17 / 123
第一章
第4話(4) 大事な発明品
しおりを挟む
「凄い……あっという間に片が付いた」
「まあ、ざっとこんなものです」
億葉は爪の先から立ち上る煙をフッと吹き、駆け寄ってくる勇次に対して胸を張る。
「! まだだ!」
二人と離れていた御剣が叫ぶ。
「「‼」」
何段にも並んでいる商品棚が次々と倒れ、そこから一体の女の妖が勢い良く飛び出してくる。その姿は一見スーパーに買い物に来た会社帰りのОLかと思われたが、羽が生えており、腰の部分には鋭利な長い針が見える。その妖は億葉に対し襲いかかってきた。
「くっ……⁉」
迎撃が間に合わないと判断した億葉は思わず目を瞑る。しかし、体に痛みが感じられない。不思議に思った億葉が目を開けると、そこには驚きの光景が広がっていた。勇次が億葉の前に立ち、妖の繰り出した鋭い突きを背中で受け止めていたのである。億葉が叫ぶ。
「な、何をやっているんですか、鬼ヶ島氏⁉」
「咄嗟に……体が動いて……ぐふっ!」
勇次が呻く。妖が勇次の体に刺さっていた針を思い切り引き抜いたからである。
「ち、邪魔しちゃってくれちゃってさ……まあいいわ、次で仕留める!」
妖が針を億葉に向けて突き出す。しかし、これも勇次が金棒で受け止める。
「好きにはさせねえ!」
「!」
「折角作ったものを潰させるわけにはいかねえんだよ‼」
「‼」
勇次の言葉に億葉は両手で胸を抑える。妖は信じられないといった様子で話す。
「ば、馬鹿な! あの方に比べて即効性が薄いとはいえ、効き目自体は間違いないはずだ! 私の針を少しでも食らったら、痺れが酷くて満足には動けないはず!」
「片手片脚が動けば問題ねえ!」
勇次が叫ぶ。その体の周囲にはまたどことなく赤い空気を纏っている。
「鬼ヶ島氏! その頭!」
億葉の言葉に勇次は自らの頭部をさすりながら、自嘲気味に呟く。
「へへっ、角が生えてくるのにも慣れてきちまったな……」
「お、お前、鬼の半妖⁉」
「どうやらそうみたいだぜ! サインでも欲しいか?」
「そんなもの要らないわよ!」
「ぐっ!」
妖が勇次との距離を一瞬で詰め、針を勇次の左膝に突き刺す。
「鬼ヶ島氏!」
「一瞬感じた妖力には驚いたけど、まだまだ覚醒途中ってところね! 人間どもにつくっていうのならここで始末する!」
距離を取った妖が、再び勇次に向かって襲い掛かろうとする。勇次は後ろに振り向き、億葉の両肩をガシッと掴む。
「でええっ⁉ こ、これはそういうことでごさいますか? 不束者ですが……」
億葉は戸惑いながら両目を閉じて、唇を突き出す。
「こんな時に何目を閉じているんですか! それよりも何かないんですか⁉」
「え?」
「回れ右!」
「あ~れ~」
勇次は億葉の体を180度回転させて、その背に背負った大きいリュックのファスナーを下ろし、その中に手を突っ込みかき回すように探す。
「あ、そ、そんな強引な……案外嫌いじゃないけど」
「ないんですか⁉ アイツの虚を突けるようなものは⁉」
「え、えっと、右奥かな~」
「これか!」
億葉に言われたものを掴み、勇次はすぐさま振り返る。
「よし来い! って、スプレー⁉」
「はん、ただの虫除けスプレーが通用すると思うか!」
「鬼ヶ島氏、噴射です!」
「ええい、ままよ! って、えええっ⁉」
「ぐおおっ⁉」
単なる市販の虫除けスプレーかと思われたが、強力な火炎が妖を包みこんだ。
「『一億個の発明! その48! フレイムスプレー!』です!」
「また物騒なものを……」
「今が好機ですぞ!」
「よ、よし! 喰らえ!」
勇次は金棒を燃え盛る妖に思い切り叩き付ける。妖は燃えながら、消えていった。
「はあ……はあ……やったか?」
「まだ反応があります! 駐車場です! 急ぎましょう!」
「い、いや、ちょっと待って下さい……ぐえっ!」
億葉は勇次の首根っこを乱暴に掴み、引き摺るようにしながら、ローラーブーツのエンジンを全開にして、駐車場へと急ぐ。
「御剣氏!」
「来たか! 戊級をよく撃破した!」
御剣が刀を構えながら、駆け付けた億葉たちに声を掛ける。その先の空にはもう一体の妖が浮かんでいる。
「ひょっとして、あ奴が親玉ですか⁉」
「ああ、さっきの妖が『あのお方~』と言っていたのでな。僅かな気配を察し、駐車場に出てみたら案の定だった!」
「援護しますぞ!」
「待て、奴は丙級だ! 無闇に動くな!」
御剣は意気込む億葉を制止する。妖が呟く。
「私の可愛い子供たちを……よくもやってくれたわね……万死に値する!」
「気が合うな、私も貴様を逃すつもりは無い!」
御剣が刀の切っ先を妖に向ける。
「ふん……白髪の剣士め、おのれは後回しだ!」
「! 億葉! 勇次!」
妖は億葉たちに向かって急降下する。
「こ、こっちに来た!」
「か、億葉さん、取りあえず手を離して下さい!」
「あ、はい」
「げほっ、げほっ……これでも喰らえ!」
勇次は金棒で駐車していた車を打ち上げる。車体が妖の方に飛んで行く。
「くっ!」
妖はなんとか車体を躱す。
「ちっ、外したか……次は当てる!」
勇次は再び車を打ち上げる。
「来ると分かっていればこんなもの! どうということはない! ……?」
妖は鋭い針で飛んでくる車体を貫いてみせるが、勇次たちを見失う。
「車の陰に隠れたか、小癪な真似を……ん?」
妖の目が車の陰から覗く億葉のリュックを捉える。妖は叫びながら降下する。
「はみ出しているぞ! 車体ごと貫いてくれる!」
「はみ出させているんですよ!」
「!」
「『一億個の発明! その62! 火事場の馬鹿力アーム!』 喰らえ!」
両腕に金属製の大きなアームを着けた億葉が車を持ち上げて、妖に向かって思い切り投げつける。妖は急降下を止める。
「だから同じ手は……なにっ!」
「野球は9回、ツーアウトからだぜ!」
投げつけられた車体から勇次が飛び出してくる。
「車に乗り込んでいたのか⁉」
「よっしゃ! 捉えたぜ!」
妖よりも上に飛び上がった勇次が空中で金棒を振り下ろす。
「ちっ!」
「なっ⁉」
勇次の渾身の一振りはすんでのところで躱されてしまう。
「馬鹿な!」
「大振り過ぎる! 軌道が読み易い―――」
「だ、そうだ。次に活かせ」
御剣が背後から妖の腹を貫く。勇次が驚く。
「隊長、飛べたんですか⁉」
「飛ばしてもらった」
そう言って御剣が視線を下に向ける。勇次が下を見ると、これ以上ないドヤ顔でアームをブンブンと振る億葉の姿が見える。
「成程……って、やばい! 着地⁉」
「億葉!」
「承知!」
億葉が両手のアームを広げ、左手で御剣を、右手で勇次を受け止める。
「あ、危なかった……」
「助かったぞ、億葉。礼を言う」
億葉はアームを着けたまま、大袈裟に両手を振る。
「いやいや礼には及びません。そうですね、研究予算を多少増額して頂ければ……」
「……前向きに検討しておこう」
「ありがとうございます!」
地面に降りた御剣が指示を出す。
「妖の反応は消えた。隊舎に戻るぞ」
「了解! ……よいしょっと」
アームを片付けた億葉はリュックを背負う。勇次が戸惑い気味に尋ねる。
「億葉さん、その中に何個発明が入っているんですか?」
「いや~細かいことは良いではありませんか、旦那様」
「だ、旦那様⁉」
「拙者の大事な発明品を命懸けで守って下さいました。そんな方は初めてです。それに……いきなり押し倒されたり、中をまさぐられたり……そんなことも初めてです」
「誤解を生む言い方止めて下さい!」
「拙者のことは億葉とお呼び下さい。もはや夫婦と言っても過言ではないのですから」
「過言だ!」
顔を赤らめる億葉の横で勇次は頭を抱える。
「まあ、ざっとこんなものです」
億葉は爪の先から立ち上る煙をフッと吹き、駆け寄ってくる勇次に対して胸を張る。
「! まだだ!」
二人と離れていた御剣が叫ぶ。
「「‼」」
何段にも並んでいる商品棚が次々と倒れ、そこから一体の女の妖が勢い良く飛び出してくる。その姿は一見スーパーに買い物に来た会社帰りのОLかと思われたが、羽が生えており、腰の部分には鋭利な長い針が見える。その妖は億葉に対し襲いかかってきた。
「くっ……⁉」
迎撃が間に合わないと判断した億葉は思わず目を瞑る。しかし、体に痛みが感じられない。不思議に思った億葉が目を開けると、そこには驚きの光景が広がっていた。勇次が億葉の前に立ち、妖の繰り出した鋭い突きを背中で受け止めていたのである。億葉が叫ぶ。
「な、何をやっているんですか、鬼ヶ島氏⁉」
「咄嗟に……体が動いて……ぐふっ!」
勇次が呻く。妖が勇次の体に刺さっていた針を思い切り引き抜いたからである。
「ち、邪魔しちゃってくれちゃってさ……まあいいわ、次で仕留める!」
妖が針を億葉に向けて突き出す。しかし、これも勇次が金棒で受け止める。
「好きにはさせねえ!」
「!」
「折角作ったものを潰させるわけにはいかねえんだよ‼」
「‼」
勇次の言葉に億葉は両手で胸を抑える。妖は信じられないといった様子で話す。
「ば、馬鹿な! あの方に比べて即効性が薄いとはいえ、効き目自体は間違いないはずだ! 私の針を少しでも食らったら、痺れが酷くて満足には動けないはず!」
「片手片脚が動けば問題ねえ!」
勇次が叫ぶ。その体の周囲にはまたどことなく赤い空気を纏っている。
「鬼ヶ島氏! その頭!」
億葉の言葉に勇次は自らの頭部をさすりながら、自嘲気味に呟く。
「へへっ、角が生えてくるのにも慣れてきちまったな……」
「お、お前、鬼の半妖⁉」
「どうやらそうみたいだぜ! サインでも欲しいか?」
「そんなもの要らないわよ!」
「ぐっ!」
妖が勇次との距離を一瞬で詰め、針を勇次の左膝に突き刺す。
「鬼ヶ島氏!」
「一瞬感じた妖力には驚いたけど、まだまだ覚醒途中ってところね! 人間どもにつくっていうのならここで始末する!」
距離を取った妖が、再び勇次に向かって襲い掛かろうとする。勇次は後ろに振り向き、億葉の両肩をガシッと掴む。
「でええっ⁉ こ、これはそういうことでごさいますか? 不束者ですが……」
億葉は戸惑いながら両目を閉じて、唇を突き出す。
「こんな時に何目を閉じているんですか! それよりも何かないんですか⁉」
「え?」
「回れ右!」
「あ~れ~」
勇次は億葉の体を180度回転させて、その背に背負った大きいリュックのファスナーを下ろし、その中に手を突っ込みかき回すように探す。
「あ、そ、そんな強引な……案外嫌いじゃないけど」
「ないんですか⁉ アイツの虚を突けるようなものは⁉」
「え、えっと、右奥かな~」
「これか!」
億葉に言われたものを掴み、勇次はすぐさま振り返る。
「よし来い! って、スプレー⁉」
「はん、ただの虫除けスプレーが通用すると思うか!」
「鬼ヶ島氏、噴射です!」
「ええい、ままよ! って、えええっ⁉」
「ぐおおっ⁉」
単なる市販の虫除けスプレーかと思われたが、強力な火炎が妖を包みこんだ。
「『一億個の発明! その48! フレイムスプレー!』です!」
「また物騒なものを……」
「今が好機ですぞ!」
「よ、よし! 喰らえ!」
勇次は金棒を燃え盛る妖に思い切り叩き付ける。妖は燃えながら、消えていった。
「はあ……はあ……やったか?」
「まだ反応があります! 駐車場です! 急ぎましょう!」
「い、いや、ちょっと待って下さい……ぐえっ!」
億葉は勇次の首根っこを乱暴に掴み、引き摺るようにしながら、ローラーブーツのエンジンを全開にして、駐車場へと急ぐ。
「御剣氏!」
「来たか! 戊級をよく撃破した!」
御剣が刀を構えながら、駆け付けた億葉たちに声を掛ける。その先の空にはもう一体の妖が浮かんでいる。
「ひょっとして、あ奴が親玉ですか⁉」
「ああ、さっきの妖が『あのお方~』と言っていたのでな。僅かな気配を察し、駐車場に出てみたら案の定だった!」
「援護しますぞ!」
「待て、奴は丙級だ! 無闇に動くな!」
御剣は意気込む億葉を制止する。妖が呟く。
「私の可愛い子供たちを……よくもやってくれたわね……万死に値する!」
「気が合うな、私も貴様を逃すつもりは無い!」
御剣が刀の切っ先を妖に向ける。
「ふん……白髪の剣士め、おのれは後回しだ!」
「! 億葉! 勇次!」
妖は億葉たちに向かって急降下する。
「こ、こっちに来た!」
「か、億葉さん、取りあえず手を離して下さい!」
「あ、はい」
「げほっ、げほっ……これでも喰らえ!」
勇次は金棒で駐車していた車を打ち上げる。車体が妖の方に飛んで行く。
「くっ!」
妖はなんとか車体を躱す。
「ちっ、外したか……次は当てる!」
勇次は再び車を打ち上げる。
「来ると分かっていればこんなもの! どうということはない! ……?」
妖は鋭い針で飛んでくる車体を貫いてみせるが、勇次たちを見失う。
「車の陰に隠れたか、小癪な真似を……ん?」
妖の目が車の陰から覗く億葉のリュックを捉える。妖は叫びながら降下する。
「はみ出しているぞ! 車体ごと貫いてくれる!」
「はみ出させているんですよ!」
「!」
「『一億個の発明! その62! 火事場の馬鹿力アーム!』 喰らえ!」
両腕に金属製の大きなアームを着けた億葉が車を持ち上げて、妖に向かって思い切り投げつける。妖は急降下を止める。
「だから同じ手は……なにっ!」
「野球は9回、ツーアウトからだぜ!」
投げつけられた車体から勇次が飛び出してくる。
「車に乗り込んでいたのか⁉」
「よっしゃ! 捉えたぜ!」
妖よりも上に飛び上がった勇次が空中で金棒を振り下ろす。
「ちっ!」
「なっ⁉」
勇次の渾身の一振りはすんでのところで躱されてしまう。
「馬鹿な!」
「大振り過ぎる! 軌道が読み易い―――」
「だ、そうだ。次に活かせ」
御剣が背後から妖の腹を貫く。勇次が驚く。
「隊長、飛べたんですか⁉」
「飛ばしてもらった」
そう言って御剣が視線を下に向ける。勇次が下を見ると、これ以上ないドヤ顔でアームをブンブンと振る億葉の姿が見える。
「成程……って、やばい! 着地⁉」
「億葉!」
「承知!」
億葉が両手のアームを広げ、左手で御剣を、右手で勇次を受け止める。
「あ、危なかった……」
「助かったぞ、億葉。礼を言う」
億葉はアームを着けたまま、大袈裟に両手を振る。
「いやいや礼には及びません。そうですね、研究予算を多少増額して頂ければ……」
「……前向きに検討しておこう」
「ありがとうございます!」
地面に降りた御剣が指示を出す。
「妖の反応は消えた。隊舎に戻るぞ」
「了解! ……よいしょっと」
アームを片付けた億葉はリュックを背負う。勇次が戸惑い気味に尋ねる。
「億葉さん、その中に何個発明が入っているんですか?」
「いや~細かいことは良いではありませんか、旦那様」
「だ、旦那様⁉」
「拙者の大事な発明品を命懸けで守って下さいました。そんな方は初めてです。それに……いきなり押し倒されたり、中をまさぐられたり……そんなことも初めてです」
「誤解を生む言い方止めて下さい!」
「拙者のことは億葉とお呼び下さい。もはや夫婦と言っても過言ではないのですから」
「過言だ!」
顔を赤らめる億葉の横で勇次は頭を抱える。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる