【序章完】ヒノモトバトルロワイアル~列島十二分戦記~

阿弥陀乃トンマージ

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序章

第8話(1)刀を振るう

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                 捌

 ある小島にて……。

「いたぞ!」

「女か⁉」

「それは見れば分かる!」

「ここにいるということは奴も参加者だ! 遠慮することはねえ!」

「そ、そうだな!」

「行くぞ!」

 三人の、小柄な、痩せ型な、太っちょな、三人の男性が白い法衣のようなものに身を包んだやや赤みがかった短髪の女性に襲いかかろうとする。

「ふう……」

 女性はため息を一つついて、腰に提げた鞘から刀をゆっくりと抜く。

「剣士か⁉」

 小柄な男性が驚く。

「だからそれも見れば分かる!」

 痩せ型の男性が呆れる。

「ど、どうする⁉」

「どうするって、ビビってんのか?」

 太っちょの男性が笑う。小柄な男性が答える。

「ビ、ビビってはない! た、ただ……」

「ただ?」

「結構出来そうだぞ!」

「ここに来ている時点でそれはそうだろう……」

 瘦せ型の男性が苦笑する。太っちょの男性が鼻を鳴らす。

「ふん、所詮は見かけ倒しよ! ……ふん!」

 太っちょの男性が力を入れる。大きめの体がさらに膨れ上がる。

「……」

 女性は無言で刀を構える。

「うおおっ!」

「はっ!」

「! な、なに……」

 女性が剣を振るうと、刀身が鞭のようにしなり、太っちょの男性の鎖骨を砕く。予期せぬ一撃を喰らった男性は跪く。女性が口を開く。

「見かけ倒しか……その言葉、そっくりそのまま返す……」

「ぐっ……」

「こ、今度は俺だ!」

 痩せ型の男性が前に進み出る。

「ふん……」

 女性が刀を構え直す。

「おあつらえ向きに小石が山ほど転がっているぜ!」

「それがどうした……」

 男性の言葉に対し、女性は冷淡に答える。

「こうするのよ! ……はあ!」

「む!」

 男性が力を込めると、周囲に転がる無数の小石が浮かび上がる。男性が女性を指差す。

「石の礫を喰らいな!」

 男性の声に反応し、小石が女性に向かって飛んでいく。

「はあっ!」

「‼」

 男性は驚いた。女性が持っていた刀の刀身を小刀のように変化させて、素早く振り回し、無数の小石を全て弾き飛ばしてしまったからである。

「……こんなものか」

「な、なんだと……?」

「よそ見をしていて良いのか?」

「なっ! がはっ!」

 女性の弾いた小石がいくつか、男性の顔面にめり込む。男性は顔を覆って膝をつく。

「……それくらいの曲芸、自分にも出来る……」

 女性はボソッと呟く。

「つ、次は俺だ!」

 小柄な男性が前に進み出る。

「声が震えているぞ」

「う、うるさい!」

「はあ……」

 女性がため息交じりで刀を構え直す。

「い、行くぞ! ……はあ!」

「む‼」

 男性が一瞬で女性の視界から消える。男性は女性の横顔を殴ろうとする。

「それっ!」

「くっ!」

 女性がなんとかそれをかわす。男性が笑う。

「はっ、よくかわしたな! これならどうだ!」

「ちっ!」

 男性が今度は女性の背後から殴りかかる。女性はそれもかわす。

「やるな! 連撃はどうだ! はっ! はっ! はっ!」

「……はああっ!」

「⁉ ぐおっ……」

 男性は驚く。女性の持つ刀の刀身が大剣のように太く厚くなり、しかも女性がそれを軽々と地面に振り下ろしてみせたからである。地面が砕け、大きな土塊が男性の体に直撃する。男性は腹部を抑えながら悶絶する。太っちょの男性が口を開く。

「お、女、何をしやがった……?」

「力には技術、技術には速さ、速さには力でもって対応したまでだ……」

 女性は淡々と答える。

「くっ……おい、お前ら! 立て!」

「あ、ああ……」

「う、うう……」

 太っちょの男性の呼びかけに応じ、瘦せ型の男性と小柄な男性が立ち上がる。

「三人で一斉に仕留めるぞ!」

「ああ、ちょうど自分もそれもおすすめするところだった……」

 女性が呟く。太っちょの男性が激高する。

「ええい、なめるなよ!」

「良いからかかってこい」

「よし! 行くぞ!」

 男性三人が一斉に飛びかかる。

「はあああっ!」

「⁉ なっ⁉」

 女性の持つ刀の刀身がまた変化する。今度は刀身に火を帯びている。女性はその刀を一閃すると、炎が巻き起こり、男性たちの体の一部を包み込む。

「うわあ⁉ あ、あちい!」

「ちょうど海が近い……消火をおすすめする」

「お、女、て、てめえ、なんだその妙な刀は⁉」

「……これは『九尾(きゅうび)』という妖刀だ。自分くらいにしか扱えん代物だ……」

「よ、妖刀……」

「どうでもいいが……」

「?」

「女ではない、天空真海(てんくうまみ)という名前がある……!」

 真海が刀を鞘に戻す。その言葉にはやや怒気がこもっている。
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