お礼（無謀）企画

機械の都市

２

「朔人様、お食事の用意が出来ております。」

 「うん、ありがとう。」

 顔を洗って食堂に行くと、そこには温かな湯気を立てる朝食が用意されている。
 食事の担当は、ラングレイというこれまた美形のアンドロイドだ。
この他にもあと二人の美形アンドロイドがこの家にはいる。
そう…妹は、ものすごい面食いなんだ。
こんなイケメンたちに囲まれて、最初はなんだか落ち着かなかったけど、そんなことにもいつの間にかすっかり慣れてしまった。
どうせだったら、イケメンよりもカワイコちゃんの方が良かったのに…なんて思うこともあったけど、今ではそういう気持ちもなくなった。

だって…



「朔～！！」



 壁のスクリーンに映ったのは、朝からテンションマックスのコロナの顔。



 「おっはよ～！」

そう言いながら、俺は玄関の鍵を開けるリモコンを手にした。



 「ここは涼しいけど、地上は暑いよ。」

 食堂に入って来たコロナは、俺の前の席に座った。



 「そっか、だったら、倒れないようにがっつり食べとかなきゃな！」

 「そういうこと！」

コロナは、頭の上に飾りみたいについている大きな耳をぴくぴくと動かし、目の前の食事に手を付けた。



そう…コロナは、いわゆる獣人だ。
それも、人間に近いタイプのオオカミ族の獣人だ。
あの大きな耳と長いしっぽ以外は、ほぼ人間族に近い珍しいタイプだ。
 発掘の仕事場で、俺は彼女と出会った。
 働き者で明るく元気な彼女と毎日会う度、俺はどんどん彼女にひかれていった。

 今は、獣人だから…人間だから…なんていう差別は少なくなったけど、そうはいっても、種族の壁を越えて愛し合う者達はまだ少ない。
 全くないってわけではないけど、そういうことに反対する者達もけっこういる。
 彼女の兄さんも俺達の恋愛には反対してる。
 友達なら良いけど、それ以上の仲にはなるなって、先日も釘をさされたばかりだ。
その上、コロナに想いを寄せているレッティっていう獣人もいる。
コロナと同じオオカミ族で、オオカミの血が色濃い獣人だ。
 僕より３０センチ程も背が高く、筋肉隆々のその体格は、俺なんか、片手で簡単にぶっとばしそうな逞しさだ。