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選択編
樹の里編part3
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引き続…めんどい
「着きましたよ。ここが柚琉様がお泊まりになるお部屋です」
「…和室!!」
「お嫌でしたか?」
「ううん。…畳の匂いする…不思議な匂い」
「柚琉様、着替えをしましょう」
ここに来るまで少し暑かったし汗をかいているだろう。
服を脱がせ用意していた部屋着を着せた。
「…では挨拶に行きましょうか」
「樹くん?なんか…嫌そうだよ?」
僕としたことが、感情が顔に出ていたか。
「失礼します」
襖を開くとやはりそこには長と祖母、父、母が待っていた。
「…樹く」
「正座できないならしなくていいですよ」
「…ありがと」
柚琉様はすぐに足を崩した。
「その方が樹の主か?可愛いな」
「…僕は可愛くないです」
「十分可愛いぞ?」
「…柚琉様。諦めてください。あなたは可愛らしいんです」
「可愛くないもん…!!」
頬を膨らませ、拗ねてしまった。
「柚琉様、初めまして。樹の母皐月と言います」
「…皐月さん」
「そうです。いつも樹がお世話になっております」
「…僕がお世話されてるだけです。…ごめんなさい…樹くん返してあげられないです。僕…樹くんがいないと着替えもできなくて…」
「樹。お前またやりすぎたな?」
長にバレた。
「…いいじゃないですか。柚琉様はまだ7歳ですよ?」
「だが藤沢の跡継ぎだろう?」
「跡継ぎは長男の翔様で柚琉様は4男ですからそこの心配はありません」
「そうか…柚琉様、こちらに」
「…んにゅ?」
柚琉様が長に近づくと長は自らの膝に乗せた。
「にゃぁ!?」
「しばらくはおじいちゃんだと思っていいんだぞ?」
「でも…」
「わしが言っているんだからいいんだ」
「…樹くんのおじいちゃん…」
「樹くんのはいらないぞ」
…始まった。
長の溺愛。
「…母様」
「あー…うん。ほっといてくれ。俺…樹達を産んでから全く子供ができなくてこの地域自体の子供も少なくなってるから可愛がれてないんだよ」
「樹。お前もやっぱり長の血をひく子だな…」
「悪いですか」
柚琉様は着るものや食べるものにも注意が必要なんだから当たり前でしょ。
「ほら。煎餅食べるか?」
「ありがとうございます…」
「敬語もいらない」
「あ…ありがちょ」
噛んだ。
「っ!!樹!!」
「あげませんよ」
柚琉様の従者は私ひとりで十分です。
「…樹くん助けて…」
その言葉を聞いた瞬間、柚琉様を長の膝から母様の膝へと移動させた。
母様は常識人だから。
…ちょっと頭が弱いことを除けば。
「…軽い」
「え…樹くんも言ってたけど僕重いはずなのに…」
「樹。柚琉様って何食べてるんだ?」
「…朝食は直径10センチほどのパンケーキを1枚とヨーグルトを小さめのカップ1杯分。昼食はお子様弁当半分」
「明らかに足りなくないか…?」
「…足りていませんよ」
「ひっ…」
思わず柚琉様を睨むと小さな悲鳴をあげ、母様に抱きついた。
「…それ以上食べてくださらないからおやつの時間を増やしているんですよ」
「だ…だって食べれないもん…」
「私共の目を盗んで夏羽様とつまみ食いをしているからでしょう」
「ぴゃっ!?なんで知ってるの!?」
…知っていますとも。
つまみ食いと言ってもそれ用に厨房で作ってるんだから気づくわ。
「着きましたよ。ここが柚琉様がお泊まりになるお部屋です」
「…和室!!」
「お嫌でしたか?」
「ううん。…畳の匂いする…不思議な匂い」
「柚琉様、着替えをしましょう」
ここに来るまで少し暑かったし汗をかいているだろう。
服を脱がせ用意していた部屋着を着せた。
「…では挨拶に行きましょうか」
「樹くん?なんか…嫌そうだよ?」
僕としたことが、感情が顔に出ていたか。
「失礼します」
襖を開くとやはりそこには長と祖母、父、母が待っていた。
「…樹く」
「正座できないならしなくていいですよ」
「…ありがと」
柚琉様はすぐに足を崩した。
「その方が樹の主か?可愛いな」
「…僕は可愛くないです」
「十分可愛いぞ?」
「…柚琉様。諦めてください。あなたは可愛らしいんです」
「可愛くないもん…!!」
頬を膨らませ、拗ねてしまった。
「柚琉様、初めまして。樹の母皐月と言います」
「…皐月さん」
「そうです。いつも樹がお世話になっております」
「…僕がお世話されてるだけです。…ごめんなさい…樹くん返してあげられないです。僕…樹くんがいないと着替えもできなくて…」
「樹。お前またやりすぎたな?」
長にバレた。
「…いいじゃないですか。柚琉様はまだ7歳ですよ?」
「だが藤沢の跡継ぎだろう?」
「跡継ぎは長男の翔様で柚琉様は4男ですからそこの心配はありません」
「そうか…柚琉様、こちらに」
「…んにゅ?」
柚琉様が長に近づくと長は自らの膝に乗せた。
「にゃぁ!?」
「しばらくはおじいちゃんだと思っていいんだぞ?」
「でも…」
「わしが言っているんだからいいんだ」
「…樹くんのおじいちゃん…」
「樹くんのはいらないぞ」
…始まった。
長の溺愛。
「…母様」
「あー…うん。ほっといてくれ。俺…樹達を産んでから全く子供ができなくてこの地域自体の子供も少なくなってるから可愛がれてないんだよ」
「樹。お前もやっぱり長の血をひく子だな…」
「悪いですか」
柚琉様は着るものや食べるものにも注意が必要なんだから当たり前でしょ。
「ほら。煎餅食べるか?」
「ありがとうございます…」
「敬語もいらない」
「あ…ありがちょ」
噛んだ。
「っ!!樹!!」
「あげませんよ」
柚琉様の従者は私ひとりで十分です。
「…樹くん助けて…」
その言葉を聞いた瞬間、柚琉様を長の膝から母様の膝へと移動させた。
母様は常識人だから。
…ちょっと頭が弱いことを除けば。
「…軽い」
「え…樹くんも言ってたけど僕重いはずなのに…」
「樹。柚琉様って何食べてるんだ?」
「…朝食は直径10センチほどのパンケーキを1枚とヨーグルトを小さめのカップ1杯分。昼食はお子様弁当半分」
「明らかに足りなくないか…?」
「…足りていませんよ」
「ひっ…」
思わず柚琉様を睨むと小さな悲鳴をあげ、母様に抱きついた。
「…それ以上食べてくださらないからおやつの時間を増やしているんですよ」
「だ…だって食べれないもん…」
「私共の目を盗んで夏羽様とつまみ食いをしているからでしょう」
「ぴゃっ!?なんで知ってるの!?」
…知っていますとも。
つまみ食いと言ってもそれ用に厨房で作ってるんだから気づくわ。
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