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ふぃふてぃーしっくす 育ての父と育ての祖父かな?

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「…このあたりに空き家はない。この家だって俺が建てたんだ」
「俺たちも作るからいい」
「危険だからと土地が安売りされていた」
「一応バルド以上の実力はまだあるつもりだが?」

 バルドお兄さんとそのお父さんの攻防戦(口だけ)は三日三晩続きました。

「バルドお兄さん、その人は住むの?住まないの?どっち?」
「住む!」
「住まない」

 ハモった。いい加減決めてくれないかな。

「僕は別にどっちでもいいんだけど」
「俺が嫌なんだ。ハル、暇なら遊びに行っていいんだぞ」
「ウルトは店の手伝いだしユラは熱出しちゃったしゼムは特訓だって」
「…友達全員に用事があったのか」

 そうなんだよね。今日は珍しくみんな集まらないの。ギルドに休みはほとんどないから毎日のように顔合わせてたんだけど、今日は月に一回のギルドの定休日とかで誰も遊ぼうとか言わなかったんだー。

「僕あっちで本読んでるから」
「読めるか?読んでやろうか?」
「ユラに教えてもらったしバルドお兄さんに読んでもらったら僕があっちに行く意味ないでしょ」
「そうだな…」

 寝室に入った僕はベッドに思いっきり飛び込んだ。

 ゲームがない世界って休みの日暇だな。僕のこっちに来た時の荷物の中にはゲームはないし、前にバルドお兄さんが荷物持ってきてくれたから中身確認してみたけどスマホは電池切れで始業式だけだったから教科書類も筆箱も持ってなかったんだよね。要するに、役に立たない!

「バルドお兄さんのお父さんねぇ…」

 だいぶおっきかったな。あれが基準なのか?僕そんなちっちゃい?

「ちっちゃくない!」

 そうだ!僕はちっちゃくなんてない!小学生に間違われるしこの世界では3歳児扱いされてるけどちっちゃくなんてない!

「ユラにもらった絵本どこだっけな」

 僕のものは寝室に置いてあるから絶対この部屋のどこかなんだけどな。

「…あー…本棚に入れた気がする…」

 バルドお兄さんが買ってくれた本も大量に入っている本棚に。

 …本は本棚に入れておきたいんだもん。シリーズならちゃんと並べたいし、文庫とか作者で並べ替えたりもするよ。この世界の文字は難しくて理解できないから適当に入れてあるけど。

「…どれがユラのだっけな…」

 明るい色の背表紙だったと思うんだけど…明るい色大量にあるな。

「仕方ない…全部確認するか」

 大人たちの話し合いは終わりそうないもんね。いい時間つぶしにはなるでしょ。
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