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序章
第4話(3)ユニークな顔ぶれ
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「……北海道を周るのか、それは分かった。しかし、この面子で大丈夫かよ?」
金神が自分と光兵衛の間を歩く、少女と少年を見ながら尋ねる。光兵衛が呟く。
「う~ん、なんとかなるんじゃないかな?」
「呑気だな。勝算は?」
「無いよ」
「あん?」
「賭けというものはそうでなくちゃ」
光兵衛がウインクする。
「無謀な賭けに巻き込まれちゃたまらねえよ」
「それはそうだね」
「というか、さっきも言ったが、俺らが途中でトンズラしたらどうすんだよ?」
「夕食をしながら教えたじゃないか。北海道を周って、僕を無事に雪京に連れ戻すことが出来たら、もっと莫大なお金が入る。そういう契約だ」
「……信用出来るのか?」
「前金……君たちに渡したお金がその証だよ」
「あれくらいの金を動かせるということは……お偉いさんか?」
「無用な詮索はやめてくれたまえ、僕を守ることに集中して欲しい」
「ふん……」
「もっとも……この雪京を出る前にゲームオーバーになりそうだけどね……」
光兵衛が視線だけを背後に向ける。何人かが尾行してきている。金神がため息をつく。
「そこかしこで札束を見せびらかしていたら、嫌でも目立つだろう……」
「う~ん、参ったね~」
光兵衛が首を捻る。金神が呟く。
「やっちまって良いのか?」
「ああ、お願い出来るかな?」
「お安い御用だ!」
「!」
金神がバッと振り返り、数歩進んで屈む。それに背後の尾行してきた者たちが驚く。
「バ、バレた⁉」
「隻眼隻腕、おまけに隻脚のやつになにが出来る! やっちまえ!」
「……!」
銃声が轟く。
「なっ……⁉」
「舐めてもらっちゃあ困るんだよ……」
金神の左の義足の膝の部分がガトリングガンとなっていた。意表を突いた銃撃を喰らった尾行者たちはバタバタと倒れ込む。光兵衛が満足そうに頷く。
「良い趣味をしているねえ」
「どこがだよ……あの変人博士と趣味が合いそうだぜ、お前」
「機会があったら三人で酒を酌み交わしたいものだね」
「頭数に入れんな……!」
屈んでいた金神が立ち上がって振り返り、前方を見る。光兵衛が頭を掻く。
「新手のようだね……」
金神が舌打ちする。
「ちっ、数が多いな!」
「私に任せろ! 行くぞ、テュロン!」
チュプレラが走り出す。
「お、おい!」
「まあ、ちょっと見てみよう……」
「そんなこと言っている場合か! あ⁉」
金神が驚く。リスくらいの大きさのテュロンが巨大犬を一回り大きくしたような姿になったからである。光兵衛が呟く。
「あれがテュロンの不思議な能力だよ」
「そ、そうか、あいつに乗って戦うんだな……」
「ウオオッ!」
「え⁉」
金神がさらに驚く。チュプレラが狼の獣人の姿に変化して、向かってきた集団に対し突っ込んでいったからである。光兵衛が顎をさすりながら呟く。
「あれがあの子の不思議な能力だよ」
「いや、自分で戦うのかよ⁉」
チュプレラが爪や牙で集団を倒していく。光兵衛が空を見上げながら頷く。
「今夜は月が綺麗だ……爪や牙も鋭さを増しているのかな」
「テュロンとやらはなんなんだよ⁉」
「……モフモフしてかわいいから良いじゃないか」
「なにを言ってんだ!」
「キュイ! キュイ!」
毛をモフモフとさせ、尻尾をフリフリとさせながら、主人であるチュプレラの戦いを懸命に応援するテュロンの姿を金神はじっと見つめる。
「ま、まあ、いいか……」
「いいだろう?」
「……片付いたぞ」
人間の姿に戻ったチュプレラが口元にわずかについた血を拭いながら光兵衛たちの下に戻ってくる。
「ご苦労さん」
光兵衛が声をかける。金神が提案する。
「さっさと車のところに戻ろうぜ」
「おらあっ!」
「‼」
脇道から車が光兵衛たちに向かって突っ込んでくる。
「轢き殺してやらあ!」
「ちっ!」
「待て!」
迎撃しようとした金神を光兵衛が制す。
「な、なんだよ⁉」
「うわあああ!」
「ええ⁉」
ユキオが車に向かって突っ込む。
「車をそういう風に扱う人は許せない! うおおおっ!」
「なっ⁉」
「むん!」
ユキオが巨大な毛むくじゃらの姿に変化し、車の突進を防ぐ。
「な、なんて力だ!」
「うおりゃあ!」
「どわあっ⁉」
ユキオが車を投げ飛ばす。宙を舞った車は地面に落下して壊れる。
「……ふん!」
「い、いや、自分も車をぞんざいに扱ってんじゃねえかよ……」
鼻息を荒くするユキオを見て、金神は戸惑う。光兵衛は笑う。
「そういう細かいことは言いっこなしだよ」
「し、しかしだな……」
「それにしても……半身武器人間に、狼の女の子に、雪男(美少年)か……なかなかにユニークな顔ぶれが揃ったね」
光兵衛が三人を見て呟く。金神が光兵衛を見つめる。
「……」
「どうかしたかい? 金神くん?」
「いや、お前……⁉」
「む?」
「ヒャッハー!」
バイクに乗り鉄パイプを持った集団が光兵衛たちに向かって襲いかかってくる。
金神が自分と光兵衛の間を歩く、少女と少年を見ながら尋ねる。光兵衛が呟く。
「う~ん、なんとかなるんじゃないかな?」
「呑気だな。勝算は?」
「無いよ」
「あん?」
「賭けというものはそうでなくちゃ」
光兵衛がウインクする。
「無謀な賭けに巻き込まれちゃたまらねえよ」
「それはそうだね」
「というか、さっきも言ったが、俺らが途中でトンズラしたらどうすんだよ?」
「夕食をしながら教えたじゃないか。北海道を周って、僕を無事に雪京に連れ戻すことが出来たら、もっと莫大なお金が入る。そういう契約だ」
「……信用出来るのか?」
「前金……君たちに渡したお金がその証だよ」
「あれくらいの金を動かせるということは……お偉いさんか?」
「無用な詮索はやめてくれたまえ、僕を守ることに集中して欲しい」
「ふん……」
「もっとも……この雪京を出る前にゲームオーバーになりそうだけどね……」
光兵衛が視線だけを背後に向ける。何人かが尾行してきている。金神がため息をつく。
「そこかしこで札束を見せびらかしていたら、嫌でも目立つだろう……」
「う~ん、参ったね~」
光兵衛が首を捻る。金神が呟く。
「やっちまって良いのか?」
「ああ、お願い出来るかな?」
「お安い御用だ!」
「!」
金神がバッと振り返り、数歩進んで屈む。それに背後の尾行してきた者たちが驚く。
「バ、バレた⁉」
「隻眼隻腕、おまけに隻脚のやつになにが出来る! やっちまえ!」
「……!」
銃声が轟く。
「なっ……⁉」
「舐めてもらっちゃあ困るんだよ……」
金神の左の義足の膝の部分がガトリングガンとなっていた。意表を突いた銃撃を喰らった尾行者たちはバタバタと倒れ込む。光兵衛が満足そうに頷く。
「良い趣味をしているねえ」
「どこがだよ……あの変人博士と趣味が合いそうだぜ、お前」
「機会があったら三人で酒を酌み交わしたいものだね」
「頭数に入れんな……!」
屈んでいた金神が立ち上がって振り返り、前方を見る。光兵衛が頭を掻く。
「新手のようだね……」
金神が舌打ちする。
「ちっ、数が多いな!」
「私に任せろ! 行くぞ、テュロン!」
チュプレラが走り出す。
「お、おい!」
「まあ、ちょっと見てみよう……」
「そんなこと言っている場合か! あ⁉」
金神が驚く。リスくらいの大きさのテュロンが巨大犬を一回り大きくしたような姿になったからである。光兵衛が呟く。
「あれがテュロンの不思議な能力だよ」
「そ、そうか、あいつに乗って戦うんだな……」
「ウオオッ!」
「え⁉」
金神がさらに驚く。チュプレラが狼の獣人の姿に変化して、向かってきた集団に対し突っ込んでいったからである。光兵衛が顎をさすりながら呟く。
「あれがあの子の不思議な能力だよ」
「いや、自分で戦うのかよ⁉」
チュプレラが爪や牙で集団を倒していく。光兵衛が空を見上げながら頷く。
「今夜は月が綺麗だ……爪や牙も鋭さを増しているのかな」
「テュロンとやらはなんなんだよ⁉」
「……モフモフしてかわいいから良いじゃないか」
「なにを言ってんだ!」
「キュイ! キュイ!」
毛をモフモフとさせ、尻尾をフリフリとさせながら、主人であるチュプレラの戦いを懸命に応援するテュロンの姿を金神はじっと見つめる。
「ま、まあ、いいか……」
「いいだろう?」
「……片付いたぞ」
人間の姿に戻ったチュプレラが口元にわずかについた血を拭いながら光兵衛たちの下に戻ってくる。
「ご苦労さん」
光兵衛が声をかける。金神が提案する。
「さっさと車のところに戻ろうぜ」
「おらあっ!」
「‼」
脇道から車が光兵衛たちに向かって突っ込んでくる。
「轢き殺してやらあ!」
「ちっ!」
「待て!」
迎撃しようとした金神を光兵衛が制す。
「な、なんだよ⁉」
「うわあああ!」
「ええ⁉」
ユキオが車に向かって突っ込む。
「車をそういう風に扱う人は許せない! うおおおっ!」
「なっ⁉」
「むん!」
ユキオが巨大な毛むくじゃらの姿に変化し、車の突進を防ぐ。
「な、なんて力だ!」
「うおりゃあ!」
「どわあっ⁉」
ユキオが車を投げ飛ばす。宙を舞った車は地面に落下して壊れる。
「……ふん!」
「い、いや、自分も車をぞんざいに扱ってんじゃねえかよ……」
鼻息を荒くするユキオを見て、金神は戸惑う。光兵衛は笑う。
「そういう細かいことは言いっこなしだよ」
「し、しかしだな……」
「それにしても……半身武器人間に、狼の女の子に、雪男(美少年)か……なかなかにユニークな顔ぶれが揃ったね」
光兵衛が三人を見て呟く。金神が光兵衛を見つめる。
「……」
「どうかしたかい? 金神くん?」
「いや、お前……⁉」
「む?」
「ヒャッハー!」
バイクに乗り鉄パイプを持った集団が光兵衛たちに向かって襲いかかってくる。
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