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【本編】第3章 錯乱する歯車
第3話
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ライト「ここら辺でいいのかな。」
大聖堂前に着いたライトは辺りを見渡す。
約束の時間までは残り5分程あるが、アンナともう1人の女性が話しているのを見かけた。
アンナ「あ。こっちよ!」
アンナもライトを目視したらしく手を挙げて呼ぶ。
ライトはそこへ向かい合流した。
アンナと話をしていた女性がライトと目が合うとぺこりと頭を軽く下げた。
ライト「あ、えっと。俺、C組のライトです。」
イリス「B組のイリスなの!」
その女性はイリスと名乗った。
小柄で元気が良く天真爛漫な声。
服装はドレスのような白とオレンジ色をメインとしたワンピースを着ていて、下半身に何を着ているのかわからないくらいスカートが長い。
髪はベージュ色で短く、ラビットスタイルと言われる髪の結び方をしている。
結び目に大きなピンク色のリボンをしているのも特徴的だ。
同い年なのに年齢よりかなり幼く見える。
ライト(なの……?)
語尾に付く「なの」は癖なのだろうか。
見た目の事もありより一層子供っぽく見える。
全く同い年とは思えない人だ。
ライト「あ、来た。」
ライトが視線を向けた先にいたのは男性2人組。
こちらを見て真っ直ぐ向かってくる。
???「君たちはチーム23番の人達で間違ってないかな?」
ライト「あ、そうです。」
向かってきた2人と合流し、大聖堂の中へと入る。
かなり早い時間に来た為か大聖堂の中に人はあまりいなかったが、それでも4グループはいた。
当然のことだが、全員が魔術師を夢見てこの学園に来ている。
ひとつひとつの行事に手を抜く人などいないだろう。
ライト(やっぱり、この学園は刺激を受けるばかりだ。)
この学園にいる生徒はもちろん同じ夢を見る『仲間』だ。
しかし、それと同時に『ライバル』でもある。
だからこそ前に進もうと思えるのだ。
???「それじゃ、行こうか。」
全員が手を繋ぎ、円になる。
転移すると、見覚えのある光景が目の前に広がった。
クラス内対抗戦の時に使ったエリアだった。
目の前にある1本の大きな木と、その木陰にある椅子や支給品。
その右手側の開けたところでベガと手合わせした時のことを思い出す。
ライト(懐かしいな。)
未だ1ヶ月半程度しか経っていないのにも関わらず、かなり懐かしく思えた。
初めて《雷切》を使ったのもその時だ。
あの感触は今でも忘れられない。
???「まずは自己紹介から始めようか。」
やはり行事を重ねればいつかは敵対するかもしれないが、味方を知るのはチーム戦において重要だ。
フェン「まずは私から。A組のフェン、風属性を使うよ。よろしく。」
今まで仕切るように言葉を発してきたA組の男性、フェン。
身長はライトとあまり変わらないが、どこか年上のように感じる雰囲気があった。
そのリーダー感と言葉遣いや存在感、風属性を使うことから、どことなくアギトに近い印象があった。
ラグナ「ラグナだ。お前ら俺の足引っ張ったらどうなるかわかってるよな?」
フェン「よせラグナ。…みんな驚かせてすまない、ラグナはこういう奴なんだ。許してやってくれ。」
初対面とは思えない態度だ。
長くてもたった1週間とはいえ本当にこの人とやっていけるのか不安だ。
高身長で赤髪、体つきもしっかりとしていてとても強そうに見える。
それにしても物凄い圧だ。
その圧に圧倒されていないか、特にあの小さかったイリスが心配になりチラッと目を向ける。
イリス「……。」
目を向けた視界の先に映ったイリスは特に何事も無かったような真顔でにっこりとしていた。
ライト(何も気にしていない…?)
不思議な子だ。
小さいとはいえ同級生、何も子供扱いする必要性はどこにもないが、やはり心配になってしまう。
しかし、そのような心配はいらないのだろうか。
イリス「B組、イリスなの!水属性を使うなの!よろしくなの~!」
右手を上げて元気よく自己紹介をした。
やはり小学生を見てる気持ちだ。
なんだか守りたくなる。
ラグナ「どこから声がしたかと思ったら、ちっちゃいなお前。本当に同級生か?」
イリス「同級生なの~。子供じゃないなの~。」
変わらず笑顔で答えた。
なんだか楽しそうだった。
ラグナ「その喋り方、なんか腹立つな。」
ラグナは小さく呟いた。
意外と良い雰囲気なのだろうか。
アンナ「C組のアンナよ。雷属性を使うわ。よろしく。」
堂々とした振る舞いで簡潔に自己紹介を済ましたアンナ。
同じ雷属性として実習にいるが、実際のところアンナの実力をはっきりと知らない。
だが、決して弱い相手ではない。
彼女には光るセンスがあるとライトは感じていた。
状況判断力、瞬発力、スピード、柔軟性など。
一度ペアを実習で組んだことがあったが、かなり助けられた場面はあった。
ライト「同じくC組のライト。雷属性を使います。よろしくお願いします。」
ぺこりと軽く一礼をして述べた。
これで5人、今回組むチーム23番のメンバーだ。
自己紹介を終えた後は本番まで残り4日しかない為、すぐさまチーム練習に入る。
リーダーシップのあるフェンを中心に、全員の魔法や技量を見ながら役割を考えていく。
戦闘におけるルールはクラス内の時と変わらない為、スポーン地点もバラバラ。
しかし、このチーム戦においてやはり個々で動くよりも集団で動いた方が強力かつ安全だ。
上手く通信機能を用いて早めに合流したいが、どこにスポーンするかは分からない為どうしようも出来ない。
個々の技量はもちろん、チームとしての動きも確認しとかなくてはいけない。
これが中々にハードだ。
組み合わせ的にはライトとラグナがアタッカー、臨機応変さのあるアンナと司令塔役のフェンがサブアタッカーとして状況に応じて動く。
そしてイリスがサポート役だ。
練習中に判明したが、イリスの適正役割はサポーターでありながら戦闘においても人並み以上は戦えるようだ。
やはりサポーターやヒーラーは戦闘を苦手とする魔術師が多い中、個人戦も戦えるサポーターは特に心強く感じる。
フェン「よし、今日はここまで。」
その日のチーム練習は主に役割の確認と個々の戦闘力のチェックだ。
やはりまだ魔法にブレがある。
その日も帰っては練習をした。
魔法の練習もそうだが、特に感じたのは体力面だ。
長期戦になればなるほど体力が重要視されてくる。
日々の練習に加え、ランニングとトレーニングなどをこなす。
時間はあっという間に深夜0時を回り、日付が変わっていた。
チーム練習開始2日目。
今日は昨日の練習を踏まえて早くもワンランク上の練習へ踏み込んだ。
様々な戦況、様々なパターン、様々なペアで何十何百通りのパターンをこの短い時間で確認、調整し身体に叩き込む。
ひたすらそれの繰り返しだ。
そしてこの日も学園が終わったあとは急いで家に帰り、昨日同様に体力、筋力トレーニングと魔法の練習をした。
もちろん時間も夜遅くになっていた。
チーム練習開始3日目。
やる事は2日目同様パターンに応じたチームでの動きを徹底とした練習だ。
2日目はまだ初めての段階だったので、妥協しつつ全体の流れを把握するのを目標としてやっていたが、この練習を始めて2日目となるとそうも言ってられない。
フェン「ライトくん遅い。例えコンマ1秒でもその遅れが相手に付け入る隙を失うと同時に熟練の魔術師なら間違いなく反撃される機会を与えてしまうぞ!」
ライト「すいません!」
フェン「ラグナ、お前は逆に1人で突っ込みすぎだ。いつもの悪い癖だぞ。」
ラグナ「ちっ、わりぃ。」
フェン「アタッカーというのはどの役割よりも多く相手と対戦するんだ。君たち2人がベストな動きをしてくれなくては全員が揃っても無意味だ。」
フェンもかなりの実力者だ。
やはり司令塔を務めてるだけあって指示も的確、ダメなところがあればわかりやすく教えてくれて非常にやりやすい。
ライト(敵の数が増えた…!)
強さ、種類の違ったモンスターがランダムでスポーンされる機能。
この学園の設備は本当に素晴らしいものだ。
ライト(ここは俺が突破口を!)
ライト「《雷切》!」
右手を地面に強く打ち前方へ加速する。
中心部に道が出来るように空間が広がり、その周囲にいたモンスターは仰け反り飛ばされる。
ライトの雷切と同時に宙へ高く飛んでいたラグナは敵を見定め、胸の前でマナを集結させる。
首から吊るされたペンダントに埋め込まれた赤い魔法石がより赤く光り出し、胸の前にオレンジ色の球体が現れた。
右手を天に上げるとその球体はその手と繋がっているように手の上に浮かび、右手を振り下ろした。
ラグナ「《クリムゾンフレイム》!」
その球体は炎の雨のように残ったモンスターに降り注いでいく。
少なくとも残った敵は30体ほどいたはずだが、ラグナが放ったひとつひとつの火の玉は的確に全てのモンスターに命中していく。
物凄い精度力だ。
イリス「お見事なの!」
フェン「うん、だいぶ様になってきたね。今日はもう切り上げようか。」
もうそんな時間になったのだろうか。
本当に時間は過ぎるのが早い。
フェン「明日が予選前最後の練習。明日は軽めの調整とどのチームとも戦えるように対策を練ろう。それじゃ、今日はお疲れ様。」
大聖堂に転移する。
ちょうど色んなグループもこの時間に切り上げてたらしく、かなり人がいた。
アンナ「こうして見ると、ここの学園の生徒数って凄いわよね。」
1学年150人、全校450人。
人数が多い分学園も広いが、それでも多いと感じてしまうほどだ。
ラグナ「おい。」
ライト「あ、はい。」
ラグナが後ろから声をかけてきた。
ラグナ「明日はきっちり対策を練るぞ、準備は万全にしておけよ。」
相変わらずどこか怒ってるような口調で圧があったが、今までとはちょっと違って聞こえた。
ラグナとフェンは大聖堂を一緒に出ていった。
次いでイリスも出ていく。
アンナ「それじゃ私達も戻──」
アンナは話してる途中でライトと目が合うと途中で口を止めた。
ライトは何事かと思ったが、その後すぐにわかった。
アンナ「べ、別にあんたと行きたいとかそんなんじゃないからね!?勘違いしないでよね!?」
アンナは少し恥じらいながら言った。
普通にしてればいいと思うが、女性の心というのは理解しにくいところがたまにあるとライトは思った。
ライト「いいよ、戻ろっか。」
手を差し伸べて言った。
アンナはその手を見て少し驚く。
その後少しの時間、迷う…というより葛藤するような態度を見せていた。
──ぺしっ
アンナ「ふん!」
アンナはライトが差し出した右手を叩いて振り払い、1人で拗ねるように行ってしまった。
ライト「…えぇ…。」
本当に女性の心というのは理解しにくい。
大聖堂前に着いたライトは辺りを見渡す。
約束の時間までは残り5分程あるが、アンナともう1人の女性が話しているのを見かけた。
アンナ「あ。こっちよ!」
アンナもライトを目視したらしく手を挙げて呼ぶ。
ライトはそこへ向かい合流した。
アンナと話をしていた女性がライトと目が合うとぺこりと頭を軽く下げた。
ライト「あ、えっと。俺、C組のライトです。」
イリス「B組のイリスなの!」
その女性はイリスと名乗った。
小柄で元気が良く天真爛漫な声。
服装はドレスのような白とオレンジ色をメインとしたワンピースを着ていて、下半身に何を着ているのかわからないくらいスカートが長い。
髪はベージュ色で短く、ラビットスタイルと言われる髪の結び方をしている。
結び目に大きなピンク色のリボンをしているのも特徴的だ。
同い年なのに年齢よりかなり幼く見える。
ライト(なの……?)
語尾に付く「なの」は癖なのだろうか。
見た目の事もありより一層子供っぽく見える。
全く同い年とは思えない人だ。
ライト「あ、来た。」
ライトが視線を向けた先にいたのは男性2人組。
こちらを見て真っ直ぐ向かってくる。
???「君たちはチーム23番の人達で間違ってないかな?」
ライト「あ、そうです。」
向かってきた2人と合流し、大聖堂の中へと入る。
かなり早い時間に来た為か大聖堂の中に人はあまりいなかったが、それでも4グループはいた。
当然のことだが、全員が魔術師を夢見てこの学園に来ている。
ひとつひとつの行事に手を抜く人などいないだろう。
ライト(やっぱり、この学園は刺激を受けるばかりだ。)
この学園にいる生徒はもちろん同じ夢を見る『仲間』だ。
しかし、それと同時に『ライバル』でもある。
だからこそ前に進もうと思えるのだ。
???「それじゃ、行こうか。」
全員が手を繋ぎ、円になる。
転移すると、見覚えのある光景が目の前に広がった。
クラス内対抗戦の時に使ったエリアだった。
目の前にある1本の大きな木と、その木陰にある椅子や支給品。
その右手側の開けたところでベガと手合わせした時のことを思い出す。
ライト(懐かしいな。)
未だ1ヶ月半程度しか経っていないのにも関わらず、かなり懐かしく思えた。
初めて《雷切》を使ったのもその時だ。
あの感触は今でも忘れられない。
???「まずは自己紹介から始めようか。」
やはり行事を重ねればいつかは敵対するかもしれないが、味方を知るのはチーム戦において重要だ。
フェン「まずは私から。A組のフェン、風属性を使うよ。よろしく。」
今まで仕切るように言葉を発してきたA組の男性、フェン。
身長はライトとあまり変わらないが、どこか年上のように感じる雰囲気があった。
そのリーダー感と言葉遣いや存在感、風属性を使うことから、どことなくアギトに近い印象があった。
ラグナ「ラグナだ。お前ら俺の足引っ張ったらどうなるかわかってるよな?」
フェン「よせラグナ。…みんな驚かせてすまない、ラグナはこういう奴なんだ。許してやってくれ。」
初対面とは思えない態度だ。
長くてもたった1週間とはいえ本当にこの人とやっていけるのか不安だ。
高身長で赤髪、体つきもしっかりとしていてとても強そうに見える。
それにしても物凄い圧だ。
その圧に圧倒されていないか、特にあの小さかったイリスが心配になりチラッと目を向ける。
イリス「……。」
目を向けた視界の先に映ったイリスは特に何事も無かったような真顔でにっこりとしていた。
ライト(何も気にしていない…?)
不思議な子だ。
小さいとはいえ同級生、何も子供扱いする必要性はどこにもないが、やはり心配になってしまう。
しかし、そのような心配はいらないのだろうか。
イリス「B組、イリスなの!水属性を使うなの!よろしくなの~!」
右手を上げて元気よく自己紹介をした。
やはり小学生を見てる気持ちだ。
なんだか守りたくなる。
ラグナ「どこから声がしたかと思ったら、ちっちゃいなお前。本当に同級生か?」
イリス「同級生なの~。子供じゃないなの~。」
変わらず笑顔で答えた。
なんだか楽しそうだった。
ラグナ「その喋り方、なんか腹立つな。」
ラグナは小さく呟いた。
意外と良い雰囲気なのだろうか。
アンナ「C組のアンナよ。雷属性を使うわ。よろしく。」
堂々とした振る舞いで簡潔に自己紹介を済ましたアンナ。
同じ雷属性として実習にいるが、実際のところアンナの実力をはっきりと知らない。
だが、決して弱い相手ではない。
彼女には光るセンスがあるとライトは感じていた。
状況判断力、瞬発力、スピード、柔軟性など。
一度ペアを実習で組んだことがあったが、かなり助けられた場面はあった。
ライト「同じくC組のライト。雷属性を使います。よろしくお願いします。」
ぺこりと軽く一礼をして述べた。
これで5人、今回組むチーム23番のメンバーだ。
自己紹介を終えた後は本番まで残り4日しかない為、すぐさまチーム練習に入る。
リーダーシップのあるフェンを中心に、全員の魔法や技量を見ながら役割を考えていく。
戦闘におけるルールはクラス内の時と変わらない為、スポーン地点もバラバラ。
しかし、このチーム戦においてやはり個々で動くよりも集団で動いた方が強力かつ安全だ。
上手く通信機能を用いて早めに合流したいが、どこにスポーンするかは分からない為どうしようも出来ない。
個々の技量はもちろん、チームとしての動きも確認しとかなくてはいけない。
これが中々にハードだ。
組み合わせ的にはライトとラグナがアタッカー、臨機応変さのあるアンナと司令塔役のフェンがサブアタッカーとして状況に応じて動く。
そしてイリスがサポート役だ。
練習中に判明したが、イリスの適正役割はサポーターでありながら戦闘においても人並み以上は戦えるようだ。
やはりサポーターやヒーラーは戦闘を苦手とする魔術師が多い中、個人戦も戦えるサポーターは特に心強く感じる。
フェン「よし、今日はここまで。」
その日のチーム練習は主に役割の確認と個々の戦闘力のチェックだ。
やはりまだ魔法にブレがある。
その日も帰っては練習をした。
魔法の練習もそうだが、特に感じたのは体力面だ。
長期戦になればなるほど体力が重要視されてくる。
日々の練習に加え、ランニングとトレーニングなどをこなす。
時間はあっという間に深夜0時を回り、日付が変わっていた。
チーム練習開始2日目。
今日は昨日の練習を踏まえて早くもワンランク上の練習へ踏み込んだ。
様々な戦況、様々なパターン、様々なペアで何十何百通りのパターンをこの短い時間で確認、調整し身体に叩き込む。
ひたすらそれの繰り返しだ。
そしてこの日も学園が終わったあとは急いで家に帰り、昨日同様に体力、筋力トレーニングと魔法の練習をした。
もちろん時間も夜遅くになっていた。
チーム練習開始3日目。
やる事は2日目同様パターンに応じたチームでの動きを徹底とした練習だ。
2日目はまだ初めての段階だったので、妥協しつつ全体の流れを把握するのを目標としてやっていたが、この練習を始めて2日目となるとそうも言ってられない。
フェン「ライトくん遅い。例えコンマ1秒でもその遅れが相手に付け入る隙を失うと同時に熟練の魔術師なら間違いなく反撃される機会を与えてしまうぞ!」
ライト「すいません!」
フェン「ラグナ、お前は逆に1人で突っ込みすぎだ。いつもの悪い癖だぞ。」
ラグナ「ちっ、わりぃ。」
フェン「アタッカーというのはどの役割よりも多く相手と対戦するんだ。君たち2人がベストな動きをしてくれなくては全員が揃っても無意味だ。」
フェンもかなりの実力者だ。
やはり司令塔を務めてるだけあって指示も的確、ダメなところがあればわかりやすく教えてくれて非常にやりやすい。
ライト(敵の数が増えた…!)
強さ、種類の違ったモンスターがランダムでスポーンされる機能。
この学園の設備は本当に素晴らしいものだ。
ライト(ここは俺が突破口を!)
ライト「《雷切》!」
右手を地面に強く打ち前方へ加速する。
中心部に道が出来るように空間が広がり、その周囲にいたモンスターは仰け反り飛ばされる。
ライトの雷切と同時に宙へ高く飛んでいたラグナは敵を見定め、胸の前でマナを集結させる。
首から吊るされたペンダントに埋め込まれた赤い魔法石がより赤く光り出し、胸の前にオレンジ色の球体が現れた。
右手を天に上げるとその球体はその手と繋がっているように手の上に浮かび、右手を振り下ろした。
ラグナ「《クリムゾンフレイム》!」
その球体は炎の雨のように残ったモンスターに降り注いでいく。
少なくとも残った敵は30体ほどいたはずだが、ラグナが放ったひとつひとつの火の玉は的確に全てのモンスターに命中していく。
物凄い精度力だ。
イリス「お見事なの!」
フェン「うん、だいぶ様になってきたね。今日はもう切り上げようか。」
もうそんな時間になったのだろうか。
本当に時間は過ぎるのが早い。
フェン「明日が予選前最後の練習。明日は軽めの調整とどのチームとも戦えるように対策を練ろう。それじゃ、今日はお疲れ様。」
大聖堂に転移する。
ちょうど色んなグループもこの時間に切り上げてたらしく、かなり人がいた。
アンナ「こうして見ると、ここの学園の生徒数って凄いわよね。」
1学年150人、全校450人。
人数が多い分学園も広いが、それでも多いと感じてしまうほどだ。
ラグナ「おい。」
ライト「あ、はい。」
ラグナが後ろから声をかけてきた。
ラグナ「明日はきっちり対策を練るぞ、準備は万全にしておけよ。」
相変わらずどこか怒ってるような口調で圧があったが、今までとはちょっと違って聞こえた。
ラグナとフェンは大聖堂を一緒に出ていった。
次いでイリスも出ていく。
アンナ「それじゃ私達も戻──」
アンナは話してる途中でライトと目が合うと途中で口を止めた。
ライトは何事かと思ったが、その後すぐにわかった。
アンナ「べ、別にあんたと行きたいとかそんなんじゃないからね!?勘違いしないでよね!?」
アンナは少し恥じらいながら言った。
普通にしてればいいと思うが、女性の心というのは理解しにくいところがたまにあるとライトは思った。
ライト「いいよ、戻ろっか。」
手を差し伸べて言った。
アンナはその手を見て少し驚く。
その後少しの時間、迷う…というより葛藤するような態度を見せていた。
──ぺしっ
アンナ「ふん!」
アンナはライトが差し出した右手を叩いて振り払い、1人で拗ねるように行ってしまった。
ライト「…えぇ…。」
本当に女性の心というのは理解しにくい。
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