8 / 29
第一章
第2話(3)囲いについて
しおりを挟む
「頼む」
「ああ、じゃあまずは囲いを……」
「かこい?」
「王――こういう場合は玉と言った方が良いかな――玉を守る為の陣形のことさ」
「玉を囲うのか」
「うん」
「玉を取られたらおしまいなわけじゃからな……守りを固めることが大事か……」
「そういうこと」
パパが頷く。
「ふむ……」
竜子が盤面を見つめながら頷く。
「続けてもいいかな?」
「ああ」
竜子が頷く。
「まずは相居飛車。お互いが居飛車の場合にもっともポピュラーだとされるのが、『矢倉戦法』。お互いが『矢倉囲い』を用いるときだね」
「やぐらがこい……」
「あくまでも一例だけど、こんな感じ……」
パパが駒を並べる。
「ふむ、玉を8筋の桂馬の前に移動させて、9筋の歩を前に出し、同じく、7筋の歩も前に出し、そこに銀を置き、その後ろ、玉の右、7八に金を置き、さらに、6筋と5筋の歩も前に出し、6七にも金を配置すると……」
「そうだね。上と斜めからの攻撃に強い囲いだよ」
「ほう……あくまでも一例とは?」
「金銀の配置の仕方などで呼び方が変化するんだ」
「これは?」
竜子が盤面を指差す。
「これは『金矢倉』だね。他にも、『銀矢倉』というのがある……」
パパが駒を並べ直す。
「これは……金の代わりに銀を二枚用いた囲いか……」
「よく気が付いたね。将棋の格言に『玉の守りは金銀三枚』というのがあるんだ」
「それでは、金と銀のいずれか一枚を攻撃に用いるということか」
「そうだね、銀を攻撃に使うと良いかな。『攻めは飛車角銀桂』という格言もあるよ」
「うむ……」
「他にも『菱矢倉』、『土居矢倉』などがあるね」
「ほう……」
「『へこみ矢倉』というのもあるみたいね」
ママがスマホを眺めながら呟く。
「囲みがへこんでいてはしょうがないと思うのじゃが……まあ、それはそれで効果的なんじゃろうな……」
竜子が腕を組んで頷く。
「『カニ囲い』や『かまぼこ囲い』というのもあるよ」
「おいしそうだね」
太郎が呑気な感想を述べる。
「かまぼこ囲いは別名、『ミレニアム囲い』というんだ。こっちの方が一般的かな?」
「色々あるんじゃな……」
「原則としては、左銀――初期位置7九銀――が2マス前方に位置し、その下のマスに左金――初期位置6九金――がいて、玉が初期位置より左方に移動していれば、『矢倉』というものは成立していると考えていいようだね」
「なるほど……他には?」
「『雁木』というのがあるね」
「がんぎ?」
「こういう囲いだね……」
パパが駒を並べ直す。竜子が盤面をじっくりと見つめる。
「玉を左に一マス動かし、左右の斜め前のマスに金を配置、その一列前の5筋と6筋n銀を並べると……」
「これも相居飛車で主に用いられる。上部からの攻撃に強く、矢倉よりも手数が少なく囲いを組めるというメリットがある」
「後は『舟囲い』……」
「ふながこい……」
「相手が振り飛車の場合、居飛車で用いられる囲いだね……こんな感じ」
「……左方の金銀は動かさず、玉を角の横に置いて、歩を1マス前に進め、右金を5八に置くか……」
「ここから少し変化して、『ボナンザ囲い』、『箱入り娘』という囲いにする場合もある」
「ボ、ボナンザ囲い……?」
「どういうネーミングよ……」
太郎とママが困惑する。
「他には、『天守閣美濃』、『左美濃』、『銀冠』、『穴熊』、『中住まい』、『中原囲い』、『右玉』、などがあるけど……」
「全部教えてくれ」
「え?」
「全部」
竜子が真剣な顔つきでパパを見つめる。
「わ、分かったよ……」
「……」
パパが駒をその都度並べ直し、竜子はそれをじっと見つめる。
「……居飛車の場合の囲いはこんな感じかな?」
「ふむ……では、振り飛車の場合は?」
「『美濃囲い』が一番用いられるかな」
「みのがこい……」
「これも一例だけど、こんな感じ……」
「玉を2筋の桂の前に移動させ、1筋の歩を1マス前に進め、銀を玉の左に配置……」
「対抗形でも、相振り飛車でも登場する、組みやすく、バランスの良い囲いかな」
「他には?」
「『銀冠』……こんな囲い……」
「ぎんかんむり……玉を2二の位置に移動、1筋から4筋の歩をすべて1マス前に進め、2七銀、3七桂、4七金と並べ、玉の左、3二に金を配置……」
「上部と端と横からの攻撃に強いね。主に対抗形で用いられる……」
「ふむ……居飛車の銀冠とは違うんじゃな?」
「そうだね、居飛車の場合は角も用いることがあるから……他に居飛車と同じ名前だけど、囲い方が違うのは……『穴熊』」
「あなぐま……玉を端っこに置く囲いじゃな。香を1マス進め、1九に玉を移動、銀を2八、3七と4七に金を縦に並べると……」
「駒を密集させた、とても堅い囲いだよ。金銀の配置などによって、『銀冠穴熊』や『ビッグフォー』などの派生形がある。他には『金無双・二枚金』、『右矢倉』など……囲いについては大体こんな感じかな……」
「それでは続いては定跡について頼む……!」
「う、うん、分かったよ……」
パパは竜子の圧に押される。
「ああ、じゃあまずは囲いを……」
「かこい?」
「王――こういう場合は玉と言った方が良いかな――玉を守る為の陣形のことさ」
「玉を囲うのか」
「うん」
「玉を取られたらおしまいなわけじゃからな……守りを固めることが大事か……」
「そういうこと」
パパが頷く。
「ふむ……」
竜子が盤面を見つめながら頷く。
「続けてもいいかな?」
「ああ」
竜子が頷く。
「まずは相居飛車。お互いが居飛車の場合にもっともポピュラーだとされるのが、『矢倉戦法』。お互いが『矢倉囲い』を用いるときだね」
「やぐらがこい……」
「あくまでも一例だけど、こんな感じ……」
パパが駒を並べる。
「ふむ、玉を8筋の桂馬の前に移動させて、9筋の歩を前に出し、同じく、7筋の歩も前に出し、そこに銀を置き、その後ろ、玉の右、7八に金を置き、さらに、6筋と5筋の歩も前に出し、6七にも金を配置すると……」
「そうだね。上と斜めからの攻撃に強い囲いだよ」
「ほう……あくまでも一例とは?」
「金銀の配置の仕方などで呼び方が変化するんだ」
「これは?」
竜子が盤面を指差す。
「これは『金矢倉』だね。他にも、『銀矢倉』というのがある……」
パパが駒を並べ直す。
「これは……金の代わりに銀を二枚用いた囲いか……」
「よく気が付いたね。将棋の格言に『玉の守りは金銀三枚』というのがあるんだ」
「それでは、金と銀のいずれか一枚を攻撃に用いるということか」
「そうだね、銀を攻撃に使うと良いかな。『攻めは飛車角銀桂』という格言もあるよ」
「うむ……」
「他にも『菱矢倉』、『土居矢倉』などがあるね」
「ほう……」
「『へこみ矢倉』というのもあるみたいね」
ママがスマホを眺めながら呟く。
「囲みがへこんでいてはしょうがないと思うのじゃが……まあ、それはそれで効果的なんじゃろうな……」
竜子が腕を組んで頷く。
「『カニ囲い』や『かまぼこ囲い』というのもあるよ」
「おいしそうだね」
太郎が呑気な感想を述べる。
「かまぼこ囲いは別名、『ミレニアム囲い』というんだ。こっちの方が一般的かな?」
「色々あるんじゃな……」
「原則としては、左銀――初期位置7九銀――が2マス前方に位置し、その下のマスに左金――初期位置6九金――がいて、玉が初期位置より左方に移動していれば、『矢倉』というものは成立していると考えていいようだね」
「なるほど……他には?」
「『雁木』というのがあるね」
「がんぎ?」
「こういう囲いだね……」
パパが駒を並べ直す。竜子が盤面をじっくりと見つめる。
「玉を左に一マス動かし、左右の斜め前のマスに金を配置、その一列前の5筋と6筋n銀を並べると……」
「これも相居飛車で主に用いられる。上部からの攻撃に強く、矢倉よりも手数が少なく囲いを組めるというメリットがある」
「後は『舟囲い』……」
「ふながこい……」
「相手が振り飛車の場合、居飛車で用いられる囲いだね……こんな感じ」
「……左方の金銀は動かさず、玉を角の横に置いて、歩を1マス前に進め、右金を5八に置くか……」
「ここから少し変化して、『ボナンザ囲い』、『箱入り娘』という囲いにする場合もある」
「ボ、ボナンザ囲い……?」
「どういうネーミングよ……」
太郎とママが困惑する。
「他には、『天守閣美濃』、『左美濃』、『銀冠』、『穴熊』、『中住まい』、『中原囲い』、『右玉』、などがあるけど……」
「全部教えてくれ」
「え?」
「全部」
竜子が真剣な顔つきでパパを見つめる。
「わ、分かったよ……」
「……」
パパが駒をその都度並べ直し、竜子はそれをじっと見つめる。
「……居飛車の場合の囲いはこんな感じかな?」
「ふむ……では、振り飛車の場合は?」
「『美濃囲い』が一番用いられるかな」
「みのがこい……」
「これも一例だけど、こんな感じ……」
「玉を2筋の桂の前に移動させ、1筋の歩を1マス前に進め、銀を玉の左に配置……」
「対抗形でも、相振り飛車でも登場する、組みやすく、バランスの良い囲いかな」
「他には?」
「『銀冠』……こんな囲い……」
「ぎんかんむり……玉を2二の位置に移動、1筋から4筋の歩をすべて1マス前に進め、2七銀、3七桂、4七金と並べ、玉の左、3二に金を配置……」
「上部と端と横からの攻撃に強いね。主に対抗形で用いられる……」
「ふむ……居飛車の銀冠とは違うんじゃな?」
「そうだね、居飛車の場合は角も用いることがあるから……他に居飛車と同じ名前だけど、囲い方が違うのは……『穴熊』」
「あなぐま……玉を端っこに置く囲いじゃな。香を1マス進め、1九に玉を移動、銀を2八、3七と4七に金を縦に並べると……」
「駒を密集させた、とても堅い囲いだよ。金銀の配置などによって、『銀冠穴熊』や『ビッグフォー』などの派生形がある。他には『金無双・二枚金』、『右矢倉』など……囲いについては大体こんな感じかな……」
「それでは続いては定跡について頼む……!」
「う、うん、分かったよ……」
パパは竜子の圧に押される。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
竜華族の愛に囚われて
澤谷弥(さわたに わたる)
キャラ文芸
近代化が進む中、竜華族が竜結界を築き魑魅魍魎から守る世界。
五芒星の中心に朝廷を据え、木竜、火竜、土竜、金竜、水竜という五柱が結界を維持し続けている。
これらの竜を世話する役割を担う一族が竜華族である。
赤沼泉美は、異能を持たない竜華族であるため、赤沼伯爵家で虐げられ、女中以下の生活を送っていた。
新月の夜、異能の暴走で苦しむ姉、百合を助けるため、母、雅代の命令で月光草を求めて竜尾山に入ったが、魔魅に襲われ絶体絶命。しかし、火宮公爵子息の臣哉に救われた。
そんな泉美が気になる臣哉は、彼女の出自について調べ始めるのだが――。
※某サイトの短編コン用に書いたやつ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる