転生召喚者は異世界で陰謀を暴く~神獣を従えた白き魔女~

*⋆☾┈羽月┈☽⋆*

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第3章:魔導国家編 ①

第15話 引き裂かれる友情

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敵対の火花が密かに宿る静寂な室内で、レイノルドの低い声が静かに響き渡る。

「シエルさん……まさかと思うけど、僕のステータスを鑑定したりした?」

シエルは片目を押さえたまま無言でうなずく。

「なんて危険な真似を……大丈夫かい?」

心配そうにシエルを見つめ、1歩近付いた。

「それ以上――シエルに近づくな、レイ……」

ノクターンは威圧的な低い声で冷たく言い放つ。
漆黒の長剣をレイノルドに向け、月灯りに照らされた剣先がキラリと光る。

「怖いなぁ……それ、しまってよノクス。親友に剣を向けるなんて、ひどいじゃないか……」

肩をすくめるレイノルドは両手をあげてノクターンに告げる。

「……敵か味方かもわからない奴を、親友だなんて呼べるかよ――!」

ノクターンは眉を顰めて顔をそむける。
その顔は悲痛に歪み、静かに唇をかみしめている。

(団長さん……)

シエルは痛む目を押さえながら、そっと自分に状態回復ヒーリングをかける。
信じていた親友に裏切られた――というノクターンの悲しみと絶望感が、ひしひしと背中越しから伝わってくる。

(どうして、レイノルドさんが……こんなことを?)

過去に同じような状況を経験したことがあるシエルは、ノクターンの気持ちが痛いほどわかる。
困惑した表情で静かにレイノルドを見つめ、静かにノクターンの手を握る。

「そんなこと言われると傷つくなぁ……」

レイノルドはため息をついて碧眼の瞳を伏せる。

「……さっきのは、防御魔法が発動しただけさ」

「防御魔法だと?」

凍てついた目でレイノルドを見つめ、鋭い言葉を投げかける。

「僕のステータスは……ただの情報じゃないんだ。だから厳重に封じられてるのさ」

ノクターンは保護魔法をかけた人物を問いただす。

「……誰にだ」

レイノルドが静かに首を横に振る。

「それは……残念だけど、言えないなぁ。」

少しの沈黙の後、レイノルドが小さな声で告げる。

「まさか、シエルさんが鑑定を使えるなんてね……。本当に、君たちの側にいると――想定外な事ばかり起こるんだから……」

レイノルドは深いため息をつく。

「鑑定を弾いたのは……あなたで、2人目。」

1人目は魔塔主――セラフィウス。
あれは弾いたというより、何の情報も表示されなかった……という方が正しい。

シエルは魔塔で鑑定を使った相手がノクターンで良かったかもしれない――と安堵の息をつく。
もしあの場でレイノルドに鑑定をかけていたら……と考えただけで背筋が凍る。

「へぇ?記念すべき1人目は誰なんだい?」

驚いた表情を見せるレイノルドは、シエルの鑑定を弾いたもう1人の相手が誰なのかを尋ねた。

「信用できないお前に打ち明ける話じゃない。この件は俺とシエルの秘密だ」

ノクターンは剣を構えたまま素っ気なく答える。

「僕だけ仲間外れなのは悲しいな……まぁ、仕方ないんだけどねぇ」

レイノルドの碧眼の瞳がノクターンの濃紺の瞳を捉えて静かに睨み合う。
2人の間には緊迫した空気が漂い、敵対の火花があがっていた――。
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