お礼（無謀）企画

見えてくる真実

３

僕はなんて無謀なことをしているのだろう。
 喧嘩だってほとんどしたことがない。
したことはなくても、腕っぷしが強くないということは自分でも予想はついている。
そんな無力な僕が、殺人犯の後をつけているなんて…



そう思った時、さっきのイメージが脳裏を過った。
 苦しげな女性の顔に、僕の鼓動は早鐘を打ち出した。



 関わるべきではない。
 関わるには、あまりにリスクが大きすぎる。
そう思うのに、僕の歩みは止まらない。



 今まで、僕のイメージが間違っていたことは、おそらくないと思う。
ほとんど関りはしなかったけど、関わったものはすべて的中していたから。
 学生時代に友人から恋の相談を受けたことがある。
それは、僕が見たイメージの通りだった。
 社会人になってから、仕事の件で相談されたこともあったけど、僕はその人の悩みをすでに溜め息で見ていた。



だから、あの恐ろしいイメージもきっと間違いではないはずだ。



そんなことがわかっていながら、尾行を続ける僕はどうかしている。
 男は、僕がつけていることなど少しも気付かない様子で、鼻歌を歌いながら歩いている。



それとも、すべてわかった上で、僕の出方を見ているのか…！？