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第1回公演
第2惑星(2)いい湯だったな(過去形)
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「……あ~」
アユミちゃんの質問責めから解放された俺は――もっとも、質問は50個ほどしか答えられなかったが、地球の成り立ちとか分からねえよ――バスタブに浸かって、声にならない声を上げる。生き返るような気分だ。死んだことはないが。しかし、あらためて広いバスタブだな、一度に数人は入れそうだ。お陰で掃除がくそ大変だったけど。深さも意外とあるし。美容に効く入浴剤でも使っているのか? 透明でなく真っ白なお湯だ。とにもかくにも一日の疲れが取れていくようだ……ん?
「なんで一緒に入らなきゃいけないのよ……」
「え~いいじゃん、裸の付き合いってやつだよ」
「私、一人の時間を大切にしたいのだけど……」
「アタシと一緒なら楽しいよ~?」
「別に楽しさは求めてないのよ」
「いいから入ろ、入ろ♪」
「⁉」
ケイちゃんとコウちゃんの話し声⁉ し、しまった、『入浴中』とパネルに表示させるのを忘れていた……! は、早く、声をかけないと……!
「あ、あの……」
「お~いいお風呂だね~!」
「! 耳元でいきなり大声出さないでちょうだい!」
「めんごめんご、発声練習してみた。ここ防音しっかりしてるし♪」
「今のタイミングじゃなくても良いでしょう⁉」
「あ……」
マズい、二人が完全にバスルームに入ってきた……! 声をかけるタイミングを完全に逸してしまった! 湯気が立ち込めていて、二人の姿は見えない、ちょっと残念……いや、違う、これ幸いってやつだ。向こうからも俺のことが見えていないということだからな。よし、今の内に……!
「うぐっ……⁉」
な、なんだ、このタイミングで同時に両腕両足がつっただと⁉ う、動けねえ! 足はともかく、腕までつるなんて……! こんなことがあるのか? ここ最近の疲れが一気に出ちまったのか⁉ ど、どうする?
「? 今、なにか声がしなかった?」
「え? アタシの声が反響したんでしょ?」
「いや、もっとうめき声のような……」
「も~そうやって怖がらせようとしたって無駄だよ?」
「そういうことではなくて……」
「あれでしょ、頭を洗っていたら視線を感じるってやつ? あれはね、神様なんだよ♪」
「は?」
「例えばシャンプーで洗っているときはリンスの神様が『次はワシじゃよ、努々忘れるなよ』ってメッセージを込めた念を送ってきているんだよ」
「なによそれ……」
「そういう言い伝え知らない?」
「知らないわ」
「あそ。まあいいや、ケイちゃん、洗いっこしない?」
「な、なんでそんなことしなきゃいけないのよ⁉」
「せっかくだしさ。ほら座って座って」
「ちょ、ちょっと! 引っ張らないで!」
「まずはそれぞれ頭を洗おうか……よし、終わったね。それじゃあ……」
「きゃっ⁉ ど、どこを触っているのよ⁉」
「何って、頭を洗ったら、次はボディでしょ?」
「じ、自分でやるから!」
「いやいや、案外手が届かないところがあるからさ……」
「こ、ここは届くわよ! そ、それに手つきがいやらしいのよ!」
「ええ~? いやらしい気分になったの?」
「な、なってないわよ!」
「じゃあ、良いじゃない♪」
「良くない! あん、だ、だから、なんでそこばっかり……!」
「ここをね、人にマッサージしてもらうと大きくなるらしいよ~?」
「なによそれは⁉ それも言い伝え⁉」
「……合法的に触る言い訳かな?」
「なっ!」
「大きくな~れ、大きくな~れ♪」
「あ、あん……ちょ、ちょっと……いい加減にしなさい!」
「うおっと⁉ ア、アタシは良いって……」
「洗いっこしようといったのは貴女でしょう⁉ まったく、何を食べたらこんなに……」
「う、うん……ケ、ケイちゃん、どうしてなかなかテクニシャン……」
「こっちもよ!」
「うおい⁉ そ、そっちは……」
「くっ……まるで桃のようなプリプリ感……羨ましい……」
「え?」
「な、なんでもないわ!」
「そ。じゃあ、次はアタシのターン!」
「きゃっ⁉ そ、そこは……!」
「う~ん、すべすべしてるね~……こっちはどうかな?」
「そ、そこはダメよ⁉」
「……」
はっ! 何をやっているんだ俺は! 今の内に脱出出来たかもしれないのに、呑気に聞き耳を立ててしまった! し、しかし、腕も足もまだつったままだ!
「まあ、今日の所はこの辺にして、そろそろ入ろうか♪」
「まったく……」
ヤ、ヤバい! 二人がこっちに来る! ど、どうすれば⁉ ……こ、これしかない!
「じゃぶ~ん!」
「普通に入りなさい! ……って、なんで近くに入るのよ!」
「なんで?」
「広いんだから、離れなさいよ!」
「イヤだ」
「い、嫌だって……ちょ、ちょっと、近いわよ……」
「湯に浸かった状態でね……触れ合うと美容に良いらしいよ?」
「そ、それも言い伝え?」
「ううん、思いつき♪」
「きゃっ⁉ だ、だから、やめなさいって……ん?」
「⁉」
な、なんだ⁉ 一か八か潜ってみたら顔になにか乗っかかって来たぞ? し、しまった、頭の方に重みがかかって足が浮いてしまう……!
「! おっと、ケイちゃん、挟み込んでくるとはやるね~」
「な、なにもしてないわよ!」
「へっ?」
「えっ?」
も、もしかして……俺の顔に乗っているのはケイちゃんのあれで、両の太ももに触れているのはコウちゃんのあれか? い、いや、こんなときに余計なことは考えるな、俺! 理性を保て! ……うん、無理!
「ひょ、ひょっとして、お風呂のオバケが本当に⁉ ど、どうしよう⁉」
「お、落ち着きなさい! そ、そう、こういうときは歌でも歌うのよ!」
「そ、そうだね! お、湯気でよく見えないけど、マイクが出てきた! 一緒に歌おう!」
「マ、マイク⁉ あ! こ、これね! 二人でデュエットするわよ!」
「そ、そんなに握って上下させたら刺激が強すぎる! ……あっ」
「「……」」
お湯の中から色んな意味で飛び出した俺はケイちゃんとコウちゃんとばっちり目が合う。俺、終了のお知らせ。
アユミちゃんの質問責めから解放された俺は――もっとも、質問は50個ほどしか答えられなかったが、地球の成り立ちとか分からねえよ――バスタブに浸かって、声にならない声を上げる。生き返るような気分だ。死んだことはないが。しかし、あらためて広いバスタブだな、一度に数人は入れそうだ。お陰で掃除がくそ大変だったけど。深さも意外とあるし。美容に効く入浴剤でも使っているのか? 透明でなく真っ白なお湯だ。とにもかくにも一日の疲れが取れていくようだ……ん?
「なんで一緒に入らなきゃいけないのよ……」
「え~いいじゃん、裸の付き合いってやつだよ」
「私、一人の時間を大切にしたいのだけど……」
「アタシと一緒なら楽しいよ~?」
「別に楽しさは求めてないのよ」
「いいから入ろ、入ろ♪」
「⁉」
ケイちゃんとコウちゃんの話し声⁉ し、しまった、『入浴中』とパネルに表示させるのを忘れていた……! は、早く、声をかけないと……!
「あ、あの……」
「お~いいお風呂だね~!」
「! 耳元でいきなり大声出さないでちょうだい!」
「めんごめんご、発声練習してみた。ここ防音しっかりしてるし♪」
「今のタイミングじゃなくても良いでしょう⁉」
「あ……」
マズい、二人が完全にバスルームに入ってきた……! 声をかけるタイミングを完全に逸してしまった! 湯気が立ち込めていて、二人の姿は見えない、ちょっと残念……いや、違う、これ幸いってやつだ。向こうからも俺のことが見えていないということだからな。よし、今の内に……!
「うぐっ……⁉」
な、なんだ、このタイミングで同時に両腕両足がつっただと⁉ う、動けねえ! 足はともかく、腕までつるなんて……! こんなことがあるのか? ここ最近の疲れが一気に出ちまったのか⁉ ど、どうする?
「? 今、なにか声がしなかった?」
「え? アタシの声が反響したんでしょ?」
「いや、もっとうめき声のような……」
「も~そうやって怖がらせようとしたって無駄だよ?」
「そういうことではなくて……」
「あれでしょ、頭を洗っていたら視線を感じるってやつ? あれはね、神様なんだよ♪」
「は?」
「例えばシャンプーで洗っているときはリンスの神様が『次はワシじゃよ、努々忘れるなよ』ってメッセージを込めた念を送ってきているんだよ」
「なによそれ……」
「そういう言い伝え知らない?」
「知らないわ」
「あそ。まあいいや、ケイちゃん、洗いっこしない?」
「な、なんでそんなことしなきゃいけないのよ⁉」
「せっかくだしさ。ほら座って座って」
「ちょ、ちょっと! 引っ張らないで!」
「まずはそれぞれ頭を洗おうか……よし、終わったね。それじゃあ……」
「きゃっ⁉ ど、どこを触っているのよ⁉」
「何って、頭を洗ったら、次はボディでしょ?」
「じ、自分でやるから!」
「いやいや、案外手が届かないところがあるからさ……」
「こ、ここは届くわよ! そ、それに手つきがいやらしいのよ!」
「ええ~? いやらしい気分になったの?」
「な、なってないわよ!」
「じゃあ、良いじゃない♪」
「良くない! あん、だ、だから、なんでそこばっかり……!」
「ここをね、人にマッサージしてもらうと大きくなるらしいよ~?」
「なによそれは⁉ それも言い伝え⁉」
「……合法的に触る言い訳かな?」
「なっ!」
「大きくな~れ、大きくな~れ♪」
「あ、あん……ちょ、ちょっと……いい加減にしなさい!」
「うおっと⁉ ア、アタシは良いって……」
「洗いっこしようといったのは貴女でしょう⁉ まったく、何を食べたらこんなに……」
「う、うん……ケ、ケイちゃん、どうしてなかなかテクニシャン……」
「こっちもよ!」
「うおい⁉ そ、そっちは……」
「くっ……まるで桃のようなプリプリ感……羨ましい……」
「え?」
「な、なんでもないわ!」
「そ。じゃあ、次はアタシのターン!」
「きゃっ⁉ そ、そこは……!」
「う~ん、すべすべしてるね~……こっちはどうかな?」
「そ、そこはダメよ⁉」
「……」
はっ! 何をやっているんだ俺は! 今の内に脱出出来たかもしれないのに、呑気に聞き耳を立ててしまった! し、しかし、腕も足もまだつったままだ!
「まあ、今日の所はこの辺にして、そろそろ入ろうか♪」
「まったく……」
ヤ、ヤバい! 二人がこっちに来る! ど、どうすれば⁉ ……こ、これしかない!
「じゃぶ~ん!」
「普通に入りなさい! ……って、なんで近くに入るのよ!」
「なんで?」
「広いんだから、離れなさいよ!」
「イヤだ」
「い、嫌だって……ちょ、ちょっと、近いわよ……」
「湯に浸かった状態でね……触れ合うと美容に良いらしいよ?」
「そ、それも言い伝え?」
「ううん、思いつき♪」
「きゃっ⁉ だ、だから、やめなさいって……ん?」
「⁉」
な、なんだ⁉ 一か八か潜ってみたら顔になにか乗っかかって来たぞ? し、しまった、頭の方に重みがかかって足が浮いてしまう……!
「! おっと、ケイちゃん、挟み込んでくるとはやるね~」
「な、なにもしてないわよ!」
「へっ?」
「えっ?」
も、もしかして……俺の顔に乗っているのはケイちゃんのあれで、両の太ももに触れているのはコウちゃんのあれか? い、いや、こんなときに余計なことは考えるな、俺! 理性を保て! ……うん、無理!
「ひょ、ひょっとして、お風呂のオバケが本当に⁉ ど、どうしよう⁉」
「お、落ち着きなさい! そ、そう、こういうときは歌でも歌うのよ!」
「そ、そうだね! お、湯気でよく見えないけど、マイクが出てきた! 一緒に歌おう!」
「マ、マイク⁉ あ! こ、これね! 二人でデュエットするわよ!」
「そ、そんなに握って上下させたら刺激が強すぎる! ……あっ」
「「……」」
お湯の中から色んな意味で飛び出した俺はケイちゃんとコウちゃんとばっちり目が合う。俺、終了のお知らせ。
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