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宝石
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「じゃ…じゃあ、やってみせてよ。
私…マイクに愛されたいの。
そんなに簡単なら、私とマイクを恋人同士してみせてちょうだい!」
自分でも感情的になってしまっていることがわかっていたが、ローズにはそれが止められず、喧嘩腰に、自分の正直な想いを吐き出した。
「良いよ。
君の願い…僕が必ず叶えるよ。
……ただ、そのためには君に少しだけ力を貸してほしいんだ。」
ローズの声とは裏腹に、宝石の声は冷静そのものだった。
「力を…どうすれば良いの?」
「……命をくれれば良いんだよ。」
「ば、馬鹿なことを言わないで!」
思いがけない宝石の要求に、ローズは身を固くして退いた。
「いやだなぁ、ローズ…
何も君の命がほしいって言ってるんじゃないよ。
君が誰か一人、命をくれる人を指名してくれれば良いんだ。
人間の心の中には怒りや悲しみ、喜び、妬み…そりゃあもうたくさんの想いの力がひしめきあってるんだ。
それを使えば、どんな願いだって簡単に叶えることが出来るんだよ。
ただ…心の力をすべて奪ってしまうと、人間は生きられない…
でもさ…たとえば、あんな奴、死んでしまえば良い!って思うような人…君にもそんな相手の一人くらいいるんじゃないの?
そういう相手で良いんだよ。
それにね、何も君に手を下せと言うんじゃないよ。
君はその人物を指定するだけで良いんだ。
後のことはすべて僕がやる。
心配はいらないよ。
僕はサディストじゃないからね。
苦しませることはしない。
皆、眠るように一瞬で逝くから…」
微かに微笑みながら、淡々と宝石が語った内容はとても恐ろしいものだった。
だが、宝石の口調には悪意のようなものが欠片さえも感じられない。
そのことが、余計にローズの心を混乱させた。
「どうする?
早く決めてもらわないと夜が明けてしまうよ。」
「どうするって…」
(誰かの命を差し出して自分が幸せになるなんて許されるはずがないわ。
なんておかしなことを言う人なのかしら…
あ、そうか…あの人は宝石だったんだわ。
……宝石がどうして人の形をしているの?
……そうよ…これは夢!……夢なんだわ!
私は今、夢を見ているんだわ。
だったら、そんなに深刻に考えることなんてないわね。
適当にこの夢を愉しめば良いんだわ。)
私…マイクに愛されたいの。
そんなに簡単なら、私とマイクを恋人同士してみせてちょうだい!」
自分でも感情的になってしまっていることがわかっていたが、ローズにはそれが止められず、喧嘩腰に、自分の正直な想いを吐き出した。
「良いよ。
君の願い…僕が必ず叶えるよ。
……ただ、そのためには君に少しだけ力を貸してほしいんだ。」
ローズの声とは裏腹に、宝石の声は冷静そのものだった。
「力を…どうすれば良いの?」
「……命をくれれば良いんだよ。」
「ば、馬鹿なことを言わないで!」
思いがけない宝石の要求に、ローズは身を固くして退いた。
「いやだなぁ、ローズ…
何も君の命がほしいって言ってるんじゃないよ。
君が誰か一人、命をくれる人を指名してくれれば良いんだ。
人間の心の中には怒りや悲しみ、喜び、妬み…そりゃあもうたくさんの想いの力がひしめきあってるんだ。
それを使えば、どんな願いだって簡単に叶えることが出来るんだよ。
ただ…心の力をすべて奪ってしまうと、人間は生きられない…
でもさ…たとえば、あんな奴、死んでしまえば良い!って思うような人…君にもそんな相手の一人くらいいるんじゃないの?
そういう相手で良いんだよ。
それにね、何も君に手を下せと言うんじゃないよ。
君はその人物を指定するだけで良いんだ。
後のことはすべて僕がやる。
心配はいらないよ。
僕はサディストじゃないからね。
苦しませることはしない。
皆、眠るように一瞬で逝くから…」
微かに微笑みながら、淡々と宝石が語った内容はとても恐ろしいものだった。
だが、宝石の口調には悪意のようなものが欠片さえも感じられない。
そのことが、余計にローズの心を混乱させた。
「どうする?
早く決めてもらわないと夜が明けてしまうよ。」
「どうするって…」
(誰かの命を差し出して自分が幸せになるなんて許されるはずがないわ。
なんておかしなことを言う人なのかしら…
あ、そうか…あの人は宝石だったんだわ。
……宝石がどうして人の形をしているの?
……そうよ…これは夢!……夢なんだわ!
私は今、夢を見ているんだわ。
だったら、そんなに深刻に考えることなんてないわね。
適当にこの夢を愉しめば良いんだわ。)
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