104 / 355
ゲームの始まり
14
しおりを挟む
*
ランディは町の自警団の男達に、ローリー誘拐の話を打ち明けた。
早速、村の者達に不審者を見かけた者はいないかと聞き回ったが、それらしき者達を見かけたという話は一つも聞かれなかった。
なにしろサーリックの村の人口は少なく、その者達が出掛ける場所といえば畑や村に数軒しかない雑貨屋と集会所くらいのものだ。
それ以外の場所に何者かが潜んでいたとしても、そのことに気付く者はまずいない。
この村では、昔、一度だけフォーラスによって次元の狭間に村人が連れ去られるという事件はあったものの、その他の事件といえば、村を通過した旅人が野菜をいくつか盗った程度のものだった。
それだけに、村人達の日頃の警戒心や観察力も鈍い。
そのことが余計に犯人への手掛かりを探す邪魔をしていた。
*
「サマンサ、気分はどう?
少しで良いから、何か食べないと身体に悪いわよ…」
サマンサの部屋に、キャシーが昼食を運んだ。
しかし、二人は、料理を前にしながら、それにはまるで手を付けようとはしなかった。
「私は良いから…母さん、食べて…」
「だめよ、少しで良いから食べなきゃ…
こんな時にあなたまで倒れたら…」
そういうキャシーの瞳が涙で潤んでいることをサマンサは見逃さなかった。
「……母さん、何かあったの…?」
「あなたは心配しなくて良いのよ…」
「母さん…心配って…何があったの?
教えて!」
「……サマンサ……」
サマンサは昔から勘の良い娘だった。
このまま隠していることはきっと出来ないと感じたキャシーは、ローリーの失踪のことを話した。
「父さんは、きっと誰かにさらわれたんだろうって言ってるわ…
部屋の窓が開けっぱなしになってたそうよ。」
「ローリーが……!!」
サマンサは、火が付いたように大きな声で泣き出した。
「大丈夫よ、サマンサ…
ローリーはきっと大丈夫だから、泣かないで…」
「母さん……私を、少し、一人にして…
お願い…」
「わかったわ……」
サマンサを一人にする事には不安もあったが、今はきっと母親とも一緒にはいたくないのだろうと考え、サマンサに言われるままに、キャシーは部屋を出た。
ランディは町の自警団の男達に、ローリー誘拐の話を打ち明けた。
早速、村の者達に不審者を見かけた者はいないかと聞き回ったが、それらしき者達を見かけたという話は一つも聞かれなかった。
なにしろサーリックの村の人口は少なく、その者達が出掛ける場所といえば畑や村に数軒しかない雑貨屋と集会所くらいのものだ。
それ以外の場所に何者かが潜んでいたとしても、そのことに気付く者はまずいない。
この村では、昔、一度だけフォーラスによって次元の狭間に村人が連れ去られるという事件はあったものの、その他の事件といえば、村を通過した旅人が野菜をいくつか盗った程度のものだった。
それだけに、村人達の日頃の警戒心や観察力も鈍い。
そのことが余計に犯人への手掛かりを探す邪魔をしていた。
*
「サマンサ、気分はどう?
少しで良いから、何か食べないと身体に悪いわよ…」
サマンサの部屋に、キャシーが昼食を運んだ。
しかし、二人は、料理を前にしながら、それにはまるで手を付けようとはしなかった。
「私は良いから…母さん、食べて…」
「だめよ、少しで良いから食べなきゃ…
こんな時にあなたまで倒れたら…」
そういうキャシーの瞳が涙で潤んでいることをサマンサは見逃さなかった。
「……母さん、何かあったの…?」
「あなたは心配しなくて良いのよ…」
「母さん…心配って…何があったの?
教えて!」
「……サマンサ……」
サマンサは昔から勘の良い娘だった。
このまま隠していることはきっと出来ないと感じたキャシーは、ローリーの失踪のことを話した。
「父さんは、きっと誰かにさらわれたんだろうって言ってるわ…
部屋の窓が開けっぱなしになってたそうよ。」
「ローリーが……!!」
サマンサは、火が付いたように大きな声で泣き出した。
「大丈夫よ、サマンサ…
ローリーはきっと大丈夫だから、泣かないで…」
「母さん……私を、少し、一人にして…
お願い…」
「わかったわ……」
サマンサを一人にする事には不安もあったが、今はきっと母親とも一緒にはいたくないのだろうと考え、サマンサに言われるままに、キャシーは部屋を出た。
0
あなたにおすすめの小説
いつまでもドアマットと思うなよ
あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略
神崎あら
ファンタジー
冒険者歴20年以上のおっさんは、若い冒険者達のように地位や権威を得るためにダンジョンには行かない。
そう、おっさんは生活のためにダンジョンに行く。
これはそんなおっさんの冒険者ライフを描いた生活記である。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる