普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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番外編

映画

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「はやくー!!」
「柚、売店は行かなくていいの?」
「え、かっていいの?わがままいってつれてきてもらったのに…」
「いいのよ。柚は何が食べたい?ポップコーン?それともチュロスかしら?」
「あのね、せっとのやつがいいの」
「これかな。バスケット付きだよね?頼んでくるよ、雫は?」
「私は紅茶とチュロスにするわ」
「了解」
どうして映画館で見る映画ってこんなに楽しみなんだろうね。
…あ。
「かあさん…ぼく…おいす…」
「あぁ、ふふ。クッションがいるのよね?でも大丈夫じゃないかしら」
「どうして?」
「きっと柊二がお膝に乗せてくれると思うわよ?」
お膝…重たくないかな。
大丈夫かな?
「お待たせ。柚は白ぶどうのジュースで良かったの?」
「うん!!」
「Mサイズで氷少なめにしてもらったからね」
「ありがと」
「はい、こっちは雫の。シナモンアップルティーだよ」
「ありがとう。じゃあ行きましょうか」
「うん!!」






「おせきない…」
「大丈夫だよ」
「柚は1番上の列がいいのよね?」
「うん…」
1番上の列の真ん中より少し右にふたーつだけ空いていた。
「ほら、柚は父さんのお膝ね?」
「おもたいよ?」
「柚くらい大丈夫だよ」
父さんは先に母さんを座らせ、自分も座ると僕をお膝に座らせた。
母さんとの間の肘置きは撤去されて、そこにポップコーンが置かれていた。
「ぼくのぽっぷこーん!!」
「ハーフで入れてあるからこっちがばたーしょうゆでこっちがキャラメルね」
「ありがとっ!!」
ジュースもいっぱいあるしポップコーンもいっぱい!!
映画も僕の好きな番組のだし父さんと母さんも一緒!!
とーっても幸せ!!
「柚…映画の大きい音とか大丈夫?怖くない?」
「だいじょうぶ!!」










数分後…
「ふぇっ…ぇぐ…こぁい…」
「…やっぱりね」
どーんって…どーんってした…。
「柚…もう出ようか。後でDVD買ってあげるからおうちで見よう?」
「やぁ…」
「…もう出た方がいいわね。泣きすぎて発作を起こしちゃいけないわ」









「うぅ…ぐすっ…」
「映画館はおうちとは違うもんね…怖かったね。これからは見たいのはDVDで見ようか」
「おうちならケーキを食べながら見られるわよ?」
「けーき…」
「ジュースだって柚の好きなのでいいんだよ?」
「おうちがいぃ…」
父さんは早速プレイヤーにさっき買ったDVDを入れてくれた。
「柚はここね」
おっきいクッションに座らされて周りにいっぱいぬいぐるみを置かれ、手の届くところにミニテーブルとおやつとジュースが置かれた。
「うゅ…」
「…柚が寝るようなら止めておいて」
「はい」
「さっきのぽっぷこーんは?」
「ここにあるわよ」
バスケットをぎゅっと抱きしめてパクパク食べながら僕だけの特等席で映画を見れた。
というより…おうちのテレビおっきいんだから映画館行く必要なかったな。
父さんと母さんと3人でお出かけ出来るの嬉しくてつい言っちゃった。
「またこんど…おさんぽしよ?」
「えぇいいわよ」
「お休み取れるようにしておくね」
「うん!!」















実は映画館の席は仕組まれていました。
柚達が入った部屋は全員柊二の息のかかった者で固められていたのだ。
普段甘えてこない柚に自然に甘えさせるため空席を2つだけにしてあった。
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