【第1章完】スキル【編集】を駆使して異世界の方々に小説家になってもらおう!

阿弥陀乃トンマージ

文字の大きさ
43 / 50
第1集

第11話(2)次元を超える

しおりを挟む
                  ♢

「うん……」

「あ、お茶菓子もどうでしょうか?」

 私は打ち合わせ室に座り、紅茶を優雅に飲むザビーネさんに茶菓子をすすめる。

「ほう、これは……」

「なにか?」

「あまり詳しくはないのだが、わりと高級な菓子ではないか?」

「あ、そうですね……お陰様でそういうのも用意出来るようになりまして……」

「お陰様……自分のか?」

 ザビーネさんが首を捻る。

「もちろんそうですよ! なんといってもベストセラーなんですから!」

「自分の著作がベストセラーとはな……」

「実感が湧きませんか?」

「正直言ってそうだな……」

「周囲の反応などはいかがですか?」

「騎士団寮ではわりと読まれているようだな」

「騎士団をモデルにしているお話ですからね、どんな内容なのか気になるんでしょうね」

「……なかなか気恥ずかしいものがある」

「どうしてですか?」

 私は首を傾げる。

「自分の日記を人に見られているような気がしてな」

「ああ……」

「やっぱり騎士団を舞台にしない方が良かった……」

 ザビーネさんが顔を両手で覆う。

「いやいや、リアリティーが出たのだから良かったですよ!」

 私は慌ててフォローをいれる。

「リアリティー……」

「そうです」

「小説とはフィクションだろう? そういう要素は果たして必要か?」

「無いよりは多少なりともあった方が良いと思います」

「多少……」

「それによって、作品に説得力が生まれますから……」

「説得力か……」

「はい。全部が全部フィクションというのも考えものです」

「そうか……」

「まあ、あくまでもこれは私個人の考え方ですが……」

「いや、納得出来る考え方だ……」

「それはなによりです……他の場所では反響などは聞いていませんか?」

「ああ、王宮だ」

「お、王宮⁉」

 私は驚く。

「女官を中心にして話題になっているようだ。王宮の衛兵部隊の者からそのように聞いた」

「お、王宮で話題とは凄いですね……」

「まったくとんでもないことになったものだ……」

 ザビーネさんが腕を組む。

「とんでもないことついで、と言ったらなんですが……」

「ん?」

「お願いしたいことがありまして……」

「なんだ?」

「正確にはある興行会社からのお願いなのです」

「興行会社?」

 ザビーネさんが首を傾げる。

「はい」

「興行会社がいったい何のお願いだ?」

「実は……ザビーネ先生の作品を舞台演劇として上演したいのだそうです」

「え、演劇⁉」

 ザビーネさんが立ち上がって驚く。

「そうです」

「な、何故だ……?」

「実は私がいた異世界の国、ニッポンでの流行なのですが……」

「ふむ……」

「『2・5次元舞台』というのが流行っているのです」

「『2・5次元部隊』? すごそうな部隊だな……」

「いえ、その部隊ではなく……」

「うん?」

「舞台です」

「ああ、そうか、すまん、混乱していた……」

「とにかくお座り下さい」

「うむ……」

「その流行に乗って、こちらの世界でも小説を舞台演劇にしようという機運が高まっておりまして……その第一作としてザビーネ先生の作品に白羽の矢が立ったということです」

「ふむ……」

「いかがでしょうか?」

「ちょ、ちょっと待ってくれないか?」

「なにか気になることが?」

「気になることだらけなのだが……まず聞きたいことがある」

「なんでしょうか?」

「そもそも2・5次元とはなんだ?」

「……我々がいるのが3次元の世界です」

 私はテーブルを指差す。ザビーネさんは頷く。

「ああ……」

「対して、この小説の挿絵などが2次元の世界です」

 私はテーブルの上に置かれた小説を指差す。

「う、うむ……」

「その間をとったのが、2・5次元の世界です」

「……」

「お分かりでしょうか?」

「……言うほど間をとっているか?」

「……細かいことはまあいいじゃないですか」

「いや、結構大きなことだろう」

「とにかくですね、ご自身の小説を元にした舞台……見てみたくはないですか?」

「む……」

「いかがでしょうか?」

「興味が無いと言えば、嘘になるな……」

「そうですか」

「芝居鑑賞も嫌いではないからな」

「それならば、舞台演劇化は了承したと伝えてよろしいですね?」

「ああ、構わない」

「それでは重ねてお願いが……」

「重ねて? なんだ?」

「出演者のオーディションです」

「オ、オーディション?」

「はい、主役の少年は一般公募から選びたいと考えておられるようです。その人選について、ザビーネ先生の意見も是非伺いたいと……」

「じ、自分は芝居については素人だ。遠慮させてもらおう……」

「国中から美少年が集まるそうですが……」

「やるからには厳しくいくぞ」

 ザビーネさんはこれ以上ないくらいのキリっとした表情でオーディションを了承した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...