お礼(無謀)企画

ルカ(聖夜月ルカ)

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傷だらけの掌

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「ラナ、ちょっと商店街が開いてるかどうか見て来てくれ。」

俺は、ラナを使いに出し、その隙にライアン達と山に向かった。
眠っていたらそのままこっそり出掛けようと思ったのだが、ラナはとても耳敏く、小さな物音一つで目を覚ましてしまったからだ。







「気を引き締めていこうぜ。」

俺達は結界を通り抜けるための護符を身に付け、魔物達の棲む山へ足を踏み入れた。



奴らは人間のにおいに敏感なのか、ほんの少し進んだだけで魔物の群れが姿を現した。
何度見てもぞっとする。
大きく裂けた口には、鋭く黒い歯が並び、手足の先には刃のような爪が伸び、目は血のように赤く、さながら昔話に出て来る悪魔のような不気味な姿だ。
俺達は、狂ったように襲いかかって来る魔物達に、剣をふるい続けた。
奴らは防御ということを知らない。
だから、倒すのは簡単だが、その分、奴らの攻撃を避ける俊敏さは重要だ。
一撃でも受けて倒れてしまえば、それが命取りになりかねない。



魔物の数は予想以上に多かった。
いくら倒しても次から次に現れる。
倒すのは容易いとはいえ、疲れは酷くなる一方だし、刃の切れ味も落ちて来た。
こういう時が一番危ない。
隙を見て撤退した方が良さそうだ…
そんなことを考えていた時、モーリスから悲鳴があがった。
見ると、倒れたモーリスの目前に今まさに襲いかかろうと大きく口を開けた魔物がいた。
俺は最悪の場面を想像した。
残念だがここからではもう間に合わない。
ライアンの場所からも無理だ。
今、俺達が相手をしている魔物達はすぐにも倒れたモーリスに群がるだろうから、俺達はその隙に逃げるしかない。
今までにも何度かあったが、とても後味の悪い状況だ。



「モーリス!逃げて!」



その時、ラナの緊迫した声が響いた。
それと同時にモーリスの前にいた魔物がどうっと後ろ向きに倒れ、その隙にモーリスは立ち上がって俺の後方に身を寄せた。



「父さん!今のうちに逃げるんだ!」



俺はあたりを見渡し、弓を携え木の上にいるラナをみつけた。



「ラナ!」



俺達が逃げる間、ラナは魔物に向けて弓を放つ。
その弓は一つもはずれることなく、全ての魔物を倒していく。




「ラナ!飛び降りるんだ!」

木の下で俺は叫び、落ちて来たラナを抱き止めると、その身体を抱え一目散に走った。 
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