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第3章:魔導国家編 ②
第7話 進捗報告 ②
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薄暗い秘匿区域のゲート前で結界に阻まれ、シエルの身を案じながら不安に押しつぶされそうだったノクターン。
そんな彼のもとに、穏やかな口調で話すレイノルドからの伝令が届いた。
普段と変わらないレイノルドの穏やかな声と雰囲気に、ノクターンは少しだけ冷静さを取り戻していた。
「その消えた魔塔主なら、俺たちと一緒にいるぞ」
ノクターンは笑いながらレイノルドに告げる。
「はぁ?なんで、魔塔主がノクスたちと一緒にいるのさ……」
レイノルドの驚きと困惑が、伝令石を通じて伝わってくる。
「それは俺が聞きたいくらいだ。」
ノクターンが深いため息をついて口を閉ざした。
司書長から追い返されそうになった絶妙なタイミングで、背後から気配もなくセラフィウスが現れた事を思い返していた。
(まるで、こうなることを最初から知っていたかのようで――気味が悪いな。)
「おーい、ノクス?急に黙ってどうしたの?」
レイノルドの問いかけに、一瞬だけ躊躇いを見せるノクターンが重たい口を慎重に開いた。
「……魔塔主が俺たちと一緒にいる。そう言ったが……正確にはシエルと一緒にいる――と言った方が正しいな」
ノクターンの発言を境に、空気がズンっと重たくなるのを感じた。
沈黙と静寂に支配される空間で、レイノルドがゆっくりと沈黙を破った。
「……どういうこと?ノクス、あの子を――1人にしたの?」
低く、鋭い刃物のようなレイノルドの言葉が、ノクターンの心を深くえぐった。
「何度も警告しただろ!?あれほど1人にするな、ってさ!……なのに、どうしてっ――!」
普段のレイノルドとは、かけ離れた荒々しい怒号が伝令石を通じて飛んでくる。
「俺だって!あいつを、1人にするつもりは無かった――!」
ノクターンも負けじとレイノルドに反論した。
「無理にでも、行くな――って、引き留めたかったくらいにな……!」
怒りに任せて障壁を殴る音に続いて、バチッという電撃音が秘匿区域の静かな空間に響き渡った。
「……なに、今の音。」
レイノルドが静かに問いかける。
「障壁だ。……図書館の秘匿区域には、特定の魔力を持つ者しか入れない結界が施されていたんだよ。」
そう言ってノクターンは深いため息をつき、再び静かに言葉を紡ぐ。
「俺は、その結界に阻まれて先に進む事ができずに立ち往生、シエルは入室したが最後――納得する答えが得られるまで出られないトラップに引っかかり、見事に分断されたってザマだ。」
2人の間には重い沈黙が流れ、青く光る伝令石だけが静かに場を照らしている。
「そんなことが……っていうか、特定の魔力って何なのさ?シエルさんは白き魔女の魔力っぽい気がするけど……魔塔主は?」
ノクターンが慎重に言葉を選びながら伝える。
「おそらく、魔塔主だから顔パスで通過したか……あるいは――文献の関係者か」
その発言を聞いてレイノルドが、すかさず反論する。
「ちょっと待ってよ!関係者って……だってあれは500年も前の話――!……あぁ、そういうこと。」
あり得ない――そう言うつもりだったレイノルドは、セラフィウスがエルフだということを思い出して納得した。
「……エルフは長寿で、ほとんど不死だと聞く。だからあの男が関係者である可能性も……0じゃないはずだ」
伝令石から聞こえるレイノルドの声に頷いてノクターンが1つの仮説を立てる。
「仮に関係者だったとして、これまで表に出てこなかった理由は何?……意図的に、身を隠していたとか?」
ノクターンがふっと笑った後、少しの沈黙を交えてレイノルドの名を呼ぶ。
「それ、俺に聞くなよ。……なぁ、レイ。」
ただならぬ声色を伝令石から感じ取ったレイノルドが真面目な口調で返答する。
「なに、どうしたの?」
「今から言う質問に答えられるか分からないが……裏のお前なら、あの男が関係者か否かを調べられるのか?」
先日、レイノルドが何者かの指示で暗躍していることをノクターンは偶然知ってしまった。
レイノルドが契約者と交わした秘密保持の刻印を匂わせながら恐る恐るレイノルドへ問いかける。
「何を言うかと思ったら……まったく、仕事を増やさないでくれないか?僕、結構忙しいんだけど……」
レイノルドは間接的に調査は可能だということをノクターンに伝える。
「……すまない。お前を危険な目に遭わせてしまうかもしれない。」
親友を危険なことに巻き込んでしまう罪悪感にノクターンの胸が痛む。
「もとより危険と隣り合わせだから気にすること無いさ」
(関係者か否かについては僕の独断で動くことになるから、正直どうなるか分からないけど……ノクスにこれ以上の心配をかけるべきじゃないね)
レイノルドが小さなため息をついて静かに言葉を紡ぐ。
「シエルさん、無事だと良いんだけど……」
「そうだな……待っている事しかできないのが、もどかしいくらいだ」
ノクターンとレイノルドは離れた場所にいるシエルの身を案じて無事を願う。
そんな2人の心配をよそに、シエルの秘密が魔塔主・セラフィウスによって暴かれようとしていた――。
そんな彼のもとに、穏やかな口調で話すレイノルドからの伝令が届いた。
普段と変わらないレイノルドの穏やかな声と雰囲気に、ノクターンは少しだけ冷静さを取り戻していた。
「その消えた魔塔主なら、俺たちと一緒にいるぞ」
ノクターンは笑いながらレイノルドに告げる。
「はぁ?なんで、魔塔主がノクスたちと一緒にいるのさ……」
レイノルドの驚きと困惑が、伝令石を通じて伝わってくる。
「それは俺が聞きたいくらいだ。」
ノクターンが深いため息をついて口を閉ざした。
司書長から追い返されそうになった絶妙なタイミングで、背後から気配もなくセラフィウスが現れた事を思い返していた。
(まるで、こうなることを最初から知っていたかのようで――気味が悪いな。)
「おーい、ノクス?急に黙ってどうしたの?」
レイノルドの問いかけに、一瞬だけ躊躇いを見せるノクターンが重たい口を慎重に開いた。
「……魔塔主が俺たちと一緒にいる。そう言ったが……正確にはシエルと一緒にいる――と言った方が正しいな」
ノクターンの発言を境に、空気がズンっと重たくなるのを感じた。
沈黙と静寂に支配される空間で、レイノルドがゆっくりと沈黙を破った。
「……どういうこと?ノクス、あの子を――1人にしたの?」
低く、鋭い刃物のようなレイノルドの言葉が、ノクターンの心を深くえぐった。
「何度も警告しただろ!?あれほど1人にするな、ってさ!……なのに、どうしてっ――!」
普段のレイノルドとは、かけ離れた荒々しい怒号が伝令石を通じて飛んでくる。
「俺だって!あいつを、1人にするつもりは無かった――!」
ノクターンも負けじとレイノルドに反論した。
「無理にでも、行くな――って、引き留めたかったくらいにな……!」
怒りに任せて障壁を殴る音に続いて、バチッという電撃音が秘匿区域の静かな空間に響き渡った。
「……なに、今の音。」
レイノルドが静かに問いかける。
「障壁だ。……図書館の秘匿区域には、特定の魔力を持つ者しか入れない結界が施されていたんだよ。」
そう言ってノクターンは深いため息をつき、再び静かに言葉を紡ぐ。
「俺は、その結界に阻まれて先に進む事ができずに立ち往生、シエルは入室したが最後――納得する答えが得られるまで出られないトラップに引っかかり、見事に分断されたってザマだ。」
2人の間には重い沈黙が流れ、青く光る伝令石だけが静かに場を照らしている。
「そんなことが……っていうか、特定の魔力って何なのさ?シエルさんは白き魔女の魔力っぽい気がするけど……魔塔主は?」
ノクターンが慎重に言葉を選びながら伝える。
「おそらく、魔塔主だから顔パスで通過したか……あるいは――文献の関係者か」
その発言を聞いてレイノルドが、すかさず反論する。
「ちょっと待ってよ!関係者って……だってあれは500年も前の話――!……あぁ、そういうこと。」
あり得ない――そう言うつもりだったレイノルドは、セラフィウスがエルフだということを思い出して納得した。
「……エルフは長寿で、ほとんど不死だと聞く。だからあの男が関係者である可能性も……0じゃないはずだ」
伝令石から聞こえるレイノルドの声に頷いてノクターンが1つの仮説を立てる。
「仮に関係者だったとして、これまで表に出てこなかった理由は何?……意図的に、身を隠していたとか?」
ノクターンがふっと笑った後、少しの沈黙を交えてレイノルドの名を呼ぶ。
「それ、俺に聞くなよ。……なぁ、レイ。」
ただならぬ声色を伝令石から感じ取ったレイノルドが真面目な口調で返答する。
「なに、どうしたの?」
「今から言う質問に答えられるか分からないが……裏のお前なら、あの男が関係者か否かを調べられるのか?」
先日、レイノルドが何者かの指示で暗躍していることをノクターンは偶然知ってしまった。
レイノルドが契約者と交わした秘密保持の刻印を匂わせながら恐る恐るレイノルドへ問いかける。
「何を言うかと思ったら……まったく、仕事を増やさないでくれないか?僕、結構忙しいんだけど……」
レイノルドは間接的に調査は可能だということをノクターンに伝える。
「……すまない。お前を危険な目に遭わせてしまうかもしれない。」
親友を危険なことに巻き込んでしまう罪悪感にノクターンの胸が痛む。
「もとより危険と隣り合わせだから気にすること無いさ」
(関係者か否かについては僕の独断で動くことになるから、正直どうなるか分からないけど……ノクスにこれ以上の心配をかけるべきじゃないね)
レイノルドが小さなため息をついて静かに言葉を紡ぐ。
「シエルさん、無事だと良いんだけど……」
「そうだな……待っている事しかできないのが、もどかしいくらいだ」
ノクターンとレイノルドは離れた場所にいるシエルの身を案じて無事を願う。
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