普通の学生だった〜番外編。「吸血鬼」

かーにゅ

文字の大きさ
14 / 345

お出かけ 1

しおりを挟む
柚琉視点

「たのしみっ!!」
「柚はお外出るの初めてなんだっけ」
「うん。まだ狙われる危険がないとも限らないし嫌なことはさせられないしちょっと我慢してもらってたんだ」
「庭があるといっても外に比べると狭いものね」
みんなでおでかけ!!
翔にぃにはお仕事終わったら来るんだって。
僕?
僕はねー夏にぃににおんぶしてもらってるの~。
しっぽ見てたらね、歩きながら触るのは危ないからっておんぶなら触っていいよって。
ふわふわわーい。
「ぬいぐるみは持って来れなかったからね。夏のしっぽで満足して貰えるならいいんだよ」
「ぬいあるよー?」
「「「「え?」」」」
夏にぃにの背中と僕のお腹で隠してたの。
「くまちゃん!!ちゃんとおきがえしたのー」
「柚…汚れちゃうから置いてこようねって言ったのに」
「汚れると泣いちゃうのは柚なのに…」
「くまちゃんもいっしょにおでかけするのー」
ぴくにっくっていってたの。
みんなでお外でご飯食べたり遊んだりするんだって。
「ここでいいかな」
「ふぁぁ…!!」
広い!!
お庭より広いっ!!
あっ!!
あっちお水いっぱいある!!
「柚?遊ぶなら目の届く範囲でね?」
「はーいっ!!」
「柚待って!!夏も行くから!!」
お外真っ暗だから僕も遊べるのっ!!
いーっぱいねんねしたよっ!!
でもねでもね、直にぃにがくれたふわふわ浮かんでる明かりさんがないところは怖いの。
「なつにぃにー!!」
「え?どうしたの?」
「あっちこわい…くらいのこわいー」
「怖いの?じゃあもうちょっとライト増やそうか」
夏にぃにが小さく何かを呟くと明かりさんがいっぱい増えた。
「これだけあればいいかな?柚に追尾するようにしたからね」
「ありがとっ!!」
僕はたーっといっぱい走ってみた。
お庭じゃあんまり走れないもんね。
お庭はお花がいっぱいあるからダメなの。
「…おみず」
あそこのお水いっぱいのところ気になる…けどお水嫌い。
落ちちゃう?
お風呂みたいに足つく?
「柚?どこか行きたいところあるの?」
「あっち…」
「…湖?あそこはちょっとやめておこうか」
「なんで?」
「柚の嫌いなこわーいおばけが出るから」
「ふぇっ!?」
おばけさんいるの!?
「ままー!!ぱぱー!!」
僕は慌ててみんなの所に戻った。
「柚どうしたの?もう遊ばないの?」
「こわいー!!もうかえる!!かえるー!!」
「お外でご飯にしないの?」
「夏がお化けって言っちゃったからかも。…あの湖からセイレーンの気配したから柚に近づいて欲しくなくて」
「あー…」
おばけ嫌っ!!
おばけいるならお外行かないっ!!
おうちにいるの!!
おうちでみんなで遊ぶのっ!!
「ゆーず。口開けて?」
「う?」
パパは何かを口に入れてくれた。
「あまぁい…」
「柚用のおやつだよ。気に入った?」
「んっ!!」
「今日このおやついっぱい持ってきたからお外で食べようと思ったんだけど…柚が帰るなら残念。このおやつはもうないないだね」
「え?」
「お外用のおやつだから。おうちだと柚はおやつに赤いの飲むでしょ?」
うー…おやつ欲しい…けどおばけやだ。
「…おばけ来ない?」
「来ないよ。来たとしてもパパとにぃにで追い払ってあげるから」
「消滅させるの間違いでしょ」
「憑かれるよりかは消した方が楽だからね」
おばけ来ないならお外でもいいかな?
おやつ食べたいもん。
「おやつちょーだい」
「これか?」
ぱくっ、と口にして…あれ?
「しょーにぃにっ!!」
「仕事終わったから急いで来たんだ。美味いか?」
「うんっ!!」
ぎゅーする。
にぃにとぎゅーするっ!!
「ぎゅー」
「だっこか?」
「…しょーにぃにくしゃい」
なんか変な匂いする。
夏にぃにがくさかった時とは違う匂い…?
「あぁ…今日ボヤ騒ぎがあったからそれかもな」
「ボヤ?大変ね…書類なんかは大丈夫だったの?」
「訓練中にバカやったやつがいたみたいだな。訓練所内が多少燃えた程度だが使われてた木材が煙の出るやつでな…匂いがついたのかも」
「落としましょうか…」
ママが手をかざすとにぃにの体がぱぁって明るくなった。
「柚、どうだ?」
「くしゃいない。にぃにのにおいっ!!」
「俺の匂いってなんだ?」
分かんないけどにぃにの匂いっ!!
安心する匂いなのー。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

ルームメイトが釣り系男子だった件について

perari
BL
ネット小説家として活動している僕には、誰にも言えない秘密がある。 それは——クールで無愛想なルームメイトが、僕の小説の主人公だということ。 ずっと隠してきた。 彼にバレないように、こっそり彼を観察しながら執筆してきた。 でも、ある日—— 彼は偶然、僕の小説を読んでしまったらしい。 真っ赤な目で僕を見つめながら、彼は震える声でこう言った。 「……じゃあ、お前が俺に優しくしてたのって……好きだからじゃなくて、ネタにするためだったのか?」

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

お兄ちゃん大好きな弟の日常

ミクリ21
BL
僕の朝は早い。 お兄ちゃんを愛するために、早起きは絶対だ。 睡眠時間?ナニソレ美味しいの?

ヴァレンツィア家だけ、形勢が逆転している

狼蝶
BL
美醜逆転世界で”悪食伯爵”と呼ばれる男の話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一日だけの魔法

うりぼう
BL
一日だけの魔法をかけた。 彼が自分を好きになってくれる魔法。 禁忌とされている、たった一日しか持たない魔法。 彼は魔法にかかり、自分に夢中になってくれた。 俺の名を呼び、俺に微笑みかけ、俺だけを好きだと言ってくれる。 嬉しいはずなのに、これを望んでいたはずなのに…… ※いきなり始まりいきなり終わる ※エセファンタジー ※エセ魔法 ※二重人格もどき ※細かいツッコミはなしで

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

処理中です...