見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし、リベンジ果たして成りあがる

腰尾マモル

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【第261話】ギテシン

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「それじゃあ行ってくるぜ、村長。俺達は村人に見つからないように村を出てギテシンを採取したら、野営を挟みつつそのままイグノーラへ向かう。今まで世話になった、元気に長生きしてくれよな、村長!」

 グラドは四人を引き連れて村長宅の玄関に来ると、最後の挨拶を交わした。どうやら村長以外の村人には何も言わず去っていくと決めたらしい。グラドの言葉を受けて薄っすらと目に涙を溜めた村長は最後の最後まで軽口を叩く。

「ああ、お前等こそ元気でな。外の世界で野垂れ死んでワシより先にあの世へいったら承知しないからな。立派にならなくてもいいし、貧乏でもいいからとにかく健康に楽しく暮らすのじゃぞ。特にグラドは無鉄砲で危なっかしいから二人がフォローしてやってくれ。そして、シリウス殿とリーファ殿、イグノーラへ立ち寄って大陸北へ帰るまでじゃが、どうかグラド達のことをよろしく頼む」

 村長の言葉を受け、シリウスとリーファは手を差し出して握手を交わし、別れを告げる。途中シルフィは何度も後ろを振り返ったが、グラドとディザールは一度も村長の方を振り返らなかった。旅の覚悟が強いのか、男の意地なのかは分からないが、どっちにしても彼等らしいと思う。

 そして、五人は村外れの北にあるギテシンが咲いているという窪地へと向かった。







 記憶の水晶が時間をスキップしたことで五人がペッコ村を出てから二時間が経過した。彼らの目の前には大きな窪地が広がっており、大小さまざまな植物が咲き乱れている。

 グラドは植物が咲いている地点の中心を指差しながら時計を確認する。

「う~ん、あと数分したらギテシンが採れる状態になりそうだな。先に花のある位置まで近づいておくか」

 グラドの提案に従い五人が花に近づき、一分ほど経ったところで変化が起きた。リーファは目の前の花を見ながら、蕩けるような声色で呟く。

「わぁ~、凄く綺麗。全ての花が一斉に淡く光り始めたよ。まるで星屑の中にいるみたい」

 リーファの感想はまさに言い得て妙で、周囲の花々が儚くも目に留まる光と色を放ち続けているのだ。小さな楽園とでも言えばいいのだろうか? 満月の光と夜の闇、そして花の光の調和が今までに見た事のない景色を創り出している。

 この景色を始めて見るリーファとシリウスは目的を忘れて見惚れているし、同じく視界を得てから初めて此処へきたディザールも言葉を失っている。そんな三人をグラドとシルフィは温かいまなざしで見つめていた。

 きっと俺が今まで生きてきた中で最も美しい景色なのではないだろうか。俺がディザール達と同じように見惚れていると、サーシャが気になる言葉を発した。

「本当に言葉にならないくらい綺麗だね。綺麗なものを見てこんなに感動したのはグラッジ君と見た海底火山以来かも」

 海底火山? 俺達はずっと一緒に旅をしてきたが海底火山なんて行った記憶が無いぞ? と疑問に思っていると、グラッジが慌ててサーシャに声を掛ける。

「サ、サーシャさん! あの時の事はその、えーと、あれで、その~」

 尋常ではないグラッジの慌てようで察しがついた。恐らく海底集落アケノスに行った際にグラッジが深夜にサーシャを誘い、リヴァイアサンに乗って海底火山とやらを見に行ったのだろう。

 どうやらグラッジはサーシャをデートに誘った事を皆に知られたくなかったから焦っているみたいだ。

 ギテシンの咲く窪地に負けないぐらい綺麗な場所に連れて行ってあげたなんて……グラッジのエスコート力は中々のようだ。グラッジとサーシャの事をそれぞれ弟や妹のように思っている俺としてはとても嬉しい気持ちになってくる。

 俺は何も言わずに微笑ましい二人を見守っていたのだが、色恋事情が大好きなリリスはニヤニヤと緩みきった笑顔で二人に近づき、詳細を尋ねようとしていたから俺が肩を掴んで強引に制止した。

「な、何するんですかガラルドさん! これから超重大な情報を聞きに……」

「緩みきった顔で何を言ってるんだ、リリスの思惑は分かっているからな……。いいか? 若い二人の邪魔をしちゃだめだ、ほっといてやれ。それよりほら、映像に集中しなさい」

「は~い……」

 不服そうなリリスを何とかなだめて俺は記憶の水晶の映像に意識を戻す。

 グラドは光り輝く花々の中から一際強く輝く花を手に取ると氷魔術で凍らせて箱に詰めた。その箱をリーファに渡すと改まってリーファとシリウスを称え始める。

「二人とも長い間ペッコ村の為に頑張ってくれてありがとな、ようやく旅の目的を果たす事が出来たな。今、凍らせて箱に詰めた花がギテシンだ。これをすりつぶして妹ちゃんに飲ませてやればきっと元気になるはずだ」

「これがギテシンなんだね、ようやく手に入れられて感慨深いよ。でも、フィアちゃんにギテシンを飲ませるまでが私の仕事だから油断せずに頑張らないとだね」

「ああ、道中落としたり盗まれたりしないように気を付けてくれよ。とりあえずギテシンは手に入った訳だが、二人は俺達と一緒にイグノーラに行って到着したらどうするつもりなんだ? そのまま直ぐに船に乗り込んで帰る感じか?」

 グラドが問いかけるとシリウスが地図を広げて今後の計画を語り始めた。

「イグノーラに着いたらひとまず一緒に船に乗ってきた船員達と合流するつもりだ。彼等には手紙で帰りの段取りをするよう頼んでおいたからうまくいけばそのまま直ぐに大陸北へ帰るつもりだ。とはいえ死の海を北から南へ渡るのと、南から北へ渡るのとでは海流が全く違うだろうから、すぐに船に乗り込めるとは限らないけどな。もしかしたら僕達二人も暫くイグノーラに滞在することになるかもしれない」

「なるほどな。もしかしたらイグノーラに着いてすぐにお別れになるかもしれないから、イグノーラまでの道中も目一杯楽しんでいこうぜ。とりあえず今晩はもう少しだけ北に移動して野宿しよう」

 徐々に近づいてくる別れの時に五人全員が寂しそうな顔をしている。ある程度歴史を知っている俺達からすれば、この後も五人はイグノーラの英雄として手を取り合って戦うことを知っている。だからシリウスとリーファは暫く大陸北へ帰れなかったことも分かっている。

 寂しそうな表情が露骨に表へ出てしまうぐらい五人の仲が良くなったんだなぁと改めて実感しながら俺は五人のイグノーラまでの旅路を眺めていた。

 イグノーラへの道中も戦闘・食事・採取・探検など、ワイワイと騒ぎながら進み続けた五人は数日後、遂にイグノーラへと到着した。


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