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第1集
第11話(1)各業界への波及
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11
「ふむ……」
打ち合わせ室でクラウディアさんがコーヒーカップを置く。私は問う。
「いかかでしょうか?」
「良い風味と香りだ、以前よりも良い豆を使っているな」
「分かりますか?」
「ああ」
「お陰様でちょっと高いものを購入出来る余裕が生まれまして……」
「しかし……」
「はい?」
「実感がないな、我の書いた小説がベストセラーとは……」
クラウディアさんが腕を組む。
「書店にも一緒に行ったじゃないですか」
「ああ、だが、なんというか……自分が書いたものが店に並んでいるというのが、今ひとつ信じられなくてな……」
「周囲の反響などはありませんか?」
「この間魔王城に顔を出したのだが……」
「はい」
「会う者、会う者からサインを求められたな……」
「へえ……」
サインを求める魔族の方々というのもなんともシュールだなと思ったが、余計なことは言わないでおいた。
「さらに……」
「さらに?」
「魔王様からもお声がけ頂いた」
私は驚く。
「ええっ⁉ 小説についてですか⁉」
「ああ。目を通して頂いたようだ」
クラウディアさんが頷く。私は恐る恐る尋ねる。
「そ、それで……」
「ん?」
「ご感想は?」
「『なかなか興味深かった』だそうだ」
「ほ、ほう……」
「『続けて励め』ともお言葉を頂いた」
「そ、そうですか……」
「ふっ、何故貴様がそのように恐縮する?」
クラウディアさんが私の様子を見て笑う。
「いやあ、なんといっても魔王様ですから……」
「……今度、連れていくか?」
「え! いやいやそれは……」
「魔王城の取材などなかなか出来ることではないぞ?」
「えっと……検討させて頂きます」
「遠慮するな」
「いえ、最近のスケジュールが色々と詰まっておりまして……」
私は咄嗟に嘘を吐いた。スケジュールには若干の余裕がある。しかし、心の準備が出来ていない。魔王城の取材というのはたいへん興味深いことではあるが……。
「そうか、余裕が出来たら言ってくれ。我ならば基本顔パスだからな」
「そ、そうですか……それにしてもですね」
私は話題を変える。クラウディアさんが首を傾げる。
「ん?」
「凄い評判ですよ、クラウディアさんの小説!」
「そうか?」
「そうですよ!」
「凄いといっても……具体的には?」
「魔族の仕事に注目が集まっています」
「ほう……」
「レベル上げの為にモンスターを配置してくれたり、良い所に良い感じのアイテムを設置してくれたり……日々そんな努力をして下さっていたなんて、皆さん、全然思いもよらなかったみたいです!」
「少し裏側に踏み込み過ぎたのではないかと思うが……」
「とんでもない! 今ではこれくらい、どこの業界でも普通です!」
「そ、そうか、普通か……」
「はい! さらにですね……」
「さらに?」
「『これならモンスターを狩れる!』、『魔族何するものぞ!』と言った調子で、勇者パーティーを組む者が若者を中心に増えてきています!」
「そ、それは良いのか?」
「……さあ?」
私は首を傾げる。
「さあ?って……」
クラウディアさんが戸惑う。
「宿泊業界は歓迎していますよ」
「宿泊業界だと?」
「ええ、冒険者たちが多数殺到して、宿屋のベッドがいくつあっても足りなくて嬉しい悲鳴を上げていらっしゃいます」
「ほ、ほう……」
「『魔族様々だ!』と感謝されている宿主さんもおられました」
「感謝されるのもなんだかむずがゆいな……」
クラウディアさんが首を捻る。
「さらに旅行業界も歓迎しておりまして……」
「? 冒険者たちが旅行業をそこまで利用するのか?」
「いえ、いわゆる一般の方たちです」
「一般の方?」
「はい、小説を読んだ方々から『この場所に実際に行ってみたい!』という問い合わせが相次いでおりまして、旅行会社の皆様がそれぞれ急遽観光ツアーを組んでいます」
「か、観光ツアーだと?」
クラウディアさんが面喰らう。
「はい、そういったツアーを私のいたニッポンの言葉を借りて、こう呼んでいます」
「ニ、ニッポンの言葉? 何と言うんだ?」
「『聖地巡礼』です」
「い、いや、聖地って!」
クラウディアさんが声を上げる。私は首を捻る。
「おかしいですか?」
「モンスターが跳梁跋扈するような土地が聖地か?」
「はい」
「我が言うのもなんだが……世も末だな」
クラウディアさんが頭を軽く抑える。
「いやあ、経済は活性化されていますから……」
「まあ、貴様らがそれで良いならそれで構わんが……」
「それでですね……」
「うん?」
「少し気が早いですが、第二弾についての打ち合わせをしたいのですが……」
「……正直書くネタには事欠かんぞ」
「それは頼もしい!」
「では、やはり魔王城へ取材に行くとしよう」
「うっ……」
私は言葉に詰まる。やはり、避けては通れないのか……?
「ふむ……」
打ち合わせ室でクラウディアさんがコーヒーカップを置く。私は問う。
「いかかでしょうか?」
「良い風味と香りだ、以前よりも良い豆を使っているな」
「分かりますか?」
「ああ」
「お陰様でちょっと高いものを購入出来る余裕が生まれまして……」
「しかし……」
「はい?」
「実感がないな、我の書いた小説がベストセラーとは……」
クラウディアさんが腕を組む。
「書店にも一緒に行ったじゃないですか」
「ああ、だが、なんというか……自分が書いたものが店に並んでいるというのが、今ひとつ信じられなくてな……」
「周囲の反響などはありませんか?」
「この間魔王城に顔を出したのだが……」
「はい」
「会う者、会う者からサインを求められたな……」
「へえ……」
サインを求める魔族の方々というのもなんともシュールだなと思ったが、余計なことは言わないでおいた。
「さらに……」
「さらに?」
「魔王様からもお声がけ頂いた」
私は驚く。
「ええっ⁉ 小説についてですか⁉」
「ああ。目を通して頂いたようだ」
クラウディアさんが頷く。私は恐る恐る尋ねる。
「そ、それで……」
「ん?」
「ご感想は?」
「『なかなか興味深かった』だそうだ」
「ほ、ほう……」
「『続けて励め』ともお言葉を頂いた」
「そ、そうですか……」
「ふっ、何故貴様がそのように恐縮する?」
クラウディアさんが私の様子を見て笑う。
「いやあ、なんといっても魔王様ですから……」
「……今度、連れていくか?」
「え! いやいやそれは……」
「魔王城の取材などなかなか出来ることではないぞ?」
「えっと……検討させて頂きます」
「遠慮するな」
「いえ、最近のスケジュールが色々と詰まっておりまして……」
私は咄嗟に嘘を吐いた。スケジュールには若干の余裕がある。しかし、心の準備が出来ていない。魔王城の取材というのはたいへん興味深いことではあるが……。
「そうか、余裕が出来たら言ってくれ。我ならば基本顔パスだからな」
「そ、そうですか……それにしてもですね」
私は話題を変える。クラウディアさんが首を傾げる。
「ん?」
「凄い評判ですよ、クラウディアさんの小説!」
「そうか?」
「そうですよ!」
「凄いといっても……具体的には?」
「魔族の仕事に注目が集まっています」
「ほう……」
「レベル上げの為にモンスターを配置してくれたり、良い所に良い感じのアイテムを設置してくれたり……日々そんな努力をして下さっていたなんて、皆さん、全然思いもよらなかったみたいです!」
「少し裏側に踏み込み過ぎたのではないかと思うが……」
「とんでもない! 今ではこれくらい、どこの業界でも普通です!」
「そ、そうか、普通か……」
「はい! さらにですね……」
「さらに?」
「『これならモンスターを狩れる!』、『魔族何するものぞ!』と言った調子で、勇者パーティーを組む者が若者を中心に増えてきています!」
「そ、それは良いのか?」
「……さあ?」
私は首を傾げる。
「さあ?って……」
クラウディアさんが戸惑う。
「宿泊業界は歓迎していますよ」
「宿泊業界だと?」
「ええ、冒険者たちが多数殺到して、宿屋のベッドがいくつあっても足りなくて嬉しい悲鳴を上げていらっしゃいます」
「ほ、ほう……」
「『魔族様々だ!』と感謝されている宿主さんもおられました」
「感謝されるのもなんだかむずがゆいな……」
クラウディアさんが首を捻る。
「さらに旅行業界も歓迎しておりまして……」
「? 冒険者たちが旅行業をそこまで利用するのか?」
「いえ、いわゆる一般の方たちです」
「一般の方?」
「はい、小説を読んだ方々から『この場所に実際に行ってみたい!』という問い合わせが相次いでおりまして、旅行会社の皆様がそれぞれ急遽観光ツアーを組んでいます」
「か、観光ツアーだと?」
クラウディアさんが面喰らう。
「はい、そういったツアーを私のいたニッポンの言葉を借りて、こう呼んでいます」
「ニ、ニッポンの言葉? 何と言うんだ?」
「『聖地巡礼』です」
「い、いや、聖地って!」
クラウディアさんが声を上げる。私は首を捻る。
「おかしいですか?」
「モンスターが跳梁跋扈するような土地が聖地か?」
「はい」
「我が言うのもなんだが……世も末だな」
クラウディアさんが頭を軽く抑える。
「いやあ、経済は活性化されていますから……」
「まあ、貴様らがそれで良いならそれで構わんが……」
「それでですね……」
「うん?」
「少し気が早いですが、第二弾についての打ち合わせをしたいのですが……」
「……正直書くネタには事欠かんぞ」
「それは頼もしい!」
「では、やはり魔王城へ取材に行くとしよう」
「うっ……」
私は言葉に詰まる。やはり、避けては通れないのか……?
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