しい程の、しなやかな尊の肢体。
それは、何よりも魅力的だったが、眩むほどに魅力的な尊に、覆い被さって押し倒すほどの勇気は、京介には、まだ無かった……
「おはよう、京介」
「お早うございます。社長」
次の日の朝の尊は、昨晩の事など無かったかのようにいつもと変わりなく、京介を安堵させた。
朝早く、京介と同じくらいの時間に起きてきて、京介と他愛もないおしゃべりをしながら一緒にプライベートキッチンで珈琲を飲む。
何も変わってはいなかった。
唯一変わった事は、以前よりも尊の笑う回数が減った事くらいだったが、それは京介が気がつかないくらいの、小さな小さな変化だった。
名目上は、“警護の為”だったが、周りを年配の役員や経営者達ばかりに囲まれた尊の話し相手に選ばれたんだろうと、京介はそんな気がした。
本当に警護が必要な場面では、プロフェッショナルの正規のSPがついていたからだ。
秘書室長の嗣春も同行する事は多かったが、嗣春は何かと一人で動く事も多く、結局、気がつけば尊と京介は、ほぼ朝から晩まで二人で一緒に行動を共にしていた。
一日中、尊と一緒にいて分かった事は、彼のこの細い体からは想像出来ないほどのバイタリティーがあるという事だった。
聞いている此方が胃が痛くなるような大型案件のネゴシエーションの場でも、尊は外国人CEOを相手に怯む事なく、丁々発止でやり合い、最後は思惑通りに商談をまとめあげていた。
先代社長の事は良く知らないが、生きていた頃は、恐らく尊にそっくりのやり手だったのだろう。
先代を知っている年配の経営者達は口々に、
「さすが、一之瀬のお父君の血筋だ」
と尊を褒め称え、その称賛の言葉を聞くと、尊は謙虚ながらも、満更でもない表情で嬉しそうに微笑んだ。
今日の会議で3千億の商談をまとめた尊は、交渉相手の一行が部屋を退出すると、
ぅうーん!と伸びをして緊張していた体を解す。
「ねぇ、京介」
「なんでしょうか社長」
たった今、息もつかせぬやり取りで巨額の交渉を乗り切った尊に、尊敬の念を抱きつつあった京介は、眩しい思いで尊を見つめる。
「下のコンビニであんパンを買ってきて欲しいのですが。今回のご褒美に食べたいんです」
尊は京介に微笑んでウィンクをすると、重厚なエグゼクティブデスクに歩み寄り、その引き出しから、印伝で作られた年季の入ったがま口の小銭入れを取り出し、京介にポンと渡す。
京介は尊の言葉に思わず、脱力する。
(俺はパシリか! しかも、あんパンって!!)
そう思いながらも、尊の “お願い” の為に京介はビルの地下にあるコンビニまで小銭を握りしめて、小走りであんパンを買いに行く。
大の大人がお使いであんパンを買うなんて少し恥ずかしい気もしたが、尊の3千億の取引成功の褒美が百円ちょっとのパンだなんて可愛いじゃないかと、京介の口元は思わずほころぶ。
ご希望通りの品を手に入れて社長室に帰って来ると、尊は応接ソファで資料を読みながら寛いでいた。
「あんパンですよ、社長」
「ありがとう。京介」
尊は顔を輝かせて、受け取ったあんパンに早速パクリと一口かぶりつく。
上品に、モグモグと嬉しそうにあんパンを口にする尊の顔を眺めていた京介は、不思議と幸せな気持ちになった。
思わずじいっと眺めていた京介の視線に気がついた尊が、少し顔を赤らめながら、恥ずかしそうに下を向く。
「京介……」
その時、
「よう! 終わったか?」
響く声がして、嗣春が社長室に入って来た。
今日の嗣春のスーツは最高級のトロフェオの生地で仕立てられた、光沢のあるクラシカルな濃紺の三つ揃いのスーツで、嫌味なくらいに完璧に決まっていた。
大股で嗣春はこちらに歩み寄ると、ドサッと尊の隣に腰を下ろす。
「3千で決まりました」
尊の言葉に
「だろう? 5千とか吹っ掛けて来やがったと思ったんだよ。俺の読み通り3千で決まって良かった。お疲れ尊」
嗣春はそう言って、尊の手元のあんパンを尊の手ごと、ガシッと掴むと、そのまま口元に持っていき、ガブリと食らいつく。
「……義兄さん、それ全部食べていいですよ」
迷惑そうに、諦めた顔の尊の台詞に、見ていた京介は吹きだしそうになる。
本当に目の離せない美貌の兄弟だが、今の嗣春の言葉から、嗣春もかなりの部分で経営に食い込んで来ているらしい。
しかし、秘書室長の肩書きのまま、嗣春は決して表に出て来なかった。
以前に竹中局長から渡された尊に関する事前調査資料に書かれた内容によると、尊と嗣春は腹違いの兄弟であり、尊が本妻の子で嗣春が妾の子であると記されていた。
妾腹の子であることで嗣春は遠慮しているのだろうか? いや、彼の性格からはそうは考えられない。
嗣春がその気になれば、どんな手段を使ってでも尊から総帥の地位を奪い取るだろう。
それでも、嗣春に一之瀬の総帥の資質があったとしても、尊が総帥の椅子にいる事を、嗣春自身が心から望んでいるように見えた。
尊から奪い取ったパンをムシャムシャと食べていた嗣春だったが、中身が餡なのに気がつくと、
「おい、これ… 」
と言いかけて口をつぐみ、残りを無言で一気に食べきった。
食べ終えた嗣春は、ポケットから綺麗にアイロンのかけられたハンカチーフを取り出すと、丁寧に指先と口元を拭い、
「さて、これは京介宛の資料だ」
と、目の前のテーブルに茶封筒をスッと置く。
京介は中身を確認すると、そこには会社名と扱っている製品の名前があった。
「核ミサイルの部品になりそうなものは、ここに記載されている。うちは取引先以外に他所へと流したりはしていないが、それを調べるのはあんたらの仕事だ」
「分かった。 後はうちで調べる」
まぁ、恐らく調べた所で、“何も出てこない” だろう。
もし、何か出てきたとしても、“何もなかった”事にされるのだろうが、 一応、一之瀬側は“捜査に協力的である” である事は頭に入れておこう。
それに、竹中局長がLichtであるのが事実なら、核云々の話は竹中局長の狂言という事になる。
直感で言えば、尊はシロだ と京介は思う。
そもそも動機が見つからない。
核を極秘に第三国へ流すメリットが一之瀬側に全くないのだ。
それに、尊が興味がある事は、ひたすらにネゴシエーションの場だった。 それは近くで見ていてひしひしと感じていた。
まるで何かの影を追い求めて掴みたいかのように、商談の椅子に座る事に拘っていた。
ゲームのようにネゴシエーションを楽しんでいるかと思いきや、そうでもなさそうな所が不思議だった。
一人きりの社長室で、交渉が終わった後にプレッシャーの重みに必死で耐えるかのように、苦しそうな表情を浮かべていたのを見かけたのは、一度や二度ではなかった。
こういった交渉事なら嗣春の方が得意そうだとは思うが、それでも尊は、自らが商談を纏める事に拘った。
「京介、悪いが少し席を外してくれ」
嗣春に食べかけのあんパンを取られて少し機嫌を悪そうにしている尊を宥めるようにして、尊の肩に腕をまわした嗣春が、京介に頼む。
「分かった。じゃあ今から本庁に戻ってこの資料を出してくる」
京介は立ち上がると、二人を残して社長室を出た。
ふと、社長室の外に隣接している秘書室長のデスクの奥を見ると、社長室のセキュリティカメラのスイッチが嗣春の手で切られていた。
(これから他人に見られてはマズい行為でもするのかよ。まったく……)
そう考えてから、
ーー俺は今、嗣春に嫉妬したのか?
京介は霞ヶ関の官庁街に向かって歩きだしながら、自分の心に問いかける。
だいたい、俺なんぞがあの二人の間に簡単に間に入って行けるほど、あの二人の関係は浅い訳じゃない。端から見ていても尊と嗣春の信頼関係の絆が深い事が分かる。
でも、その一方で、尊は何かを必死で求めるようにこちらに手を伸ばしてきているような気がした。
その手をしっかりと掴んでやらないと、尊はどこか遠い闇の中に消えてしまいそうな儚さがあった。
いや、それは俺の思い違いだろう……
京介は自分の中の想像を振り払う。
望みなど何でも叶う、全てを手中に収めている一之瀬尊が、この俺に求める物など無いだろう。
俺は尊に与えられるものなど、何にも持ってなどいない……
京介は自分を卑下するつもりなど無かったが、それでもやはり、目の前にある“一之瀬”との埋められない“格差”に少し落ち込むのだった。
本庁に戻った京介は嗣春から預かった書類を上に提出し、山積みになっていたデスクワークを片っ端から片付けていく。
ふと時計を見ると、時刻はいつの間にか19時を過ぎていて、今日はここまでにするかとパソコンをパタンと閉じて立ち上がる。
出口に向かう廊下を歩いていると、背後から懐かしい声がした。
「よう、京介!久しぶりじゃないか」
振り向くと、一期上の山佐が立っていた。
昔、よく京介の面倒を良く見てくれた彼は、今は某企業に内偵に入っていて、顔を合わせるのは久しぶりだった。
「もう帰りか?」
「はい」
京介は笑顔で頷く。
「俺も報告が終わったところだ。ちょっと一杯やっていかないか?」
山佐はニコニコしながら、指で杯をクイッと傾ける真似をする。
どこにでもいるような、もっさりとした外見に、人の良さそうな雰囲気の山佐だったが、こう見えても彼は相当の切れ者だった。
京介は一瞬、尊の顔が思い浮かんだが、あっちも今日はどうせ接待で遅いんだろう。
21時頃くらいまでに帰れば良いはずだ。そう考え、
「いいですよ」
と、山佐の飲みの誘いを京介は快諾した。
「乾杯!」
新橋のガード下の赤提灯のぶら下がった焼鳥屋で、山佐と京介は冷えたビールグラスをカチンと合わせる。
「京介、最近どうよ?」
山佐はグラスのビールを一気に飲み干し、串に刺したハツを旨そうに頬張りながら尋ねる。
「まあ、ボチボチですよ。先輩は?」
公安では互いに関わっている仕事の内容は話さないのが鉄則だった。
「俺は最近、結婚したんだよ」
山佐は嬉しそうに革の定期入れから一枚の写真を出す。
決して美男とは言えない山佐の横で、モデルのように美しい女性が微笑んで写っていた。
「先輩、どこで見つけたんですか?!」
京介は羨ましさを隠すことなく尋ねると、山佐はデレデレと相好を崩す。
「ロス出張の時の飛行機でさ、偶然に隣になったんだよ。それで現地でデートに誘って、一気にゴールインさ」
毎日愛妻弁当も作ってくれるから、太っちゃったよ、とノロケる山佐の顔は誰よりも幸せそうに輝いていた。
「京介は今は彼女いないのか?」
山佐が京介の空になったグラスに笑顔でビールを注ぎながら尋ねる。
「ええ。今はいません」
尊はビールを注いでくれた山佐に会釈をし、グラスから零れそうになっていたビールを半分ほど飲み干す。
その時、何故か心の中に尊の顔がチラリと浮かんだ。
「お前、結構モテるのにもったいねぇな。片思いしてるとかなのか?」
「えぇ、まぁ、そんなところです」
京介は頷く。
「相当イイ女なのか?」
詳しい話を聞きたそうに、ニヤニヤと言わんばかりの表情を山佐は浮かべる。
京介はなんとなく落ち着かない。
「俺には手の届かない所にいつもいるような人です」
さっきから、何故ずっと尊の事を自分は思い浮かべているのか、京介自身、分からなかった。
きっと酔っているからだと、そう思いたかった。久し振りに先輩と飲んだ酒のせいだと。
それからは話題はいつの間にか政治の話へと移る。
“近いうちにまた首相が変わるかもしれないぜ”、山佐はやれやれとため息をついてグラスを空にする。
山佐も内偵で色んな情報を掴んでいるのだろう。
一之瀬の事も何か知っているか聞いてみたかったが、結局、胸の内に仕舞い込んだ。
その時、京介の胸ポケットに入っていた携帯が鳴る。着信は尊からだ。まるで恋人からの電話を受けるかのように、一瞬ドキリとする。
「もしもし…」
なんとなく少し緊張しながら出ると、
「京介さん、今からそちらに車を寄越すので、それで帰って来て下さい」
尊の声は京介の返事を聞かずに一方的に切れた。
(ちぇ!こっちの都合は無視か!)
京介は腹の中で思わず悪態をつく。
「例の彼女?」
酔って赤い顔をした山佐が、からかう顔で、さっき以上にニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「違います。まぁ、仕事関係ですよ」
「なるほどね。色々聞きたいけれど、公安警察の俺たちは、コレ だからね」
山佐は口に指を這わせて、“お口にチャック”の真似をする。
「おっともうこんな時間だ」
言われて時計を見れば、いつの間にか午前0時半を過ぎていた。
確かに尊が心配する時間だと京介は少し反省する。
山佐は伝票をサッと掴んで立ち上がると、今日は俺の奢りだと言って、さっさと支払いを済ませ、「また飲もうぜ!」と京介に声をかけて帰って行った。
山佐と別れて歩き出すと、背後から「田中様、こちらです」と声をかけられる。
見ると、スーツ姿に白手袋の男が立っていた。恐らく尊が寄越した車の運転手だろう。
運転手は止めていた黒塗りのセンチュリーの後部座席のドアを開け、京介に乗るように促した。
車は夜の都内を走り抜けて、あっという間に一之瀬邸に着く。
尊はとっくに休んでいるだろうと思い、プライベートリビングの脇を早足で通り抜けようとした京介は不意に声をかけられる。
「遅かったですね」
パジャマ姿でノートPCを膝の上に乗せて作業をしていた尊が、冷ややかな目でこちらを見ていた。
「すみませんでした。先輩と飲んでいたものですから」
「京介さん、ちょっとこっちに来て下さい」
今晩の尊の声は珍しく少し機嫌が悪そうだった。
呼ばれた京介は、怒っているような雰囲気の尊の隣に腰を下ろす。酒の匂いをさせていることが、なんだか後ろめたい気がした。
酔って遅くに帰って来た事を奥さんに咎められた時の夫の気持ちというのはこんな感じなんだろうかと、ふと思う。
「さっき京介さんが会っていた山佐さん。うちの調査が終わるまで、会うのは当分控えて下さい」
尊の言葉に、さすがに京介もムッとする。
「誰と会うかは俺が決める事だ」
「京介さん、自分の置かれている状況が分かってるんですか?」
「あぁ、分かってるさ。俺に監視がついていて自由が無いって事も分かってる」
京介は酒も入っているせいか、不貞腐れて投げやりに答える。
「京介!」
尊は立ち上がると、トスンと京介の膝の上に座り、京介の日に焼けた首に腕を回して、酔いのまわった赤い顔をじっと見つめる。
尊の思わぬ行動に、さすがの京介も思わずタジタジとなる。
花真珠のような尊の美しい瞳に見つめられた京介は、腰にズクリと熱を感じてしまい、必死にそれを押さえようと試みる。
酔った勢いで警護対象の社長を押し倒す、なんてマヌケな事態は絶対に避けたかった。
「本当に自分の立場、分かってますか?」
「ああ…、分かって…」
言葉を言い終わる前に、京介の口は尊の形の良い薄い唇で塞がれる。
「ん…んん…」
尊の舌が、京介のアルコールの匂いのする、熱を持った口の中にスルリと入り込むと、二人の熱い舌は互いを求めるように絡まり、まるで愛撫するように舐めあう。
「…っ… んんっ… 」
京介の右手は、気がつけば尊の細い腰と背中を夢中で撫で回していた。
思わず京介の大きな手が、尊の身体を自分の方へと密着させるようにグイッと力を入れると、尊は喉を反らせて「ッあ……」と艶っぽい喘ぎ声を洩らす。
「京介……」
潤んだ瞳で尊はこちらを見つめていた。
「ん…?」
「ベッドに連れて行って……」
京介は、ハッとなって酔いが冷める。
少年の面影を残す華奢な尊の体を京介は抱きかかえて立ち上がると、尊はうっとりとした顔で京介の引き締まった胸にもたれかかる。
尊の甘い香りが鼻孔をくすぐり、京介の腰に、再び熱が走った。
この甘い果実を今すぐに無我夢中で食らいつきたくなるのを、京介は必死で我慢する。
尊を抱きかかえたまま寝室まで行き、ベッドにそっと尊を寝かせると、柔らかなゴールドアイダーの羽毛布団を白い尊の首までかけてやる。
掛け布団をぽんぽんと叩くと、
「お休みなさい。社長」
と声をかけ、何か言いたそうにしている尊を、敢えて見ない振りをして京介は部屋を出た。
隣の自室に戻ると、ふぅーっとため息をついて、京介は胸元のネクタイを緩める。
尊に求められても、雰囲気に流されて尊を抱きたくはなかった。
汚してはならない、宝物のような存在。
いつの間にか、自分の中で、どうやって扱えば良いのか分からないほど、尊の存在は大きくなっていた。
眩しい程の、しなやかな尊の肢体。
それは、何よりも魅力的だったが、眩むほどに魅力的な尊に、覆い被さって押し倒すほどの勇気は、京介には、まだ無かった……
「おはよう、京介」
「お早うございます。社長」
次の日の朝の尊は、昨晩の事など無かったかのようにいつもと変わりなく、京介を安堵させた。
朝早く、京介と同じくらいの時間に起きてきて、京介と他愛もないおしゃべりをしながら一緒にプライベートキッチンで珈琲を飲む。
何も変わってはいなかった。
唯一変わった事は、以前よりも尊の笑う回数が減った事くらいだったが、それは京介が気がつかないくらいの、小さな小さな変化だった。
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる