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【本編】第2章 暗闇に差す残光
第16話
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ライト「俺は…絶対にソラさんを倒すまで、倒れません…!」
なんとか再び立ち上がり、体勢をとる。
ソラの異能の侵食具合は最悪と言ってもいいだろう。
もう残り5分もすれば左肩から左腕に侵食を始め、とうとう魔法が使えなくなる。
そうなる前に、なんとしてでも──。
ライト「っ…。」
全身に走る痛みを堪え、目の前の戦闘になんとか集中する。
ソラ「君のその心を、僕が全力で受け止めよう。」
両手を広げ、黒いオーラのようなものが消えた。
ライトは今出せる力で思い切り地面を蹴り飛ばし、ソラ目掛けて前方へ走っていく。
ソラ(やっぱ当然だけど動きが鈍い。このスピードじゃ、勝負になんてならない。)
ライト「《ブリッツストーム》!」
左手を前に出し魔法を出す。
ただでさえ痛む体を大きく動かしマナを使うので、魔法を放つ瞬間に全身が悲鳴を上げるように痛む。
そのせいもあって存分な動きが出来るはずもなく魔法の威力もスピードも全てに劣る。
ソラ「《ヘルフィード》」
ライト「ぐっ…!」
思うように体が動かない。
それでも、倒れるわけにはいかない。
まともに被弾し大きく飛ばされ地面を転がるが、すぐさま体を起こしソラの方へ走り向かっていく。
ライト「《ブリッツストーム》!」
もう一度攻撃を行う。
しかし、当然避けられ反撃される。
ソラ「《ヘルフィード》」
ライト「っああ!!」
同じことの繰り返しだった。
再び大きく飛ばされ、地面を転々と転がる。
ライト「ま、まだ…、まだ、だ!」
それでも倒れるまいと根性で起き上がる。
その姿はとても見てられないほど痛々しく残酷なものだった。
ソラ(もう、潮時かな。)
またしても立ち向かってくるライトを見て、小さくソラは呟いた。
ソラ「ごめんね。」
ライト「ブリッツ──!」
ライトが魔法を詠唱する前にソラの右手がライトの腹部に触れた。
ソラ「《デュアルブレイク》」
直後、ライトは時が止まったかのように動きが止まった。
ライトは何が起こったのか理解することが出来なかった。
ライトはゆっくりと視線を下にずらし、自分の腹部を見る。
ライトの腹部に触れているソラの手は赤い液体で染まっていた。
ポタポタと地面に液体が滴る音だけが響き渡っていた。
ライト「ぇ……?」
掠れて声を発したかもわからないような声が漏れる。
その液体がなにかをようやく理解したと同時に、頭がふらつき目の前がぐにゃりと歪んだ。
──バタッ!
ライトは地面に倒れ、ビクともしなくなった。
赤い液体が次第に広がっていく。
腹部に痛みは感じられなかったが熱く感じた。
ソラ「先生、もういいんじゃないですか?体力はそのうちなくなりますけど彼はもう戦えません。」
天井に向かい声を上げる。
恐らく全試合先生が見てるだろう。
しかし、返答は何も無かった。
ソラ(どちらかの体力が0にならない限り終わらないってことか。)
ソラは仕方ないと判断し、倒れて動かないライトにとどめを刺そうとした。
ソラ(最後まで、アギトに似てたな。)
どんな状況でも諦めず戦う姿勢。
この戦闘を通してアギトがなぜライトを気に入ったかが嫌でも理解出来た。
ソラ「《ヘルフィード》」
ライトに魔法を放ち、これで試合が終わったと思ったその瞬間。
──バチバチッ!
ソラ「…?」
魔法が弾かれた。
ライトの周りに見えないバリアがあるように、体に触れたと思った瞬間に魔法が弾かれたのだ。
しかしライトは未だ動かない。
ソラ「《ヘルフィード》」
──バチバチッ!
もう一度放っても結果は変わらなかった。
こうなってしまえば体力が0になるのをじっと待つしかないのだろうか。
ソラ「…!!」
その思考は一瞬にして打ち砕かれた。
誰もいないはずの背後から雷属性の攻撃が繰り出されたからだ。
それを躱しライトから一度離れる。
ライトはずっと倒れたままで特にマナを感じたりもしない。
しかし、雷属性の攻撃はその後も続いた。
ソラ(これはどういう?)
攻撃を躱しながら対抗策を模索する。
それでもどこから魔法が出ているのかが分からなかった。
ライトの能力だというのはわかるが、とどめも刺せないのでどうしようもない。
ソラ「これは、もしかすると。」
やはりソラも小さい頃から魔法に触れてきたのでなんとなく勘づいた。
攻撃は威力、スピード、範囲、数が全て上がっていき、避けるのも容易くなくなってきた。
ソラ「…!!」
突然変則的に現れた魔法を寸前で躱す。
これだけは魔法が違うようだ。
それ以降攻撃が止まり、ソラは魔法が来た方を見る。
砂塵の奥に見えたのは人影だった。
ソラ「……。」
ソラは驚いた。
体力が0にならなくとも、もう立てないと思っていたからだ。
あんなにも大きなダメージを食らってまでもまだ立ち上がると言うのだろうか。
ライト「《シャインボルト》!」
ライトが声を上げる。
放たれた魔法は不規則に放電をした。
ソラ(ここにきてまだカードを隠してたなんてね。)
前日に仕上げたライトの新技。
流星群のように輝く放電が様々な方向からソラを襲う。
ソラ「《崩壊する宇宙》」
すぐさま反応して被弾しないように異能を展開し、攻撃を回避する。
現在の状況だけを見ればライトの方が優勢だろうか、ソラは反撃の糸口を掴むことが出来ていない。
しかし、ソラも負けてはいない。
時間をかければいずれライトの体力が尽きるだろう。
守りに徹すれば勝機はまだソラの方に傾く。
ライト「っ…!」
痛みを我慢し最後の力を振り絞る。
これが最後のチャンスだ。
ソラ「…!!」
ソラは異能の能力でライトの魔法を打ち消していたが、あることに気づく。
ソラ(弾かれてる?)
魔法を吸収できていないのだ。
魔法を無効化し打ち消してはいるものの、弾かれて吸収が出来ていない。
能力の使いすぎなど決してそんなことはない。
こうなる可能性として上げられるのはただひとつ。
ソラ(今の彼の魔力が僕の異能の魔力と同等、または少し上ということか。)
魔法を打ち消す能力を持っていても、魔力が劣れば吸収が間に合わなくなる。
それが今この場で起こっているのだ。
ソラ(吸収されなくとも弾かれる魔力の範囲内なら被弾は避けられる。このままこれを盾に攻めて終わりだ。)
ソラは黒いオーラのようなものを盾にして被弾をしないようにライトの近くへと走っていく。
ライトとの距離はぐんぐんと縮まり、お互いの距離が3m程になった。
ソラ「《ヘルフィード》!」
──バチバチッ!
確実にヒットした魔法は先程と同じく何かに弾かれた。
ソラ(これが、彼の異能なのか?魔法がさっきから通じてない。)
ソラと同じく魔法を打ち消す能力だと思うのが妥当だろう。
普通ではこんな現象は起こらないはずだ。
ソラ(どうする?ひたすら攻撃を繰り返しても意味があるかどうか。もし僕と同じ能力ならば限りがない、ならば耐久戦か?彼はかなり体力を使ってるはず。)
ソラ「《ヘルフィード》!」
──バチバチッ!
ソラ(守りに徹することを悟られないように合間で攻撃を加えつつ、倒せそうなら一気に畳み掛ける。それで僕の勝ちだ。)
ライトの《シャインボルト》を躱しながら攻撃を繰り返す。
ソラ(それにしても全然魔法が尽きない。もうかなり限界のはずだが、一向に弱まらない…いや、強くなってる?)
最初よりも明らかに魔法がパワーアップしている。
それが衰えることがなければむしろ未だに右肩上がりだ。
ソラ(もしかすると、劣勢になってるのは僕の方なのかもしれないね。早く終わらせないと、恐らくこの魔法は終わらない。)
そう思ったソラは攻撃の頻度を上げ、攻めの姿勢に切り替えた。
ソラ「《ヘルフィード》!」
──バチバチッ!
何度ヒットさせても結果は変わらず、好機が見えてこない。
ソラ(もう一度《デュアルブレイク》を使うか、いやあれは消費するマナを考えれば今使うのは危険だろう。他の魔法も恐らく結果は変わらない、試すだけ無駄だ。)
ライト「《雷切》!」
ライトの《雷切》をギリギリ躱し、少し距離をとる。
ソラ(あぶね~…タイミングがもう少し遅れてたら終わっ──。)
突然放たれた《雷切》に気を取られすぎたか、背後からの《シャインボルト》に反応が遅れた。
ソラ(っ…、鬱陶しい!ライトは…あれ?)
避ける為に大きく宙へ飛び後退した時、気づけば先程までライトがいたところに姿はなかった。
ソラ(いや違う、後ろだ!!)
ソラはマナを感じ取った。
しかし、その時にはもう遅かった。
ライト「《雷鳴球》!!」
一瞬の焦りや苛立ちをライトは見逃さなかった。
この一手で試合は幕を閉じた。
なんとか再び立ち上がり、体勢をとる。
ソラの異能の侵食具合は最悪と言ってもいいだろう。
もう残り5分もすれば左肩から左腕に侵食を始め、とうとう魔法が使えなくなる。
そうなる前に、なんとしてでも──。
ライト「っ…。」
全身に走る痛みを堪え、目の前の戦闘になんとか集中する。
ソラ「君のその心を、僕が全力で受け止めよう。」
両手を広げ、黒いオーラのようなものが消えた。
ライトは今出せる力で思い切り地面を蹴り飛ばし、ソラ目掛けて前方へ走っていく。
ソラ(やっぱ当然だけど動きが鈍い。このスピードじゃ、勝負になんてならない。)
ライト「《ブリッツストーム》!」
左手を前に出し魔法を出す。
ただでさえ痛む体を大きく動かしマナを使うので、魔法を放つ瞬間に全身が悲鳴を上げるように痛む。
そのせいもあって存分な動きが出来るはずもなく魔法の威力もスピードも全てに劣る。
ソラ「《ヘルフィード》」
ライト「ぐっ…!」
思うように体が動かない。
それでも、倒れるわけにはいかない。
まともに被弾し大きく飛ばされ地面を転がるが、すぐさま体を起こしソラの方へ走り向かっていく。
ライト「《ブリッツストーム》!」
もう一度攻撃を行う。
しかし、当然避けられ反撃される。
ソラ「《ヘルフィード》」
ライト「っああ!!」
同じことの繰り返しだった。
再び大きく飛ばされ、地面を転々と転がる。
ライト「ま、まだ…、まだ、だ!」
それでも倒れるまいと根性で起き上がる。
その姿はとても見てられないほど痛々しく残酷なものだった。
ソラ(もう、潮時かな。)
またしても立ち向かってくるライトを見て、小さくソラは呟いた。
ソラ「ごめんね。」
ライト「ブリッツ──!」
ライトが魔法を詠唱する前にソラの右手がライトの腹部に触れた。
ソラ「《デュアルブレイク》」
直後、ライトは時が止まったかのように動きが止まった。
ライトは何が起こったのか理解することが出来なかった。
ライトはゆっくりと視線を下にずらし、自分の腹部を見る。
ライトの腹部に触れているソラの手は赤い液体で染まっていた。
ポタポタと地面に液体が滴る音だけが響き渡っていた。
ライト「ぇ……?」
掠れて声を発したかもわからないような声が漏れる。
その液体がなにかをようやく理解したと同時に、頭がふらつき目の前がぐにゃりと歪んだ。
──バタッ!
ライトは地面に倒れ、ビクともしなくなった。
赤い液体が次第に広がっていく。
腹部に痛みは感じられなかったが熱く感じた。
ソラ「先生、もういいんじゃないですか?体力はそのうちなくなりますけど彼はもう戦えません。」
天井に向かい声を上げる。
恐らく全試合先生が見てるだろう。
しかし、返答は何も無かった。
ソラ(どちらかの体力が0にならない限り終わらないってことか。)
ソラは仕方ないと判断し、倒れて動かないライトにとどめを刺そうとした。
ソラ(最後まで、アギトに似てたな。)
どんな状況でも諦めず戦う姿勢。
この戦闘を通してアギトがなぜライトを気に入ったかが嫌でも理解出来た。
ソラ「《ヘルフィード》」
ライトに魔法を放ち、これで試合が終わったと思ったその瞬間。
──バチバチッ!
ソラ「…?」
魔法が弾かれた。
ライトの周りに見えないバリアがあるように、体に触れたと思った瞬間に魔法が弾かれたのだ。
しかしライトは未だ動かない。
ソラ「《ヘルフィード》」
──バチバチッ!
もう一度放っても結果は変わらなかった。
こうなってしまえば体力が0になるのをじっと待つしかないのだろうか。
ソラ「…!!」
その思考は一瞬にして打ち砕かれた。
誰もいないはずの背後から雷属性の攻撃が繰り出されたからだ。
それを躱しライトから一度離れる。
ライトはずっと倒れたままで特にマナを感じたりもしない。
しかし、雷属性の攻撃はその後も続いた。
ソラ(これはどういう?)
攻撃を躱しながら対抗策を模索する。
それでもどこから魔法が出ているのかが分からなかった。
ライトの能力だというのはわかるが、とどめも刺せないのでどうしようもない。
ソラ「これは、もしかすると。」
やはりソラも小さい頃から魔法に触れてきたのでなんとなく勘づいた。
攻撃は威力、スピード、範囲、数が全て上がっていき、避けるのも容易くなくなってきた。
ソラ「…!!」
突然変則的に現れた魔法を寸前で躱す。
これだけは魔法が違うようだ。
それ以降攻撃が止まり、ソラは魔法が来た方を見る。
砂塵の奥に見えたのは人影だった。
ソラ「……。」
ソラは驚いた。
体力が0にならなくとも、もう立てないと思っていたからだ。
あんなにも大きなダメージを食らってまでもまだ立ち上がると言うのだろうか。
ライト「《シャインボルト》!」
ライトが声を上げる。
放たれた魔法は不規則に放電をした。
ソラ(ここにきてまだカードを隠してたなんてね。)
前日に仕上げたライトの新技。
流星群のように輝く放電が様々な方向からソラを襲う。
ソラ「《崩壊する宇宙》」
すぐさま反応して被弾しないように異能を展開し、攻撃を回避する。
現在の状況だけを見ればライトの方が優勢だろうか、ソラは反撃の糸口を掴むことが出来ていない。
しかし、ソラも負けてはいない。
時間をかければいずれライトの体力が尽きるだろう。
守りに徹すれば勝機はまだソラの方に傾く。
ライト「っ…!」
痛みを我慢し最後の力を振り絞る。
これが最後のチャンスだ。
ソラ「…!!」
ソラは異能の能力でライトの魔法を打ち消していたが、あることに気づく。
ソラ(弾かれてる?)
魔法を吸収できていないのだ。
魔法を無効化し打ち消してはいるものの、弾かれて吸収が出来ていない。
能力の使いすぎなど決してそんなことはない。
こうなる可能性として上げられるのはただひとつ。
ソラ(今の彼の魔力が僕の異能の魔力と同等、または少し上ということか。)
魔法を打ち消す能力を持っていても、魔力が劣れば吸収が間に合わなくなる。
それが今この場で起こっているのだ。
ソラ(吸収されなくとも弾かれる魔力の範囲内なら被弾は避けられる。このままこれを盾に攻めて終わりだ。)
ソラは黒いオーラのようなものを盾にして被弾をしないようにライトの近くへと走っていく。
ライトとの距離はぐんぐんと縮まり、お互いの距離が3m程になった。
ソラ「《ヘルフィード》!」
──バチバチッ!
確実にヒットした魔法は先程と同じく何かに弾かれた。
ソラ(これが、彼の異能なのか?魔法がさっきから通じてない。)
ソラと同じく魔法を打ち消す能力だと思うのが妥当だろう。
普通ではこんな現象は起こらないはずだ。
ソラ(どうする?ひたすら攻撃を繰り返しても意味があるかどうか。もし僕と同じ能力ならば限りがない、ならば耐久戦か?彼はかなり体力を使ってるはず。)
ソラ「《ヘルフィード》!」
──バチバチッ!
ソラ(守りに徹することを悟られないように合間で攻撃を加えつつ、倒せそうなら一気に畳み掛ける。それで僕の勝ちだ。)
ライトの《シャインボルト》を躱しながら攻撃を繰り返す。
ソラ(それにしても全然魔法が尽きない。もうかなり限界のはずだが、一向に弱まらない…いや、強くなってる?)
最初よりも明らかに魔法がパワーアップしている。
それが衰えることがなければむしろ未だに右肩上がりだ。
ソラ(もしかすると、劣勢になってるのは僕の方なのかもしれないね。早く終わらせないと、恐らくこの魔法は終わらない。)
そう思ったソラは攻撃の頻度を上げ、攻めの姿勢に切り替えた。
ソラ「《ヘルフィード》!」
──バチバチッ!
何度ヒットさせても結果は変わらず、好機が見えてこない。
ソラ(もう一度《デュアルブレイク》を使うか、いやあれは消費するマナを考えれば今使うのは危険だろう。他の魔法も恐らく結果は変わらない、試すだけ無駄だ。)
ライト「《雷切》!」
ライトの《雷切》をギリギリ躱し、少し距離をとる。
ソラ(あぶね~…タイミングがもう少し遅れてたら終わっ──。)
突然放たれた《雷切》に気を取られすぎたか、背後からの《シャインボルト》に反応が遅れた。
ソラ(っ…、鬱陶しい!ライトは…あれ?)
避ける為に大きく宙へ飛び後退した時、気づけば先程までライトがいたところに姿はなかった。
ソラ(いや違う、後ろだ!!)
ソラはマナを感じ取った。
しかし、その時にはもう遅かった。
ライト「《雷鳴球》!!」
一瞬の焦りや苛立ちをライトは見逃さなかった。
この一手で試合は幕を閉じた。
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