普通の学生だった〜番外編｡「吸血鬼」

ボール 1

柚琉視点

｢ままー!!なげるよー!!｣
｢えぇ､いいわよ｣
両手で抱えたボールをママの方にえいっと投げた｡
が､下に落ちて転がっていった｡
あれれ？
なんでー？
｢…柚はもう少し近くでやりましょうか｣
｢まだそうだよね｡お外でやるのはいいけど土とかつくからおめめ気をつけてね｣
｢はぁい｣
うー｡
ピンク色のボールはおっきくてちょっと持ちにくい｡
｢柚にキャッチボールはまだ早かったわね｣
｢きゃっちぼーる？｣
｢ボールを投げて受け取ってって繰り返すのよ｣
｢やるー!!｣
｢｢え？｣｣
｢ふぇ？｣
ママとパパがびっくりした顔をしていた｡
｢…柚…投げれる？｣
｢受け取るのもできないわよね…？｣
｢できるー!!｣
｢…本当に？｣
｢うん!!｣
｢ママ､投げるわよ…？｣
ママはボールを僕の方に投げ…
ゴスっ｡
｢ふぇ？｣
｢っかは…雫…ちょ…腹は…腹はダメだって…｣
｢あらごめんなさい｡柚に当たらないようにと思ったらそこにあなたがいたの｡悪気はないのよ？｣
｢…柚…ママとキャッチボールはやめようか…死ぬよ｣
｢…ふにゅ？｣
パパはお部屋の中に戻って行っちゃった｡
どうしたのかな｡
お腹押さえてたよ？
お腹痛い痛いなの？
｢柚はバウンドさせるくらいがちょうどいいわよね｣
｢にゅ？｣
ママはボールを優しく下に落とした｡
すると､ボールはポンポン跳ねながら僕の方に来た｡
｢わー!!｣
すごいすごい!!
どうやったの！？
｢本当は加減できるのパパには内緒よ？この後寝込まされるぐらいなら先に寝込ませてやればいいと思ったの｣
｢にゅ？｣
｢柚には分かってないわね｣
うんわかんなぁい｡