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さらなる復讐
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「ルーク…俺達は、なんだかんだ言っても今まではそれなりに幸せだった。
おまえは特にそうだったよな。
温かい両親や兄弟に恵まれて、まっすぐに育って来た。
……だけどな、ベルナールはそうじゃなかったんだ。
あいつは、俺達とは違い、悪魔の世界で育った。
おまえにはわからないかもしれないが、悪魔の世界っていうのは人間の世界みたいにやわじゃない。
ベルナールは、子供の頃から、そんな悪魔の世界で俺達には考えも付かないような辛い想いをして生きてきたんだ。
悪魔は人間を見下している。
ベルナールは、そんな人間の子なんだぞ。
母親はトレルに毒を飲まされて殺されたって言ってたけど、それまでにもきっと悪魔からも酷い仕打ちを受けてたんじゃないかって思う。
人間の子を身篭ったなんて、悪魔にとっては恥以外の何者でもないからな。
トレルに殺されなかったにしても、あいつの母親はきっと哀れな死に方をしたんじゃないかと思う。
それからあいつはたった一人で生きてきたんだ。
生きるためには、手段を選ぶ事なんて出来なかったんだ。
冷酷にならないと生きられなかったんだ……けど、本当のあいつはそうじゃない。
酷いことをする裏で、あいつの心はいつも泣いてるんだ。
……俺はそのことを知っている。」
そう話したオルジェスの瞳には、うっすらと涙がたまっていた。
「そうか…僕、正直言って時々ベルナールのことを怖いと感じることがあったんだ。
君と同じ悪魔と人間のあいの子なのに、ベルナールは君よりもずっと悪魔っぽいって言うか…
でも、考えてみればそうだよね。
君は、ずっと人間の世界で育ったんだもの。
彼は、悪魔の世界…同じな筈はないよね…」
「そうだ…それに、あいつの方がきっと悪魔としては優れてるんだと思う。
俺の母さんも上級悪魔だったらしいけど、同じようにエドガーの心臓を食ってもこんなに違うんだもんな。」
「それも、悪魔の世界で育ってないことが関係してるんじゃないかな…君もきっとすぐに出来るようになるよ。
でも……」
「……ルーク、俺がそんな風になったらやっぱり怖いか?」
ルークは俯いたまま黙り込み、少ししてからゆっくりと首を振った。
「よくわからない…
ただ、そうなったら、僕は君に見捨てられるんじゃないかって…
その方が怖いかな…
そうなったら、僕なんて足手まといになるだろ?」
「……ルーク…
だったら、おまえも悪魔になれば良いじゃないか!
悪魔を狩って、悪魔の心臓を食うんだ!
そうすれば、俺達と同じになれる!」
「僕が悪魔に……」
そう言ったまま、ルークの唇は言葉を紡ぐ事を止めた。
おまえは特にそうだったよな。
温かい両親や兄弟に恵まれて、まっすぐに育って来た。
……だけどな、ベルナールはそうじゃなかったんだ。
あいつは、俺達とは違い、悪魔の世界で育った。
おまえにはわからないかもしれないが、悪魔の世界っていうのは人間の世界みたいにやわじゃない。
ベルナールは、子供の頃から、そんな悪魔の世界で俺達には考えも付かないような辛い想いをして生きてきたんだ。
悪魔は人間を見下している。
ベルナールは、そんな人間の子なんだぞ。
母親はトレルに毒を飲まされて殺されたって言ってたけど、それまでにもきっと悪魔からも酷い仕打ちを受けてたんじゃないかって思う。
人間の子を身篭ったなんて、悪魔にとっては恥以外の何者でもないからな。
トレルに殺されなかったにしても、あいつの母親はきっと哀れな死に方をしたんじゃないかと思う。
それからあいつはたった一人で生きてきたんだ。
生きるためには、手段を選ぶ事なんて出来なかったんだ。
冷酷にならないと生きられなかったんだ……けど、本当のあいつはそうじゃない。
酷いことをする裏で、あいつの心はいつも泣いてるんだ。
……俺はそのことを知っている。」
そう話したオルジェスの瞳には、うっすらと涙がたまっていた。
「そうか…僕、正直言って時々ベルナールのことを怖いと感じることがあったんだ。
君と同じ悪魔と人間のあいの子なのに、ベルナールは君よりもずっと悪魔っぽいって言うか…
でも、考えてみればそうだよね。
君は、ずっと人間の世界で育ったんだもの。
彼は、悪魔の世界…同じな筈はないよね…」
「そうだ…それに、あいつの方がきっと悪魔としては優れてるんだと思う。
俺の母さんも上級悪魔だったらしいけど、同じようにエドガーの心臓を食ってもこんなに違うんだもんな。」
「それも、悪魔の世界で育ってないことが関係してるんじゃないかな…君もきっとすぐに出来るようになるよ。
でも……」
「……ルーク、俺がそんな風になったらやっぱり怖いか?」
ルークは俯いたまま黙り込み、少ししてからゆっくりと首を振った。
「よくわからない…
ただ、そうなったら、僕は君に見捨てられるんじゃないかって…
その方が怖いかな…
そうなったら、僕なんて足手まといになるだろ?」
「……ルーク…
だったら、おまえも悪魔になれば良いじゃないか!
悪魔を狩って、悪魔の心臓を食うんだ!
そうすれば、俺達と同じになれる!」
「僕が悪魔に……」
そう言ったまま、ルークの唇は言葉を紡ぐ事を止めた。
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