とある使用人の日記

かーにゅ

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6日目

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七夕って織姫と彦星の話だよな~。
懐かしいな。
…うん、というか用意した笹大きすぎ。
上の方脚立使わないと飾り付けられないぞ。
「短冊立派だな…」
「柚琉様と夏羽様用だってよ」
お?
今年は夏羽様も書くのか。
まぁ多分ゲーム欲しいだろうな。
夏羽様は子供っぽいから。
柚琉様は…ケーキかな。
毎日食べてるのに飽きないし。
「かざりつくってるの?ぼくもやる!!」
「うわっ!!」
「うお!?」
椅子に座って作業をしていた俺達の間から柚琉様がにょきっと現れた。
小さくて気づかなかったんだな。
「柚琉様…何故使用人棟に」
「まいごっ!!」
またか!!
「ねぇかざりつくるのぼくもやりたい。いいでしょ?」
「…はい」
俺達は柚琉様の命令やお願いには逆らえない。
だって一応雇い主の息子だし?
俺らよりは身分も上だし?
柚琉様の前に細長く切った折り紙とノリを置いた。
「これを輪にしてこんなふうに繋げてください」
「わかった!!あとでちょっともらっていい?」
「?はい」
…こんなの持って行ってどうするんだ?
ただの紙の輪っかだぞ?
柚琉様は黙々と輪を繋げ始めた。



「できたっ!!」
「「長!?」」
「かざりようはそっち。これもらっていくね」
柚琉様は作った紙の輪っかを抱えてどこかへ走っていった。


中庭にて…
「なつ!!でんしゃごっこしよ!!」
「なにそれ?おりがみ?」
「うん!!おりがみつなげてつくったの!!」
あぁ…電車ごっこの紐の代わりか。
確かに柚琉様の周りに紐とかロープとかはないもんな。
万が一首を絞めるなんてことにならないようにだってさ。
樹さんが作る柚琉様の服も紐はあるけど飾りでめちゃくちゃ短いし。
「…また柚琉様観察か」
「おーB。飽きないからな~盗撮も旦那様に許してもらったし」
「…あれ旦那様の許可済みかよ。だからお前が撮ってんのにあんな高性能な画像映写機に入れてあるんだな」
(藤沢製画像映写機。ただし旦那様の修正済みでこの家の敷地を出ると作動しない。…画像流失を防ぐためだよなぁ)
「おいこら。カメラは自腹だぞ」
「…マジか。あれ5万するだろ」
「給料から出した。食費は月5000円でいいし」
「光熱費はかからないし家賃も月4万。…最高な条件だよな」
うん。
実際転職したいって人、1人もいないし。
「あー!!やぶれたー!!」
「だいじょーぶ。またおりがみつかえばなおせるよ」
「じゃあもらってこよ!!」
…あー…折り紙用意するか。
さっきの片付けちゃったし。
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