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惟 母視点

「ふふ、楽しそうね」
「え、えぇ…」
藤沢さんのおうちは…想像以上に凄かった。
魔族の親なのだから魔族なのは当たり前だけれど…。
中世ヨーロッパの貴族が住んでいる屋敷かしらと思ってしまったもの。
玄関からすぐに大きな階段。
玄関自体も大きくて高い天井にはシャンデリアが。
…ああいうのってホテルでしか見ないわよね。
「ママ友っていなかったから嬉しいわ」
「え…?」
「私達は異端児だもの。魔族は実力主義。弱いものは強いものに謙ってしまうからお友達という感じではなかったのよね」
「…そう…ですか。私もまだ引っ越してきたばかりで知り合いなんて全く…」
「あら、なら私が最初なのかしら?」
「そう…なりますね」
「これから仲良くしましょうね。子供抜きでもお茶しましょうか」
「まま、なかまはずれやーよ」
「あら柚、もうゲームはいいの?」
「ままがいーの」
ゆずくんは雫さんの膝に登るとその大きなお胸に抱きついた。
「ふゆ…」
「あらあらまぁまぁ」
「柚…だからパパ毎日言ってるよね?ママのはパパのものだよ?柚のじゃないよ?」
「やー!!」
「柚にはスライムあげたでしょ!?」
「やーやー!!」
どこかで見たことがある光景ね。
惟がまだ赤ん坊の頃はあきら(惟のパパ)もああやって拗ねていたわね。
「ぷー!!」
「…うっま、なにこのポテチ…」
「ふぇ!?おいしいおやつ!?ぼくもたべるー!!」
惟の声を聞いてゆずくんはすぐに戻っていった。
「何か困ったことがあれば言ってくださいね」
「私達夫婦が何とかできることなら助けられるわ」
「「はい…」」
藤沢さん家に出来ないこと…なんだろ。
「あ、死者蘇生は苦手よ?」
「どう頑張ってもアンデッドになっちゃうからね…まぁそれでもいいなら請け負うよ?」
「あとは…錬金術かしら?」
「雫得意でしょ」
「物が揃わないのよね…昔と違って」
…なんの会話でしょうか…アニメ?
え?
現実の話?
「ま、何とかなるわ」
「いざとなったら魔王の今までの借りもあるし」
魔王…?
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