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第一章
第3レース(4)愕然
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「教官に伝えてくる、ドラゴンの面倒を見ていてくれないか」
レオンは水で濡れた顔をハンカチで拭くと、その場から足早に去ろうとする。
「ちょ、ちょっと待て、落ち着けよ!」
炎仁がレオンの左腕をがっしりと掴む。
「落ち着いているよ」
「じゃあ、なんでいきなりそんな突拍子もないことを……!」
「君にとっては突拍子もないことかもしれないが、僕の中では繋がっているんだよ」
「繋がっている?」
「そう、一つの線でね。腕を離してくれ」
「わけを話してくれないか?」
「何故君にそんなことを話さなければならないんだい?」
「先日まで汚名返上するって意気込んでいたじゃないか。一体どうしたんだ?」
「……まあ、こんな奴もいるんだということを知っておいてもらっても良いかな……君は合格するのはなかなか厳しそうだけど」
「うぐっ」
「わけを話すよ、とにかく腕を離してくれないか」
「あ、ああ……」
レオンはその場に腰を下ろす。
「何故か今だに全体で自己紹介させられないけど……僕は金糸雀レオン、16歳」
「え? 一個上かよ!」
「そう、だから本来、君は僕に対して敬語を使うべきなんだよね。まあ冗談だけど」
「このコースでは同期生に当たるわけだからタメ口で問題ないだろう」
「そ、そういう解釈で来たかい……ま、まあ、それはどうでもいい。僕はジパング人の父とフランス人の母の間に生まれたハーフだ。母がジョッキーで、父は調教師。天ノ川や撫子さんの家に比べれば知名度は低いけど、所謂競竜ファミリーだ」
「競竜ファミリー……」
「幼き頃からドラゴンに親しんできた僕にとってはドラゴンレーシングのジョッキーになるということは極めて自然な流れだった」
「ああ……」
「ジュニアやジュニアユース世代での関東大会ではそれなりに優秀な成績を収めていた……しかし、いつも上位には彼らがいた」
「彼ら?」
「同い年の天ノ川翔や、少しお姉さんの撫子飛鳥さん……彼らも当然ジョッキーになるのだろう……だが、このままではお互いの距離が一向に縮まらないままだと僕は思った。そこで僕は決断を下した!」
「決断?」
「競竜の本場、欧州の競竜学校で本格的に学べば、彼らを超えることが出来るはず! 僕はそう考え、母の母校であるフランスの競竜学校に昨春入学した」
「そうだったのか……」
炎仁は俯きがちになる。レオンは右手を挙げて否定する。
「あ、言っておくけど、つまらないイジメの類はほとんど無かったよ。皆、ジョッキーになる為それぞれ必死なわけだからね。問題は僕自身だ……」
「レオン自身……?」
「ああ、入学して三か月が過ぎたころ模擬レースがあった。こちらの教官同様、『結果は問わない』という話だった。しかし、一着、もしくは上位で入線した方が絶対に教官たちの印象は良いはずだ。僕は張り切った、張り切りすぎてしまった……」
「張り切りすぎた?」
「ああ、前方の竜群に生じたわずかな隙間にドラゴンを突っ込ませた結果、転倒、何頭かを巻き込む派手な落竜事故を起こしてしまったんだよ」
「え……」
レオンの言葉に炎仁は絶句する。
「不幸中の幸いで僕らも含めて人竜ともに皆軽傷で済んだ。学生たちも教官たちも僕を必要以上には責め立てなかった。しかし……」
「しかし?」
「そこからドラゴンを竜群に突っ込ませることが出来なくなったんだよ……いわゆる『イップス』って奴さ」
「イップス……」
「普通に走らせる分には問題ないんだけどね……激しく競り合う場面になると、どうしても体がすくんでしまう……フランスの学校は三か月待ってくれたが、状況は改善せず、僕は日本に帰国したってわけさ」
「そうだったのか……」
「そこから約半年が経過し、もう大丈夫かと思ってこのコースを受講したんだけど……現実はそう甘くなかったようだね」
レオンは立ち上がり歩き出そうとする。
「待て、それで良いのか?」
炎仁の言葉にレオンはため息交じりで答える。
「言っただろう、このイップスが治ってないのだから、このまま続けても、君らに余計な迷惑をかける恐れがある。ここで僕が去った方が良い」
「……騎手になるのも諦めるのか」
「!」
「子供の頃からドラゴンに親しんできたんだろう? 大会にも数多く出てきたんだろう? そんなことで諦められるのか?」
「諦めきれるわけないだろう!」
ここまで冷静に話していたレオンが声を荒げる。
「……じゃあ、辞めるなんて言うなよ」
「しかし、現実問題としてイップスはどうする⁉」
「イップスには現代医学でも明確な治療法が確立されていないっていう話くらいは俺も聞いたことがある……」
「ふん、案外博識じゃないか」
炎仁の言葉にレオンは失笑気味に答える。炎仁は右手でピースサインを作る。
「……俺から二つほど提案がある」
「二つ?」
「『ちょっとふざけた話』と『真面目にふざけた話』だ」
「ど、どっちもふざけた話じゃないか! ふざけるな!」
「だからふざけた話だって言っただろう? どっちから聞きたい?」
「……『ちょっとふざけた話』」
「入学に当たって、要項が配られただろう?」
「ああ、すぐに忘れろと言われたじゃないか」
「大事なところを見落としていないか?」
「大事なところ?」
「そう、このコース、夏に温泉付きの訓練施設で合宿があるんだ!」
「……それがどうした?」
「カァーッ! 察しが悪いな、いいか? 厳しい訓練の後は皆温泉に入るだろう、男も! そして女も!」
「⁉」
レオンはハッとした表情で炎仁を見つめる。
「その時、お前の自慢のニンジャグッズが役に立つ! ……かもしれない!」
「な、なるほど!」
「楽しいことをイメージするんだ!」
「イメージトレーニングは重要だからね……それで本題は?」
「あ、それだけでは引っかからなかったか?」
「当然だろう」
「では、『真面目にふざけた話』だが……」
炎仁がそっと耳打ちする。
「! そ、そんな……!」
「ダメか?」
「いや、やってみる価値はありそうだね……」
レオンはニヤリと笑い、ドラゴンに跨って、集合場所に戻る。
「……では模擬レースを再開する!」
「よ~い、スタート!」
掛け声とともにレオンとジョーヌエクレールが勢いよく先頭に飛び出す。そのままスピードを緩めず、どんどんと加速していく。
「は、速い!」
真帆が驚く。飛鳥が笑う。
「そんなペースが持つわけがありませんわ……」
しかし、飛鳥の読みとは異なり、レオンとジョーヌエクレールは先頭に立ったまま、最後の直線に入った。飛鳥が慌てて手綱をしごく。
「そ、そんな馬鹿な!」
追いかけるも及ばず、レオンたちがまんまと逃げ切ってみせた。レオンは鬼ヶ島の下に近づき、口を開く。
「これが僕なりの答えです。助言があってのことですが……」
「竜群に怖さを覚えるなら群れなければいいということか」
「まあ、そうですね……もちろん、このジョーヌエクレールの脚質、加速力、スタートでの反応の良さを総合的に判断した結果でもあります」
「……それで戦えると判断したのならやってみろ」
「ありがとうございます」
レオンは鬼ヶ島に礼を言う。
「くっ、届かねえ!」
「なんてハイペース……常識外れ過ぎる」
続いてのレースでもレオンたちは大逃げをかまし、相手にかなりの着差をつけた。青空は悔しがり、海は顔をしかめた。レオンは得意気に話す。
「はっはっは! 誰も僕らを捕まえられないよ!」
「ちっ、調子に乗りやがって……」
嵐一が舌打ちする。
「でも、あの手のタイプは一度調子に乗るとなかなか手がつけられない……」
翔が淡々と呟く。嵐一が苦々し気な表情を浮かべる。
「そういうのはなんとなく分かる。対策は?」
「ただ闇雲に逃げているわけじゃない。ペース配分も完璧というわけじゃないが、ちゃんと行っている。厄介な相手だよ」
「お前にそこまで言わせるかよ……」
翔の言葉を聞いて、炎仁は何故か我が事のように嬉しくなる。そこに近づいてきたレオンが炎仁に語りかける。
「はっはっは! 炎仁! 次は君にレースとはなんたるかを教えてあげよう!」
「なっ⁉ い、言わせておけば!」
そして翌日……ある狭い教室に八人の男女が集まった。真帆が炎仁に小声で話す。
「一体なにかしら? ここって普段あまり使ってない教室よね?」
「さあ、なんだろうな。しかし集まった面子的に……」
炎仁は周囲を見回す。天ノ川翔、草薙嵐一、金糸雀レオン、撫子飛鳥、朝日青空、三日月海という面々が座っている。
「皆、ここ数日なにかと目立っている人たちよね……」
「うい~す、皆集まっているね」
ぼさぼさ頭によれよれのスーツを着た男性が教室に入ってきた。炎仁が呟く。
「いつも今一つやる気のなさそうな教官……!」
「え、炎ちゃん、声に出ちゃってるよ!」
「ははは、とりあえず自己紹介をしておこうか、僕は仏坂巌(ほとけざかいわお)、このコースの教官を務めているよ。そして、今回このクラスを受け持つこととなった」
「クラス……まさか!」
海が信じられないといった様子を見せる。仏坂は笑う。
「察しの良い子もいるみたいだけど、順を追って説明させてもらうね。入学以来この一週間、君たちには選抜を受けてもらっていたんだ」
「選抜~?」
青空が怪訝な顔つきになる。
「そう、クラス分けのね。厳正な選抜の結果、君たち八人はCクラスということとなったんだ、とりあえずおめでとうと言っておこうかな」
「ちょ、ちょっとお待ちになって!」
「Cクラスって……!」
飛鳥とレオンが座席から立ち上がる。仏坂がうんうんと頷く。
「流石に気がつく子が増えてきたようだね……」
「どういうことっすか?」
嵐一が憮然とした表情で尋ねる。
「えっと……この『関東競竜学校騎手課程短期コース』は例年大体二十数名が受講し、合格は大体十二、三名くらい、ざっくり言えば、Aクラスの八人とBクラスの半分が受かるって感じかな~」
「! と、ということは……?」
真帆がおそるおそる尋ねる。
「そう、君たち八人は文字通り『崖っぷち』の状態からスタートってことだ」
「「「「「「「えっ⁉」」」」」」」
「zzz……」
居眠りをかましている翔を除いた七人が仏坂の言葉に愕然となる。
レオンは水で濡れた顔をハンカチで拭くと、その場から足早に去ろうとする。
「ちょ、ちょっと待て、落ち着けよ!」
炎仁がレオンの左腕をがっしりと掴む。
「落ち着いているよ」
「じゃあ、なんでいきなりそんな突拍子もないことを……!」
「君にとっては突拍子もないことかもしれないが、僕の中では繋がっているんだよ」
「繋がっている?」
「そう、一つの線でね。腕を離してくれ」
「わけを話してくれないか?」
「何故君にそんなことを話さなければならないんだい?」
「先日まで汚名返上するって意気込んでいたじゃないか。一体どうしたんだ?」
「……まあ、こんな奴もいるんだということを知っておいてもらっても良いかな……君は合格するのはなかなか厳しそうだけど」
「うぐっ」
「わけを話すよ、とにかく腕を離してくれないか」
「あ、ああ……」
レオンはその場に腰を下ろす。
「何故か今だに全体で自己紹介させられないけど……僕は金糸雀レオン、16歳」
「え? 一個上かよ!」
「そう、だから本来、君は僕に対して敬語を使うべきなんだよね。まあ冗談だけど」
「このコースでは同期生に当たるわけだからタメ口で問題ないだろう」
「そ、そういう解釈で来たかい……ま、まあ、それはどうでもいい。僕はジパング人の父とフランス人の母の間に生まれたハーフだ。母がジョッキーで、父は調教師。天ノ川や撫子さんの家に比べれば知名度は低いけど、所謂競竜ファミリーだ」
「競竜ファミリー……」
「幼き頃からドラゴンに親しんできた僕にとってはドラゴンレーシングのジョッキーになるということは極めて自然な流れだった」
「ああ……」
「ジュニアやジュニアユース世代での関東大会ではそれなりに優秀な成績を収めていた……しかし、いつも上位には彼らがいた」
「彼ら?」
「同い年の天ノ川翔や、少しお姉さんの撫子飛鳥さん……彼らも当然ジョッキーになるのだろう……だが、このままではお互いの距離が一向に縮まらないままだと僕は思った。そこで僕は決断を下した!」
「決断?」
「競竜の本場、欧州の競竜学校で本格的に学べば、彼らを超えることが出来るはず! 僕はそう考え、母の母校であるフランスの競竜学校に昨春入学した」
「そうだったのか……」
炎仁は俯きがちになる。レオンは右手を挙げて否定する。
「あ、言っておくけど、つまらないイジメの類はほとんど無かったよ。皆、ジョッキーになる為それぞれ必死なわけだからね。問題は僕自身だ……」
「レオン自身……?」
「ああ、入学して三か月が過ぎたころ模擬レースがあった。こちらの教官同様、『結果は問わない』という話だった。しかし、一着、もしくは上位で入線した方が絶対に教官たちの印象は良いはずだ。僕は張り切った、張り切りすぎてしまった……」
「張り切りすぎた?」
「ああ、前方の竜群に生じたわずかな隙間にドラゴンを突っ込ませた結果、転倒、何頭かを巻き込む派手な落竜事故を起こしてしまったんだよ」
「え……」
レオンの言葉に炎仁は絶句する。
「不幸中の幸いで僕らも含めて人竜ともに皆軽傷で済んだ。学生たちも教官たちも僕を必要以上には責め立てなかった。しかし……」
「しかし?」
「そこからドラゴンを竜群に突っ込ませることが出来なくなったんだよ……いわゆる『イップス』って奴さ」
「イップス……」
「普通に走らせる分には問題ないんだけどね……激しく競り合う場面になると、どうしても体がすくんでしまう……フランスの学校は三か月待ってくれたが、状況は改善せず、僕は日本に帰国したってわけさ」
「そうだったのか……」
「そこから約半年が経過し、もう大丈夫かと思ってこのコースを受講したんだけど……現実はそう甘くなかったようだね」
レオンは立ち上がり歩き出そうとする。
「待て、それで良いのか?」
炎仁の言葉にレオンはため息交じりで答える。
「言っただろう、このイップスが治ってないのだから、このまま続けても、君らに余計な迷惑をかける恐れがある。ここで僕が去った方が良い」
「……騎手になるのも諦めるのか」
「!」
「子供の頃からドラゴンに親しんできたんだろう? 大会にも数多く出てきたんだろう? そんなことで諦められるのか?」
「諦めきれるわけないだろう!」
ここまで冷静に話していたレオンが声を荒げる。
「……じゃあ、辞めるなんて言うなよ」
「しかし、現実問題としてイップスはどうする⁉」
「イップスには現代医学でも明確な治療法が確立されていないっていう話くらいは俺も聞いたことがある……」
「ふん、案外博識じゃないか」
炎仁の言葉にレオンは失笑気味に答える。炎仁は右手でピースサインを作る。
「……俺から二つほど提案がある」
「二つ?」
「『ちょっとふざけた話』と『真面目にふざけた話』だ」
「ど、どっちもふざけた話じゃないか! ふざけるな!」
「だからふざけた話だって言っただろう? どっちから聞きたい?」
「……『ちょっとふざけた話』」
「入学に当たって、要項が配られただろう?」
「ああ、すぐに忘れろと言われたじゃないか」
「大事なところを見落としていないか?」
「大事なところ?」
「そう、このコース、夏に温泉付きの訓練施設で合宿があるんだ!」
「……それがどうした?」
「カァーッ! 察しが悪いな、いいか? 厳しい訓練の後は皆温泉に入るだろう、男も! そして女も!」
「⁉」
レオンはハッとした表情で炎仁を見つめる。
「その時、お前の自慢のニンジャグッズが役に立つ! ……かもしれない!」
「な、なるほど!」
「楽しいことをイメージするんだ!」
「イメージトレーニングは重要だからね……それで本題は?」
「あ、それだけでは引っかからなかったか?」
「当然だろう」
「では、『真面目にふざけた話』だが……」
炎仁がそっと耳打ちする。
「! そ、そんな……!」
「ダメか?」
「いや、やってみる価値はありそうだね……」
レオンはニヤリと笑い、ドラゴンに跨って、集合場所に戻る。
「……では模擬レースを再開する!」
「よ~い、スタート!」
掛け声とともにレオンとジョーヌエクレールが勢いよく先頭に飛び出す。そのままスピードを緩めず、どんどんと加速していく。
「は、速い!」
真帆が驚く。飛鳥が笑う。
「そんなペースが持つわけがありませんわ……」
しかし、飛鳥の読みとは異なり、レオンとジョーヌエクレールは先頭に立ったまま、最後の直線に入った。飛鳥が慌てて手綱をしごく。
「そ、そんな馬鹿な!」
追いかけるも及ばず、レオンたちがまんまと逃げ切ってみせた。レオンは鬼ヶ島の下に近づき、口を開く。
「これが僕なりの答えです。助言があってのことですが……」
「竜群に怖さを覚えるなら群れなければいいということか」
「まあ、そうですね……もちろん、このジョーヌエクレールの脚質、加速力、スタートでの反応の良さを総合的に判断した結果でもあります」
「……それで戦えると判断したのならやってみろ」
「ありがとうございます」
レオンは鬼ヶ島に礼を言う。
「くっ、届かねえ!」
「なんてハイペース……常識外れ過ぎる」
続いてのレースでもレオンたちは大逃げをかまし、相手にかなりの着差をつけた。青空は悔しがり、海は顔をしかめた。レオンは得意気に話す。
「はっはっは! 誰も僕らを捕まえられないよ!」
「ちっ、調子に乗りやがって……」
嵐一が舌打ちする。
「でも、あの手のタイプは一度調子に乗るとなかなか手がつけられない……」
翔が淡々と呟く。嵐一が苦々し気な表情を浮かべる。
「そういうのはなんとなく分かる。対策は?」
「ただ闇雲に逃げているわけじゃない。ペース配分も完璧というわけじゃないが、ちゃんと行っている。厄介な相手だよ」
「お前にそこまで言わせるかよ……」
翔の言葉を聞いて、炎仁は何故か我が事のように嬉しくなる。そこに近づいてきたレオンが炎仁に語りかける。
「はっはっは! 炎仁! 次は君にレースとはなんたるかを教えてあげよう!」
「なっ⁉ い、言わせておけば!」
そして翌日……ある狭い教室に八人の男女が集まった。真帆が炎仁に小声で話す。
「一体なにかしら? ここって普段あまり使ってない教室よね?」
「さあ、なんだろうな。しかし集まった面子的に……」
炎仁は周囲を見回す。天ノ川翔、草薙嵐一、金糸雀レオン、撫子飛鳥、朝日青空、三日月海という面々が座っている。
「皆、ここ数日なにかと目立っている人たちよね……」
「うい~す、皆集まっているね」
ぼさぼさ頭によれよれのスーツを着た男性が教室に入ってきた。炎仁が呟く。
「いつも今一つやる気のなさそうな教官……!」
「え、炎ちゃん、声に出ちゃってるよ!」
「ははは、とりあえず自己紹介をしておこうか、僕は仏坂巌(ほとけざかいわお)、このコースの教官を務めているよ。そして、今回このクラスを受け持つこととなった」
「クラス……まさか!」
海が信じられないといった様子を見せる。仏坂は笑う。
「察しの良い子もいるみたいだけど、順を追って説明させてもらうね。入学以来この一週間、君たちには選抜を受けてもらっていたんだ」
「選抜~?」
青空が怪訝な顔つきになる。
「そう、クラス分けのね。厳正な選抜の結果、君たち八人はCクラスということとなったんだ、とりあえずおめでとうと言っておこうかな」
「ちょ、ちょっとお待ちになって!」
「Cクラスって……!」
飛鳥とレオンが座席から立ち上がる。仏坂がうんうんと頷く。
「流石に気がつく子が増えてきたようだね……」
「どういうことっすか?」
嵐一が憮然とした表情で尋ねる。
「えっと……この『関東競竜学校騎手課程短期コース』は例年大体二十数名が受講し、合格は大体十二、三名くらい、ざっくり言えば、Aクラスの八人とBクラスの半分が受かるって感じかな~」
「! と、ということは……?」
真帆がおそるおそる尋ねる。
「そう、君たち八人は文字通り『崖っぷち』の状態からスタートってことだ」
「「「「「「「えっ⁉」」」」」」」
「zzz……」
居眠りをかましている翔を除いた七人が仏坂の言葉に愕然となる。
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