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さぁ、出発です!
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「 サーシャ=ユリウスキー皇女様の御成!」
宮殿の大広間に書記官の声が響き渡り、サーシャは玉座の後ろのビロードのカーテンから姿を現す。
大広間はまだ夜明け前だと言うのに、サーシャの出立式に立ち会う為に大勢の貴族達で埋め尽くされていた。
その中央には昨日挨拶をした男達が鎧を着けた騎士の礼装姿で、広間の前列に一列に並び、腰を落として跪いて頭を下げている。
サーシャは一歩前に踏み出すと、
「リューイ、アシュレィ、ユリアス、ヴィクトル、ジョリィ、ルカ、貴方たち6人の働きに期待しています」
そう言うと、騎士達は下を向いたまま「はい!皇女さま」と答える。
次に皇帝である父からの短い御言葉があり、簡素な出立式は終わった。
その後は家族と長い別れを惜しむ間もなく馬に乗せられて、6人の騎士と共に大きく開かれた城の門から出発したのだった。
馬の手綱を握りながらまだ星の出ている夜空を見上げると、ひんやりとした冷たい空気が頬を撫でた。
供をする騎士達も何も喋らず、しばらくは無言で馬を歩かせる。
不安と寂しさが込み上げてきたけれど、サーシャは涙を流さないよう気丈に振る舞う。
夜明け前の城下町に出ると、そこには一晩中寝ないでサーシャたちを待っていた市民達が大勢見送りに出ていてくれた。
「姫!お気をつけて!」
「 サーシャ=ユリウスキー様!万歳!」
「サーシャ様に神のご加護を!」
思いがけない彼らの熱狂的な大歓声に手を振りながら、サーシャは胸が熱くなっていた。
必ずこの旅を成功させて無事に戻って来なくては!
サーシャは心にそう固く誓って馬を前に進ませた。
賑やかな城下町を出ると、再び闇と静寂がサーシャたちを包む。
馬の荒い息遣いと、遠くで聞こえる獣の唸り声だけが耳に聞こえてきた。
一人ではきっと震えるように恐ろしいこの夜道も、サーシャの周囲を囲むように守って馬を進める騎士達のお陰で、どこか楽しい冒険のような気分になってくる。
ふと、目の前の丘に続く道の向こうが、うっすらと明るくなってきているのに気がついた。
間もなく夜明けなのだろう。
サーシャは笑みを浮かべて馬の腹に踵で合図を送ると、馬を駆け足で走らせて丘の頂上を目指す。
「姫!」
突然サーシャの馬が走り出したことに驚いた騎士達はサーシャの馬が暴れだしたと思い、慌てたように声をあげるが、サーシャが笑顔で馬を操っているのを見ると、愛らしい見た目とは裏腹に、少々じゃじゃ馬な面を早々に見せた皇女に、騎士たちは思わず苦笑する。
サーシャの愛馬は駿足で有名だったが、彼等もやすやすと着いてきたのは流石だった。
サーシャが引き離そうとしても負けずに自分の馬達に鞭を入れて、まるでレースでもするかのように騎士たちは丘の上を目指す。
鼻先の僅かでサーシャが先頭でゴールした後は、丘の上で少し馬を休ませた。
「まぁ!見て!」
驚いたような声に騎士たちがその方向に目線を向けると、
その時ちょうど出発の門出を祝うように、輝かしい太陽が向こうの地平線から顔を出すところだった。
顔に当たる朝日を感じながら
「美しいわね」とサーシャが呟くと、彼等は「はい。姫様」と一様に頷く。
一向は再び馬を歩かせた。
この先は急勾配の下り坂が続いていた。
駆け足で来た上りと違って、下りは慎重に馬を歩かせる。ゆっくりと時間をかけて前へ進ませると、平らな地面へとたどり着いた時には既に太陽はすっかりと顔を出していた。
宮殿の大広間に書記官の声が響き渡り、サーシャは玉座の後ろのビロードのカーテンから姿を現す。
大広間はまだ夜明け前だと言うのに、サーシャの出立式に立ち会う為に大勢の貴族達で埋め尽くされていた。
その中央には昨日挨拶をした男達が鎧を着けた騎士の礼装姿で、広間の前列に一列に並び、腰を落として跪いて頭を下げている。
サーシャは一歩前に踏み出すと、
「リューイ、アシュレィ、ユリアス、ヴィクトル、ジョリィ、ルカ、貴方たち6人の働きに期待しています」
そう言うと、騎士達は下を向いたまま「はい!皇女さま」と答える。
次に皇帝である父からの短い御言葉があり、簡素な出立式は終わった。
その後は家族と長い別れを惜しむ間もなく馬に乗せられて、6人の騎士と共に大きく開かれた城の門から出発したのだった。
馬の手綱を握りながらまだ星の出ている夜空を見上げると、ひんやりとした冷たい空気が頬を撫でた。
供をする騎士達も何も喋らず、しばらくは無言で馬を歩かせる。
不安と寂しさが込み上げてきたけれど、サーシャは涙を流さないよう気丈に振る舞う。
夜明け前の城下町に出ると、そこには一晩中寝ないでサーシャたちを待っていた市民達が大勢見送りに出ていてくれた。
「姫!お気をつけて!」
「 サーシャ=ユリウスキー様!万歳!」
「サーシャ様に神のご加護を!」
思いがけない彼らの熱狂的な大歓声に手を振りながら、サーシャは胸が熱くなっていた。
必ずこの旅を成功させて無事に戻って来なくては!
サーシャは心にそう固く誓って馬を前に進ませた。
賑やかな城下町を出ると、再び闇と静寂がサーシャたちを包む。
馬の荒い息遣いと、遠くで聞こえる獣の唸り声だけが耳に聞こえてきた。
一人ではきっと震えるように恐ろしいこの夜道も、サーシャの周囲を囲むように守って馬を進める騎士達のお陰で、どこか楽しい冒険のような気分になってくる。
ふと、目の前の丘に続く道の向こうが、うっすらと明るくなってきているのに気がついた。
間もなく夜明けなのだろう。
サーシャは笑みを浮かべて馬の腹に踵で合図を送ると、馬を駆け足で走らせて丘の頂上を目指す。
「姫!」
突然サーシャの馬が走り出したことに驚いた騎士達はサーシャの馬が暴れだしたと思い、慌てたように声をあげるが、サーシャが笑顔で馬を操っているのを見ると、愛らしい見た目とは裏腹に、少々じゃじゃ馬な面を早々に見せた皇女に、騎士たちは思わず苦笑する。
サーシャの愛馬は駿足で有名だったが、彼等もやすやすと着いてきたのは流石だった。
サーシャが引き離そうとしても負けずに自分の馬達に鞭を入れて、まるでレースでもするかのように騎士たちは丘の上を目指す。
鼻先の僅かでサーシャが先頭でゴールした後は、丘の上で少し馬を休ませた。
「まぁ!見て!」
驚いたような声に騎士たちがその方向に目線を向けると、
その時ちょうど出発の門出を祝うように、輝かしい太陽が向こうの地平線から顔を出すところだった。
顔に当たる朝日を感じながら
「美しいわね」とサーシャが呟くと、彼等は「はい。姫様」と一様に頷く。
一向は再び馬を歩かせた。
この先は急勾配の下り坂が続いていた。
駆け足で来た上りと違って、下りは慎重に馬を歩かせる。ゆっくりと時間をかけて前へ進ませると、平らな地面へとたどり着いた時には既に太陽はすっかりと顔を出していた。
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