お礼(無謀)企画

ルカ(聖夜月ルカ)

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継承の儀式

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「カミーユ!」



私は、巡回をしていたロザンナの自警団の者達と偶然出会い、事情を話して彼らと共にカミーユと別れた場所へ向かった。
そこには、打ちのめされてボロ布のようになったカミーユと、バラバラになった彼のリュートが散らばっていた。



「カミーユ…なぜ、こんなことを……」

うっすらと目を開いたカミーユは、私を見て微かに微笑んだ。



「無事で良かった……」

そう言うと、彼は意識を失った。
彼を置いて逃げたことで、私の心は押し潰されてしまいそうだった。
詫びる言葉さえ私には思い浮かばず、ただ泣きじゃくることしか出来なかった。







カミーユの怪我は酷いものだったが、幸い、命に関わるような傷はなく、気がついてからは、時が経つにつれ、少しずつ元気を取り戻していき、ようやく彼は散歩が出来る程に回復した。



「カミーユ…なぜ、あの時、私を逃がした?」

「それは……君のことが気付かれれば、大変なことになってしまうと思ったから……」

「……私のこと…?」

カミーユはゆっくりと頷いた。



「……君が女性だということ。」

「えっ!な、なぜ、そのことを…!」

「……最初から気付いていたよ。
でも、きっとなにか事情があるんだろうと思って、あえて訊かなかった。」

「そ、そうなのか……」



すべて見抜かれていた。
だけど、それをずっと気付かないふりをしてくれていた。
それに、あの大切なリュートがだめになってしまったことを一言も彼は口にしない。



恥ずかしいような…ありがたいような、申しわけないような、なんとも複雑な気持ちに、そっと俯いた。



彼は腑抜けなどではなく勇敢な男性だった。
そして、私はそれとは逆に臆病な女だった……
おいはぎに会ったことで、私はそのことを痛い程思い知った。




「カミーユ…あの……」




「ジョセフィーヌ様!!」

「イ…イリヤ!」



診療所の近くで、私の剣の師でもあるイリヤ率いる数人の剣士達にみつかり、私はカミーユに事情を話すどころか別れの言葉を交わす暇さえなく、そのまま城へと連れ戻された。 
 
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