深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
29 / 355
運命の出会い

18

しおりを挟む





「ジェローム様、毎度ありがとうございます。
今日は特別素晴らしい宝石をお持ち致しました。」

シャンプティエが、最高の笑顔を浮かべてジェロームに挨拶をする。



「そうか、それは楽しみだな。
それと、シャンプティエ…少しこの者を借りても構わぬか?」

顎先で示されたロクシーは、何事かと不安げな顔をしてジェロームをみつめる。



「ベルナールが、町で買いたいものがあるらしいのだ。
一人で行かせるのも心配だし、かといってうちの使用人達は…
私がベルナールだけに買い物を許したとなると、嫉妬する者もいるのでな。
それで、ベルナールを使いに出すということにしようと思うのだが、その者に付き添ってやってほしいのだ。」

「そんなことならお安いご用です。
ロクシー、ベルナール様をしっかりお守りするのだぞ!」

「は、はい、かしこまりました!」

「頼んだぞ。
ベルナールに何事かあったら、その時は……」

ジェロームの鋭い視線が、ロクシーを突き刺す。



「は、は、はいっ!大丈夫です!
ベ、ベルナール様は、わ、私が命に代えてもお守り致します!」

ロクシーはしろどもどろになりながら、やっとそれだけを言いきった。



「では、ベルナール…
遅くならないうちに戻るのだぞ。」

「はい、ジェローム様。」

ジェロームはベルナールと絡みつくような長い口付けを交わし、名残惜しそうに唇を離した。








「アレクシス様と契約したんだな。
まるでおまえが悪魔みたいに、悪魔の気配がぷんぷんしてるぜ。
それより、俺はてっきり、おまえはもうそこには戻らないのかと…」

「…しっ!」

「どうしたんだ?」

「御者にそんな話を聞かれたらどうするんです。
そんな話は後にして下さい。」

「あ…すまなかった…」

用を済ませてくると言って人気のない場所に馬車を停め、ロクシーとベルナールはアレクシスの屋敷を訪ねた。



「なるほど…
買い物だと偽ってアレクシス様と密会か…
……もう、アレクシス様には可愛がられたんだろう?」

ロクシーがいやらしい目つきでベルナールをみつめたのと同時に、ベルナールの手の平がロクシーの頬を激しく打った。



「な、何しやがる!!」

「黙って、入れ!」

ベルナールに突き飛ばされるように部屋に入ったロクシーは、言葉にならない声を上げ、その場にへなへなと座り込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

霊力ゼロの陰陽師

テラトンパンチ
ファンタジー
生まれつき霊力を持たない少年、西園寺玄弥(さいおんじげんや)。 妖怪の王を封じた陰陽師の血を引きながら、彼だけが“無能”と呼ばれていた。 霊術学院で嘲笑され、才能の差を突きつけられる日々。 それでも諦めきれなかった彼の前に現れたのは、王と対立する最強クラスの妖怪――九尾・葛葉。 「貴様の力は、枯れているのではない。封じられているだけだ」 仮契約によって解かれた封印。 目覚める霊力。動き出す因縁。 これは、無能と蔑まれた少年が、仲間と共に妖怪の王へ挑む物語。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです

ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。 女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。 無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…? 不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

いつまでもドアマットと思うなよ

あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...