236 / 289
竜の国
19
しおりを挟む
それからも、毎日、朱花は僕の前で竜に変身し、空を泳ぐところを見せてくれて……
でも、やっぱり僕は何も出来ず、ただ、朱花と他愛ない話をするだけの毎日となっていた。
でも、そのおかげで、朱花のことも一層良く分かるようになってきて、朱花への想いはなおさら強いものになっていた。
本当の僕のことも打ち明けたかった。
だけど、それだけは絶対に言っちゃいけないって、桂葛さんに言われてたから、そこはなんとか我慢した。
やがて、僕の家も完成し…嬉しいものの、やっぱり一人暮らしはまだ慣れなくて、相変わらず僕は桂葛さんの家に泊まったり、桂葛さんが泊まりに来てくれてたりしている。
窓を開けたら見える程度の近さなのに……
そんなある日のことだった。
*
「あれ?また家を建てるの?」
「あぁ、村はずれの左門さんの家が古くなったから立て直すらしい。
あの人、どうしてもあの場所に住みたいらしいんだ。」
僕らの傍では竜に変身した大工さん達が木を切り倒していた。
「そうなんだ…でも、そんな……」
その時、今まで聞いたこともないような竜の雄叫びが聞こえて、僕が振り返ると、今まさに大きな木が僕らの方に向かって倒れて来ているところだった。
「あ、あぶないーーー!!」
僕は、咄嗟に朱花のことを考えた。
彼女を守らないと……!!
(あぁ……)
背中に鈍い痛みを感じて、僕は目を開いた。
なにかがおかしい……
朱花は驚いたように大きく目を見開いて僕を見上げてて……
そうだ…僕と朱花は身長もそう変わらないのに、なぜ……
「翔!出来たじゃないか!!」
『え…?』
「翔、そのまま空に向かって泳ぐんだ!」
『え…ぼ、僕、そんなこと……』
そういえば、僕の声はなぜだか声として出ていない。
「翔!さぁ!!」
朱花が竜に変身し、空に舞い上がった。
僕は、今の状況がよくわからないまま、朱花の後に続いた。
(あ……う、浮かんでる…
僕の身体が……!)
のろのろとした動きだったけど、僕は空に向かって行った。
だんだん小さくなる地上の風景にちょっと不安になりながら、僕は朱花を追って、空高くに飛び上った。
『どうだ?空は身持ち良いだろう?』
『どうなってるの?なぜ、僕はこんなところに…?』
『……困った奴だな。ついてこい!』
風を切ってどんどん先に行ってしまう朱花を見失わないように、僕は懸命に彼女の後を着いて行った。
『ほら、見てみな。』
朱花が僕を連れて行ったのは大きな湖の上空だった。
深く青い湖面には、寄り添う二頭の竜が映ってた。
『まさか…!』
『そうだ。
おまえは竜になれたんだ!』
でも、やっぱり僕は何も出来ず、ただ、朱花と他愛ない話をするだけの毎日となっていた。
でも、そのおかげで、朱花のことも一層良く分かるようになってきて、朱花への想いはなおさら強いものになっていた。
本当の僕のことも打ち明けたかった。
だけど、それだけは絶対に言っちゃいけないって、桂葛さんに言われてたから、そこはなんとか我慢した。
やがて、僕の家も完成し…嬉しいものの、やっぱり一人暮らしはまだ慣れなくて、相変わらず僕は桂葛さんの家に泊まったり、桂葛さんが泊まりに来てくれてたりしている。
窓を開けたら見える程度の近さなのに……
そんなある日のことだった。
*
「あれ?また家を建てるの?」
「あぁ、村はずれの左門さんの家が古くなったから立て直すらしい。
あの人、どうしてもあの場所に住みたいらしいんだ。」
僕らの傍では竜に変身した大工さん達が木を切り倒していた。
「そうなんだ…でも、そんな……」
その時、今まで聞いたこともないような竜の雄叫びが聞こえて、僕が振り返ると、今まさに大きな木が僕らの方に向かって倒れて来ているところだった。
「あ、あぶないーーー!!」
僕は、咄嗟に朱花のことを考えた。
彼女を守らないと……!!
(あぁ……)
背中に鈍い痛みを感じて、僕は目を開いた。
なにかがおかしい……
朱花は驚いたように大きく目を見開いて僕を見上げてて……
そうだ…僕と朱花は身長もそう変わらないのに、なぜ……
「翔!出来たじゃないか!!」
『え…?』
「翔、そのまま空に向かって泳ぐんだ!」
『え…ぼ、僕、そんなこと……』
そういえば、僕の声はなぜだか声として出ていない。
「翔!さぁ!!」
朱花が竜に変身し、空に舞い上がった。
僕は、今の状況がよくわからないまま、朱花の後に続いた。
(あ……う、浮かんでる…
僕の身体が……!)
のろのろとした動きだったけど、僕は空に向かって行った。
だんだん小さくなる地上の風景にちょっと不安になりながら、僕は朱花を追って、空高くに飛び上った。
『どうだ?空は身持ち良いだろう?』
『どうなってるの?なぜ、僕はこんなところに…?』
『……困った奴だな。ついてこい!』
風を切ってどんどん先に行ってしまう朱花を見失わないように、僕は懸命に彼女の後を着いて行った。
『ほら、見てみな。』
朱花が僕を連れて行ったのは大きな湖の上空だった。
深く青い湖面には、寄り添う二頭の竜が映ってた。
『まさか…!』
『そうだ。
おまえは竜になれたんだ!』
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる