じぃじ

蒼空

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じぃじ

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 「じぃじが死んだって」
 風呂から出て髪を乾かしている時、母から言われた。
自分には小さい頃から、じぃじと呼ぶ人がいた。母の知り合いで、雪国に住んでいて、毎年、冬になると遊びに行っていた。しかし、じぃじはなんというか、厳しい人で少し苦手意識があった。だが嫌いでは無かった。
 高校の2年になった頃から、だんだんとバイトと部活が忙しくなり、なかなか行けない年が続いた。
2年になった頃だったら、雪かき中に屋根から落ちたと聞いた。幸いにも一命は取り留めたが写真を見せてもらい驚いた。歳の割に黒かった髪は真っ白になり、顔は酷いやつれようだった。
 このままでは本当に死んでしまうのではないかと思い1度行こうとしたが止められた。理由を聞くと「荒れている」「変わってしまった」と、言っていた。
もちろん手紙も止められた。
 それから1ヶ月もたった頃にじぃじの死を知らされた。しかし、よく理解できなかった。苦手意識があったためか涙は出なかったが、悲しみはあった。しばらくほうけてからまたいつもの生活が続いた。変わった点と言えば母に
「じぃじって死んだんだっけ?」
と聞く日々がしばらく続いた。
 色々とお世話になっていたじぃじに挨拶も出来ずに別れてしまった。あの時、どうすれば良かったのかよく分からないし、まだ、じぃじが死んだことを実感できていない。
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