深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
36 / 355
運命の出会い

25

しおりを挟む
ジェロームは、グラスの葡萄酒を飲み干した。

「……簡単なことだ。
おまえを適当な誰かの養子にすれば良い。」

「あてはあるのか?」

「あぁ、金を出せばなんとでもなる奴もいれば、弱みを握っている奴もいる。
そんなことは容易い事だ。
……それでどうするつもりだ?
ボーランジェに近付いてその後は…」

「それは……」

ジェロームは言いよどむベルナールの隣に席を移す。



「……奴の娘をたぶらかすつもりか?」

「まだ、先のことはわからない…状況次第だ。」

「おまえなら、ボーランジェの娘もイチコロだろうな…」

「まだ娘をたぶらかすと決まったわけじゃない…」

「……私が妬くと思ったのか?」

「そうではない…
もしも、そんなことになったとしても、それはただ利用するだけのことだからな。
私が愛してるのは、ジェローム、あなただけなのだから。」

「そうか…
ならば、その気持ちに応えてやらねばな…」

ジェロームの両手が、ベルナールのブラウスを乱暴に引き裂いた。



「そう急ぐこともないだろうに…」

ベルナールがくすりと笑う。



「おまえと愛し合う時間は、1分1秒とて無駄にはしたくないのでな…」

ジェロームとベルナールの熱い視線が絡み合う…









それから一週間が経った頃…
ジェロームとベルナールは、馬車に乗って屋敷を旅立った。
馬車の旅は、約十日程続き、二人が行きついた先はある貴族の屋敷だった。



「この方が、ベルナール様ですか…
これはまたお美しい…
このようにお美しいお方を、なぜ、私共に…?」

「余計な詮索は無用だ。
クシュネル、これは約束のものだ。」

手渡された包みの中身をのぞき見て、クシュネルは頬を上気させ深深と頭を下げた。



「ベルナール様は大切にお預かりさせていただきます。」

「よろしく頼んだぞ。
それと、今夜はここに泊めていただく。」

「はい、どうぞどうぞ。
ヨーゼフ、伯爵とベルナール様をお部屋へご案内しろ。」

「ははっ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

いつまでもドアマットと思うなよ

あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略

神崎あら
ファンタジー
冒険者歴20年以上のおっさんは、若い冒険者達のように地位や権威を得るためにダンジョンには行かない。 そう、おっさんは生活のためにダンジョンに行く。 これはそんなおっさんの冒険者ライフを描いた生活記である。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...