【第1章完】セブンでイレブン‼~現代に転移した魔王、サッカーで世界制覇を目指す~

阿弥陀乃トンマージ

文字の大きさ
37 / 50
第1章

第9話(4)決意表明の夜

しおりを挟む
「ぶえっくしょん‼」

「うわっ! 汚いわね~」

 レイブンが盛大にくしゃみをする。隣に座っていたななみが嫌な顔をする。

「ずずっ……」

「はい、ティッシュ」

「うむ……」

 レイブンが鼻を突き出す。

「いや、自分でかみなさいよ」

「……ワシは魔王様じゃぞ?」

「この世界では、人に鼻をかんでもらうのは赤ん坊と一緒なのよ」

「むう……」

 レイブンは渋々、ななみからティッシュを受け取り、鼻をかむ。

「ふふっ、魔王も形無しね……」

 フォーがそれを見て笑う。

「……あの賢者は厄介そうだにゃ~」

「あの赤髪もデカいっすよ……」

「格闘家の相手は大変そうラ~」

「チビかと思いきやデバフ持ちとはな……」

「あの女騎士……」

「ドラゴン娘、要注意だな……」

「アンタたち!」

「!」

 輪を作って、勇者チームについてああだこうだと言っていたメンバーたちがフォーの声に揃ってビクッとなる。フォーが呆れる。

「露骨にビクッとなるんじゃないわよ、揃いも揃って情けないわね~」

「オ、オラをこいつらと一緒にするんじゃないんだべ!」

「なに、クーオ? アンタはビビってないの?」

「当たり前だべ!」

 クーオは胸を張る。

「お前は女騎士に反応しているだけだろう!」

「そうっす! このスケベオーク!」

 ゴブとルトが声を上げる。

「い、いや、別にやましい気持ちはないんだべ……」

「本当かにゃあ?」

 トッケが首を傾げる。

「ほ、本当だべ!」

「……」

「グへへ……」

「はい、ダウト! やましい気持ちがない奴がグへへとは笑わないにゃあ!」

「し、しまっただべ!」

「何をやっているのよ……」

 フォーが冷めた視線を向ける。

「しかし、手ごわい相手だということは間違いない……」

「レムの言う通りラ~」

 レムの呟きにスラが同調する。フォーがため息をつく。

「まったく、しょうがないわね、アンタたち、ちょっと横一列に並びなさい……」

「?」

「早く!」

「‼」

 メンバーが横一列に並ぶ。フォーが頷く。

「後ろ向きなことはもう良いから、明日に向かって決意表明しなさい!」

「け、決意表明⁉」

「そうよ、はい、ゴブ、アンタから!」

「え……か、勝つぞ!」

「クーオ!」

「待ってろ、女騎士!」

「やっぱりやましいわね……ルト!」

「か、快勝してみせるっす!」

「スラ!」

「頑張るラ~」

「なんか力が抜けるわね……レム!」

「全力を尽くす!」

「トッケ!」

「め、目指せ、優勝だにゃ~!」

「う~ん……」

 フォーが首を捻る。スラが尋ねる。

「駄目だったラ~?」

「なんか、パンチが足りないのよね……」

「パ、パンチ?」

「そう、もう一押しが足りないっていうか……」

「も、もう一押しか、難しいな……」

 レムが腕を組む。

「……うん、やっぱり全然ダメ!」

「ええっ⁉」

 ゴブが驚く。

「もっとなんというかこう……心からの叫びが欲しいのよ!」

「心から叫んだだべ!」

「アンタの場合は下心っていうのよ!」

「うおっ⁉」

 フォーがクーオをビシっと指差す。

「なにをやっているんじゃ……」

「あ、レイブン! アンタ、魔王らしく活を入れなさいよ!」

「なんじゃ、魔王らしくとは……」

「いいから!」

「まったく、良いかお前ら……」

 レイブンがメンバーを見渡す。

「……?」

「ワシらはあの勇者どもに負けてはならん、いや、正しくはあの勇者か……」

「………?」

「分からんか?」

「…………?」

「あの勇者め、自分以外のメンバーを女だけにしておる……」

「……‼」

 メンバーが揃ってハッとなる。

「女を複数侍らせるとはまったく勇者の風上にも置けん奴じゃ!」

「そうだ、そうだ!」

「嫌らしい奴だべ!」

「許せないっす!」

「羨ましいラ~」

「確かに……い、いや、許せんな……」

「代われるもんなら代わって欲しいにゃ~」

「良いか、お前ら! 明日は勇者どもを打ち破り、世界征服の狼煙を上げるぞ!」

「うおおっ!」

 レイブンに呼応し、メンバーが揃って雄叫びを上げる。

「うんうん、良いじゃない、『ザ・悪役』って感じだわ~!」

 フォーが満足気に頷く。

「心なしか盛大にフラグを立てているような……」

 ななみが冷めた目でレイブンたちを見つめる。そんなこんなで決勝を迎える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

処理中です...