ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ

阿弥陀乃トンマージ

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第1章

第4話(2)街での情報収集

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「……別の街に移ってきたわけですが……」

「アヤカ、不服か?」

「いいえ、そういうわけでは……しかし、何故にでしょうか?」

「なんとなく気分を変えたくなった……それでは駄目か?」

「なるほど……それならば別に構いません……」



 俺の右隣を歩くアヤカは納得したように頷く。俺は周囲を見回す。



「この街も結構な規模だな……」

「はい、この国でも有数の街ですね。とはいえ……」

「とはいえ?」

「拙者でも、この国のすべての街や、その周辺地域の事情について詳細に知っているというわけではありません」

「ふむ……まあ、それはそうだろうな……」



 俺は腕を組んでうんうんと頷く。アヤカが話を続ける。



「そこでひとつご提案なのですが……」

「提案?」

「はい、まずは情報の収集をしませんか?」

「ああ、それもそうだな……」

「そんなにご大層に提案することかねえ……」



 俺の左隣を歩くエリーが苦笑交じりに首を捻る。アヤカがキッと睨みつける。



「なんだ? なにか文句でもあるのか?」

「別に……」

「いいや、その顔はあるだろう」

「文句はないでありんす。小馬鹿にしただけでありんす」

「なんだと……!」

「知らない場所に来たら情報収集というのは至極当然の話でありんす」

「ならば、なにか他にすることがあるのか?」

「まあ……おもむろに家探しや建物探索をするのが良いかと。意外なお宝が眠っている場合がありんすから♪」



 た、確かにRPGでは、人の家やら建物におもむろに入っては、色々と調べたりするものだが……なんだろう、こうしてゲームの世界に実際に身を置いてみると……。



「野蛮極まりないな」



 うん、どうしてもアヤカと同じような感想になってしまうな……。



「はあ?」

「はあ?じゃない。魔族の常識は人間にとっては非常識だ。そのような野蛮な行動をするわけがないだろう」

「キョウ様はどうお思いでありんすか?」

「う~ん……」

「どうぞ遠慮なく、正直におっしゃっておくんなんし」

「よその家や建物に勝手に入るというのは抵抗があるな……」

「珍しいお宝などが手に入るかもしれんせんよ?」

「それは極めて魅力的な話なのだが……しかし……」

「しかし?」

「……殊更に正義を気取るつもりはないんだが、やはり正規の手段で資金稼ぎをした方が色々と賢明だと思うんだ……」

「ふむ……」



 エリーは若干不満そうに自らの顎をさする。俺はフォローする。



「べ、別に魔族がどうこうというわけではないぞ?」

「お気遣いなく……あちきはただキョウ様のお考えに従うだけでありんす」

「では、どうしますか?」



 アヤカが俺に問うてくる。俺は答える。



「まあ、モンスターを討伐して報酬を得るのが、今の俺たちにとっては一番だからな……組合に行って情報集めだな」

「分かりました。この街で有名な組合は……あの大きな建物ですね」

「あれか。では……」

「いきなり前言を撤回しんすが……」

「どうした、エリー?」



 俺はエリーに尋ねる。エリーは別の建物を指差す。



「あの賑わっている酒場に行きましょう。今の時間帯ならば食堂でありんすかね」

「食堂に? どうしてだ?」

「ギルドにはあまり良い情報が集まってない場合も多々ありんす。モンスター討伐を生業にする者以外も出入りする場所の方が、特ダネが埋まっている可能性が高いでありんす」

「ふざけるな。なんでそんなことをしなければならない……」

「この国のことしか知らない世間知らずの女は黙っていてください。あちきは色々な国や地域を巡ってきてやす。経験というものが絶対に違うでありんす」

「む……」



 エリーの言葉を受け、アヤカはややムッとしながらも黙り込む。俺はその場を和ませるような口調で、自らの腹をさすりながら話す。



「そうだな、ここはエリーに従うことにしよう。ちょうど腹も減ってきていたしな」

「それでは、参りんしょう……」



 エリーの提案を容れ、俺たちは食堂に入る。周囲の客からの視線が集まる。この街でも名前と顔がよく知られているアヤカと、魔族の女と、ほぼ全裸の男がともにテーブルを囲んでいるのだ。それも無理はないという話だろう。当初は遠巻きに眺めているだけだったが、酒の力もあったのか、俺たちに話しかけてくる客がぽつぽつと出始めた。俺たちは適当な世間話をしつつ、本題に入る。俺は最初に話しかけてきたおっさんに尋ねる。



「この街の周辺で、レアなモンスターと遭遇出来る場所はないですか?」

「レアなモンスター?」

「そう、出来れば強力な奴が良いのですが……」

「……兄ちゃん、恰好もだいぶ変だけど、また変な質問をするねえ……雑魚狩りをした方が無難に稼げるだろうに……なんか知っているやつはいるか?」



 おっさんが周囲の客に尋ねる。周囲の客が揃って首を傾げる中、真緑色のローブを着て、フードを目深に被った女性が口を開く。



「……北の森ならいるんじゃないかな? 大樹の樹液を吸いに来ているって話だよ」

「北の森の大樹……そうですか。ちょっとそこに行ってみます」

 

 俺たちは早速店を後にして、街を出て、北の森へと向かう。
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