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第1章:危険区域編
街を目指して
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シエルから初めての名を授かったフェンリル――フェリルは満更でもない様子で、この先どうするのかと尋ねた。
「フェリル、か。良い響きだな。名を持つこと自体、初めてだが……悪くはない。それで、お主はこれからどうするのだ?」
「あ、そうだった……私、街を目指していた途中だったの。偶然この水辺を見つけて、休憩をとろうと思ったら瀕死のフェリルが倒れていて……今に至るわ。」
町を目指すというシエルの言葉に、フェリルは少し考え込む。
「ふむ、街か……」
その様子を見たシエルは、不安そうな表情でフェリルを見つめる。
「なにか問題があるの……?」
「行くこと自体は問題なかろう。だが……お主、身分証はあるのか?」
「身分証……?」
フェリルの言葉を聞いて、はて……?と考え込み、思考が停止するシエル。
「街に行くなら関所を通らねばならぬだろう。身分証がなければ通してはくれんだろうよ。関所の検問は厳しいからな。偽りの身分証では通れぬし、スキルを見抜く術者がいるとも聞く。」
「噓でしょ……あっ!待って、もしかしたら……」
一瞬、落胆した様子を見せるシエルだったが何かを思い出したようにアイテムボックスを探っている。
「……あった!ありがとう女神様~!」
シエルは女神に感謝しつつ、アイテムボックスの中から”シエル・フェンローズ”と記載されている1枚のカードを取り出してフェリルに見せた。
「お主のこのカードであれば、問題なく関所も通過できるであろう。それにしても、アイテムボックス持ちと来たか……」
フェリルはシエルの身分証よりもアイテムボックスに興味があるようだった。
「……アイテムボックスって、そんなに珍しいスキルなの?説明にもマジックバッグの上位互換ってあるんだけど。」
「時間停止機能に、上限なしの収納ときたら……喉から手が出るほど欲しがる輩もおると聞く。……狙われている可能性がある以上、取り扱いには十分注意するがよい。」
フェリルから恐ろしい説明を聞いたシエルは、これから気を付けようと気を引き締めた。
「……気を付けます。さて、身分証も確保できたことだし街を目指して森を抜けましょうか」
「ならば我の背に乗るがよい。」
そう言ってフェリルは身を引くし、シエルが跨りやすいように伏せる。
「え、良いの……?」
「構わん。それに……人の足では森を抜けるのに何日もかかるが、我の足なら数時間で街につく。」
「気高き神獣の背中に乗れるなんて……なんか少し緊張するかも。でも、暖かいね。」
シエルはフェリルの背に跨り、姿勢を正した。
「向かう先はアヴァルディアで良いのだな?」
フェリルの問いかけに頷き、街を目指すために再出発した。
シエルを背に乗せたフェリルは森を駆け抜ける。
道中で敵意をむき出しに襲い掛かってくるフォレストウルフを止まることなく前脚で一蹴し、蹴散らしながら進んでいく――。
「フェリル、か。良い響きだな。名を持つこと自体、初めてだが……悪くはない。それで、お主はこれからどうするのだ?」
「あ、そうだった……私、街を目指していた途中だったの。偶然この水辺を見つけて、休憩をとろうと思ったら瀕死のフェリルが倒れていて……今に至るわ。」
町を目指すというシエルの言葉に、フェリルは少し考え込む。
「ふむ、街か……」
その様子を見たシエルは、不安そうな表情でフェリルを見つめる。
「なにか問題があるの……?」
「行くこと自体は問題なかろう。だが……お主、身分証はあるのか?」
「身分証……?」
フェリルの言葉を聞いて、はて……?と考え込み、思考が停止するシエル。
「街に行くなら関所を通らねばならぬだろう。身分証がなければ通してはくれんだろうよ。関所の検問は厳しいからな。偽りの身分証では通れぬし、スキルを見抜く術者がいるとも聞く。」
「噓でしょ……あっ!待って、もしかしたら……」
一瞬、落胆した様子を見せるシエルだったが何かを思い出したようにアイテムボックスを探っている。
「……あった!ありがとう女神様~!」
シエルは女神に感謝しつつ、アイテムボックスの中から”シエル・フェンローズ”と記載されている1枚のカードを取り出してフェリルに見せた。
「お主のこのカードであれば、問題なく関所も通過できるであろう。それにしても、アイテムボックス持ちと来たか……」
フェリルはシエルの身分証よりもアイテムボックスに興味があるようだった。
「……アイテムボックスって、そんなに珍しいスキルなの?説明にもマジックバッグの上位互換ってあるんだけど。」
「時間停止機能に、上限なしの収納ときたら……喉から手が出るほど欲しがる輩もおると聞く。……狙われている可能性がある以上、取り扱いには十分注意するがよい。」
フェリルから恐ろしい説明を聞いたシエルは、これから気を付けようと気を引き締めた。
「……気を付けます。さて、身分証も確保できたことだし街を目指して森を抜けましょうか」
「ならば我の背に乗るがよい。」
そう言ってフェリルは身を引くし、シエルが跨りやすいように伏せる。
「え、良いの……?」
「構わん。それに……人の足では森を抜けるのに何日もかかるが、我の足なら数時間で街につく。」
「気高き神獣の背中に乗れるなんて……なんか少し緊張するかも。でも、暖かいね。」
シエルはフェリルの背に跨り、姿勢を正した。
「向かう先はアヴァルディアで良いのだな?」
フェリルの問いかけに頷き、街を目指すために再出発した。
シエルを背に乗せたフェリルは森を駆け抜ける。
道中で敵意をむき出しに襲い掛かってくるフォレストウルフを止まることなく前脚で一蹴し、蹴散らしながら進んでいく――。
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