23 / 50
第一章
第6話(2)三将との戦い
しおりを挟む「そ、それのどこが詫びだ!」
「なんという石頭……超人の類か?」
「まあ、なんでもいいさ……」
「む……」
キサラギたちを制し、ヤヨイが前に進み出る。
「こいつが親玉だってんなら、ここで始末する……」
ヤヨイが剣を構える。タイヘイが呟く。
「来るか……」
「すぐに終わらしてやるよ!」
「!」
ヤヨイがあっという間にタイヘイとの距離を詰め、剣を振り下ろす。タイヘイはなんとかそれをかわすが、地面がさらに粉々に砕ける。
「へえ、よくかわしたね!」
「そんな大振り当たるかよ!」
「ならば!」
「うおっ!」
今度はやや細かい振りをしたが、これもタイヘイはかわす。
「良い反応だ!」
「音がすごいな! 結構な力じゃねえか!」
「当然さ、アタシは『怪力のヤヨイ』だからね!」
「へえ、わりと……」
「わりと……なんだい?」
「そのままの二つ名だな。捻りがないというか……」
「! ケンカ売ってんのかい⁉」
「そう怒るなよ……おっと⁉」
タイヘイが穴の空いた地面に足をとられて体勢を崩す。
「もらったよ!」
「ちっ!」
「なっ!」
タイヘイの足裏が火を噴き、ヤヨイの攻撃を横に飛んでかわす。
「あぶねえ、あぶねえ!」
「な、なんだい、それは!」
「ロケットブースターだよ!」
「がはっ!」
ロケットブースターによって急加速したタイヘイの頭突きを鳩尾に喰らって、ヤヨイは崩れ落ちる。
「一丁上がり!」
「ヤヨイが!」
「ロケットブースターだと……」
シモツキが驚き、キサラギが顎に手を当てる。
「人と機のハーフ、人機か⁉」
「そうかもしれんな……」
「ふん、おらあっ!」
「む⁉」
ロケットブースターで上昇したタイヘイが両手に抱えた土塊を次々と投げつける。
「これでも喰らいやがれ!」
「ちっ、ちょこざいな……」
キサラギが舌打ちする。
「ここは任せろ、キサラギ……」
「む?」
「それっ!」
シモツキが槍を構え、タイヘイに向かって投げつける。鋭く飛んだ槍はタイヘイの膝に突き刺さる。タイヘイがバランスを崩す。
「むう⁉」
「この『剛腕のシモツキ』を舐めてもらっては困るな……それくらいの距離ならば、我が槍は十分に届く……」
「ふ、ふん……」
「ん?」
「剛腕でもノーコンじゃ意味ないぜ? 心臓か頭を狙わねえと……」
「言われなくても……! 槍をよこせ!」
「はっ!」
シモツキが兵から槍を受け取る。タイヘイは苦しそうに膝を抑える。
「ちっ、油断した……」
「飛んでいるのもやっとだろう……これで仕留める!」
「甘えよ!」
「なにっ⁉」
シモツキの投じた槍をタイヘイが両手から放った斬撃で斬る。
「ふ、ふん……」
「りょ、両手が尖った……?」
「隙有り!」
「ぐはっ⁉」
タイヘイが続け様に放った斬撃を喰らい、シモツキが倒れる。
「二丁上がり!」
「両手から斬撃……かまいたちの斬撃か?」
「へえ、察しがいいねえ……くっ!」
地面に着地したタイヘイがキサラギの呟きに応えながら、膝に刺さった槍を引き抜く。
「どういうことだ? 妖の力も有しているということか?」
キサラギが首を捻る。
「そういうことだよ」
「そんなことが……」
「あり得るんだよな、これが」
タイヘイが笑みを浮かべる。
「ふむ……」
「降参するなら今だぜ?」
「冗談も休み休み言え!」
「うおっと!」
飛び込んできたキサラギに対し、タイヘイが斬撃をいくつか飛ばすが、キサラギはそれをことごとくかわしてみせる。
「ふっ……」
「なっ! あ、当たらねえ!」
「この『烈脚のキサラギ』の脚を見くびるなよ! その程度の斬撃ならば、避けることなど実に容易い!」
「ちっ⁉」
「もらった!」
キサラギがタイヘイの懐に入り込み、心臓に向けて苦無を突き立てる。
「うおおっ!」
「ごはっ⁉」
タイヘイの大きく膨らんだ腕がキサラギの横腹を襲った。キサラギは吹っ飛ぶ。
「……正確に心臓を狙ってきてくれて助かったぜ……半分あてずっぽうで腕を振ったら、タイミングドンピシャでカウンターが決まった……」
タイヘイがほっと胸をなでおろす。
「さ、三将が倒された!」
「そ、そんな……」
「ど、どうすれば⁉」
「落ち着きなさい……」
「‼」
見事な馬体の青鹿毛の馬に跨った鎧姿の美しく凛々しい女性が、綺麗で長い黒髪をなびかせながらその場に現れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる